白竜。
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また、投稿が遅れてしまい、申し訳ありません…
…結局彼らのことは兵士としてしか知らないのだ。
三嶋が何故あそこまで規則を重視したのかも、榊原の新人時代も、室井の暮らす浪場という地も。
…そして野々村の好きな食べ物も。
野々村も、――そして今は室井とも会うことはできない。
しかし、三嶋と榊原と、そして他の兵士らとは交流ができる。
そう思えば、聞かねばならないという焦燥が樺を急かす。
自分が復帰する前に彼ら自身のことを聞こう。
樺はそう決意したのだった。
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そう思った次の日の昼。
樺は椅子に座った三嶋と向き合っていた。
「…わざわざ来てくれてありがとうございます。」
「いえ、上官の指示ですし、お気になさらず。」
三嶋はすました顔で樺の方を見ている。
「ところで、用事というのは何でしょうか?」
「あなたについて、知りたいと思ったのです。」
その言葉を聞いた三嶋は目を丸くし、顔を赤くしていた。
「待ってください…どういう…ことですか?」
三嶋の様子を見た樺は何事かと呆気にとられたが、すぐに樺もまた顔を赤くして慌てふためく。
「いや、そういうことではないです…!!
ただ、あなた達のことについて隊長として指揮していましたが、人となりについては何も知らなかったなと…」
三嶋はやがて平静に戻るものの、その目に疑念が宿っていることは伺えた。
「どうして今ですか。」
「今気づいたので。
…それに私も療養しないといけないですし。」
三嶋はその答えに疑問は解消されたようだが、それでも浮き足立つ様子はなくならなかった。
「…早速、身の上話から教えてもらっていいですか。」
「そうですね…」
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三嶋は樺より二年遅く巽京で生まれた。
実家は少し裕福で作家が父であった彼女は幼い頃から本に触れ、自ずと文学を好み、女学生へと成長していった。
そして昨年の17の秋、三嶋は「暁の鉄蹄」という戦争小説に感化され、家族の反対を押し切り志願兵となった。
そして最初に配属されたのは樺らのいる南部戦線ではなく、東暁と瑞が直接接する北部戦線であった。
北部戦線は総じて優勢であったが、故に三嶋は戦争に対しての恐れというのは大して抱くことなく、むしろ理想的なものとしての認識を強めていったのだった。
そして当時の上官が規律を重視していたことが三嶋の元来の規則重視な性格に拍車をかけていき、先日の一件までは規律こそが正義であると確信をしていたのであった。
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「簡単に…こんな感じでしょうか。」
「…ありがとうございます。」
樺はそれ以外に口を開けなかった。
樺は隊員について、何故兵士になったのか、好きなものは何なのか、どんな人生を送ってきたのか
それらについて一人も知らなかったことを実感せざるを得なかった。
「どうしましたか?」
三嶋の問いかけに対して樺は再び意識を前に向ける。
「いえ…何もないです。
…もっとあなたのことを聞かせてもらいますね。
本は…何が好きですか?」
「私は…『白竜』が好きですね。白い魔獣を追いかけていく小説なんですけども。
船長が求める真理を求めて魔獣を追いかける姿と、そのために規律で船員を動かす様子が初めて読んだときは衝撃を受けたのです。」
「そうだったのですね。」
名前だけは聞いたことのある小説であった。
「戦争が終わったら読んでみようか…」
「ええ、そうしてみてください。」
そうして、いくつかの質問をして、逆に樺自身について質問を受けた後、三嶋は帰っていった。
…もっと多くの隊員のことを知ろう。
樺はそう決意したのだった。




