欠月。
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樺は寝台の上でぼんやりと座っていた。
樺の心には穴が空いたような感覚が残っていたのだ。
しかしその一方で外は相変わらず活動音が鳴り、電波が行き交っている。
作戦の準備をしているのだろうか。
樺が居なくても作戦は立てられ、動く。
それが樺に心の穴をより広げている感覚を与えていたのだった。
…ふと、天幕に樺ではない物音が聞こえた。
誰か入ってくるにしても普通ならば声の一つでも掛けるのではないか。
そう思った樺の前に一つ影が現れる。
「…お言葉ですが、作戦で忙しいのでは…」
「おいおい、俺にだって休みは必要なんだよ。
それに、味方を知りゃ、より戦いでも使いやすくなる。」
…影の正体は旅団長、玄であった。
「んでだ、見るに多分あんたなんか罪悪感とか抱いてないか?」
樺の顔を軽く見た玄はそう軽薄に呟いた。
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「…まぁ、嫌になるのはわかるけどよ。どうせできることはねぇんだ。」
樺の孤独感を聞いた玄はそう言い放った。
「そうですけど…しかし…」
「仲間を亡くしたこともその腕の火傷も今、それ以上にできることはねぇはずだ。
だから今は休んどけ。」
玄の言葉に対して、樺は
「…しかし、次にこのようなことがあったとしたらと考えてしまうのです。」
まだ不安は除ききれていなかった。
それに対して玄は少し呆れたように少し息を吐いて、
「『望月、尚欠く』と言うんだ、そりゃまた何か何かを失うこともおかしくないし、奴相手に犠牲なく勝てるとは思うべきでもないだろ?
…覚悟はしておくべきじゃねぇかな。」
…樺は少し沈黙した後
「…そうですね。」
とだけ呟いた。
「もうこんな時間か、そろそろ次の作戦に行かねぇと。」
そう言って玄は天幕を出る。
「あー、最後に。」
外に出た玄が樺に声を掛ける。
「何が欠けているのか探すことくらいはできるんじゃねえか?」
その声を置いて玄は去っていった。
…統率。
樺はその言葉を頭の中で転がす。
そしてふと。
「従わせる相手を知らなければ統率はできない。」
そう突然思ったのだった。
補遺:この世界の月は目視できる欠けが存在している。
が、恐らく本作において深く掘ることはない…




