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五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
襲眼。

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赴烏。

樺は会議から帰るその足で分隊長達、榊原、三嶋、荒樫―室井の代わりに一時的に分隊長の役割を任せることになった男―を集め、作戦の共有をした。

そして一通り伝えた後、樺は彼らの顔をそれぞれ見る。

彼らの表情は多様であったが、全員、覚悟は伺えた。


「これが成功すれば…本当に戦争は終わり…ということですよね。」


三嶋はこの言葉を思い返すように言う。

そして樺は三嶋の言葉に少し驚きながらも頷いた。


「とはいえ、気を緩めるのはまだ早い。

…ですね。」


「…えぇ。そうですね。最後まで油断せずいきましょう。」


榊原は呼応して警戒を口にするがその声は優しく、それに三嶋は照れくささを覚えた。


…ただ、荒樫だけはその裏にあるやり取りを理解できずに頷いた後、一つ呟いた。


「三嶋さん…何があったんだ…」


____________________


作戦前日の夜、樺は鬼熊の天幕に居た。

そして、樺は鬼熊に黒いままの腕を差し出す。

最後の作戦の前に腕の様子を診てもらう為である。

鬼熊は樺の腕に触れて、問いかける。


「実際に動かして、どうじゃ。」


「問題なさそうです。

射撃も痛むことなくできました。」


鬼熊はその言葉に満足そうに頷き、


「そうじゃろ。腕の黒いやつは防弾代わりになるから剥がさん方がええぞ。」


と言ってそのまま手を離した。

…少し剥がれそうだった黒い表面が、また張り付いた気がする。


「…ありがとうございます。」


樺が礼を述べたのを、鬼熊は気に留めることもほぼなく言葉を続ける。


「構わんぞ。あぁ、後、銃弾くらっても、出血や貫通は防げるが衝撃は殺せんからそこはわかっといてくれ。」


「わかりました。」


樺はそういった後、腕を動かして問題ないかを確認した後、再び礼をして天幕から出た。



____________________


…作戦当日。

霧も一段と濃くなるのみならず、平年のこの時期に来るらしい茹だるような暑さとは異なり、寧ろ肌寒ささえも覚える。

樺達は兵を並べ、出撃の準備を行っていた。


ふと、兵士の顔が目に入る。それが樺と話した鈴谷という男であることに、安心と同時に重荷を感じた。


…やがて兵が並び、各隊の準備が完了した頃。


「総員、前進!!」


…最後の戦いの始まりが告げられたのであった。


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