赴烏。
樺は会議から帰るその足で分隊長達、榊原、三嶋、荒樫―室井の代わりに一時的に分隊長の役割を任せることになった男―を集め、作戦の共有をした。
そして一通り伝えた後、樺は彼らの顔をそれぞれ見る。
彼らの表情は多様であったが、全員、覚悟は伺えた。
「これが成功すれば…本当に戦争は終わり…ということですよね。」
三嶋はこの言葉を思い返すように言う。
そして樺は三嶋の言葉に少し驚きながらも頷いた。
「とはいえ、気を緩めるのはまだ早い。
…ですね。」
「…えぇ。そうですね。最後まで油断せずいきましょう。」
榊原は呼応して警戒を口にするがその声は優しく、それに三嶋は照れくささを覚えた。
…ただ、荒樫だけはその裏にあるやり取りを理解できずに頷いた後、一つ呟いた。
「三嶋さん…何があったんだ…」
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作戦前日の夜、樺は鬼熊の天幕に居た。
そして、樺は鬼熊に黒いままの腕を差し出す。
最後の作戦の前に腕の様子を診てもらう為である。
鬼熊は樺の腕に触れて、問いかける。
「実際に動かして、どうじゃ。」
「問題なさそうです。
射撃も痛むことなくできました。」
鬼熊はその言葉に満足そうに頷き、
「そうじゃろ。腕の黒いやつは防弾代わりになるから剥がさん方がええぞ。」
と言ってそのまま手を離した。
…少し剥がれそうだった黒い表面が、また張り付いた気がする。
「…ありがとうございます。」
樺が礼を述べたのを、鬼熊は気に留めることもほぼなく言葉を続ける。
「構わんぞ。あぁ、後、銃弾くらっても、出血や貫通は防げるが衝撃は殺せんからそこはわかっといてくれ。」
「わかりました。」
樺はそういった後、腕を動かして問題ないかを確認した後、再び礼をして天幕から出た。
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…作戦当日。
霧も一段と濃くなるのみならず、平年のこの時期に来るらしい茹だるような暑さとは異なり、寧ろ肌寒ささえも覚える。
樺達は兵を並べ、出撃の準備を行っていた。
ふと、兵士の顔が目に入る。それが樺と話した鈴谷という男であることに、安心と同時に重荷を感じた。
…やがて兵が並び、各隊の準備が完了した頃。
「総員、前進!!」
…最後の戦いの始まりが告げられたのであった。




