晴嵐。
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「今度はあんたが攻める番なんだな、ほほう。」
玄は連絡を聴いた直後に言葉を漏らす。
「でもなぁ。あんたは素直に攻めるタイプじゃない筈だ。どっから来る。」
玄は地図に目を移す。
「あぁ、でも取り敢えず警備してる奴らに警戒させないとだ。尾崎、各部隊に警戒するよう言ってくれ。」
通信兵の尾崎は「了解。」と言い、天幕から出る。
その様子を見ることなく玄は台地、戦線、補給路と目をやる。そして「うーん…」と唸った後、
「さて…こういうときはどこを攻めそうかってより俺がどこを攻められたくないかってのを考えたほうがいいな。
となるとな…渡辺のところが嫌だな。鬼熊、天津を派遣した方がいいか。」
玄は渡辺中隊長らが守る地点を指さした。
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「各小隊!!警戒態勢を取れ!!
各小隊長は隊員の配備後に集合しろ!!」
渡辺中隊長の命令を聴き、これから読む本を選んでいた第四小隊長、高橋はその手を降ろす。
「…はぁ、これから非番だってのに。ツイてないなぁ…」
高橋は天幕を出て分隊長の居る天幕に向けて声を張った。
「お前ら聞こえたか!悪いが集めてくれ!!」
そうして分隊長が隊員を集めて各分隊で警戒地点に配備を行うや否や高橋は中隊長の元に向かう。
渡辺中隊長と自分含め4人の小隊長だけが居る天幕を見て高橋は漠然と思う。
前任の志賀治樹が死んでから後任として小隊長として派遣された男、樺直人。すぐに旅団直属の小隊に異動したらしいが、どうしているのだろうか。
短い期間だったが彼のことはよく覚えている。
指揮所に突然入り込んだかと思えば敵を見つけたと言い、そして本当に敵を捕らえてきたのだ。
…彼が何をしでかすか、高橋には分からなかった。
樺について少し考えていたとき、渡辺が口を開いた。
「端的に言えば間もなくここに敵が来る可能性が高い。
とのことだ。暫くすれば援軍も来るらしい。
…以上だ。不確定なことが多いが気を抜かぬように。」
そう言った後、渡辺は電信を触り始めた。
それに伴い小隊長らは天幕を出て自分の隊の元に向かう。
高橋は髪を弄くりながら隊の防衛地点に辿り着いた。
襲撃が来るであろう方向は一段と霧が濃い。
…直感的に敵が来るだろうと高橋は思った。
「総員に構えるよう言ってくれ。」
こうして隊員全員構えた後。
不自然に辺りの霧が晴れてきたのだった。




