嵌合。
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「話は聞いておろう。ここは私に任せよ。
そなたは南方通路を通り、天津隊と合流したまへ。」
樺は水月の顔を見て頷いた。
「樺隊!!総員後退してください!!」
そして樺隊は陣地を去り、水月隊は陣地を守る。
樺が水月のことを不安に思うことはなかった。
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樺隊は南方通路の道中にある広場で足を止める。
…疎らに生えた朽木の林の向こうから電波が漏れ出るのが感じ取れた。
これまでの進軍方向から推測するに敵が攻めてくるだろう。
樺はあたりを付け、陣地を建て始める。
そして最低限の構築を済ませたところで通路沿いから甲高い声が聞こえてくる。
「ほう、新入りにしては悪くない陣地を作ったね。」
声の方向に目を向けるとやけに小さい銀髪の女が兵士を率いていた。
「あなたが…天津さんですか。」
「その通りだ。私こそが天津だ。」
目の前の女は見上げて堂々と答えたのであった。
「…しかしあれだな。私ならもっとこう作るな。」
そういうと同時に天津は朽木を根っこごと持ち上げて陣の後方に置いた。
続いて樺は地面が揺れる感覚を覚えた。
「これは…」
「ああ、さっきの揺れか。落とし穴を作っている。」
天津は端的に答える。
樺はその返事を踏まえて少し悩み、
「一度どうなっているのか見ても?」
と問う。
「何をするのか分からんが取り敢えずいいぞ。」
樺は三嶋隊の熱魔法を使える兵に、地面の表面を温めるように指示をする。
彼らは戸惑ったが、地面に熱魔法をかけた。
すると、樺の目論見通り遮蔽用の土壁の奥に少し温度の低い熱の穴がいくつか見えてきた。
様子をみるに穴は人の丈を超えているだろうか。
それ故に樺は感嘆の声を漏らす。
「この一瞬でここまで…」
「まぁ、私からすれば造作のないことだがな。」
天津は誇らしげに平たい胸を張った。
…その様子を横目に樺は少し陣地を眺める。
ふと、何かが欠けているような感覚を樺は覚えた。
「…もっと敵兵の来る場所って絞れそうですよね。」
その言葉を聞いて天津は長考する。
そして、
「……あぁ。そういうことか。」
そう言葉を漏らした後、二人は後ろの朽木の山を見た。
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そして天津は即座に盛土や朽木、石で道を構築し、それに合わせて落とし穴、自陣の土壁を仕立てる。
それが終わる頃には天津は疲労困憊で自隊の兵にもたれ掛かって動けない様子だった。
樺は改築された陣地を見渡す。
天津が来る前の陣地は影も形も消え去っており、代わりに来る向きを絞るための道、その道に空いた大量の深い穴、
道から出てきた敵を撃つための土壁、樺が全体を見渡す為の簡易的な櫓。
…樺は櫓に登り、敵の現在地を測る。
その距離は1000メートルもなかった。




