二立。
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樺は今日も観測を行う。
しかし、周囲は相変わらずというべきか何もなく、隊員も銃を抱えながら漫談にふけっていた。
その様子に樺は咎めるべきであるか、悩みつつあった。
―――そして三嶋も同様のことを思っていたのだろうか、彼女は声を出した。
「皆さん。気を散らしすぎです。」
隊員達は口を閉ざして三嶋の方を見る。
彼らの顔からは戸惑い、怒り、罪悪感といったように多くの感情が読み取れた。
そして空気が固まろうとする中、
「別にええんやないの?」
室井はそう言って三嶋に近づく。
「…何故ですか。」
三嶋の声は酷く冷えていた。
それに反して室井は軽い調子で
「別に今は戦闘するわけでもないし、気を張る必要もないやん。」
と言った。
それに言い返すように三嶋も
「しかし、有事の際に速やかな対応が難しくなる筈です。」
と返す。
「ずっと張り詰めるのも大変やろ?
それにちゃんと必要な警戒もしとるしさ。」
「しかし…」
2人の応酬は続く。
榊原は仲裁を試みようと近づいていたがそれを諦めたらしい。
樺はそれを見ながらどうあるべきか考える。
…いや、自分の中で既に結論は出ている。
最低限の警戒もしていて尚且つ敵が来たとしても迎え撃つまでの猶予も十分にある。
であるのならば持続して対応できるようにある程度の余裕を持たせる方が適当であった。
…しかし。三嶋の意見は間違いなのだろうか。
その時である。
―――樺は不自然な電波の跳ね返りを感じた。
「総員!!九時の方向へ警戒!!」
樺は号令を掛けた後にその方向に意識を向ける。
そこには腰の高さくらいの土壁と――腰から上だけ姿を出した人影があった。
土壁にしろ人影にしろ現れるなら前もって連絡が来るはずである。
されど樺は事前に人の行き来は勿論、土壁の話も聞いていない。
であるならば樺のすべき対応は1つ。
「撃ち方始め!!」
隊員らは土嚢の裏から銃口を出し発砲する。
斉射を受けたにも関わらず男は直立したままで、倒れない。
そして向こうからもまた銃弾が飛んでくる。
樺は土嚢の裏に身を隠したまま通信兵を呼ぶ。
そして電信を玄に送る。
「コチラムノンジョル台地観測部隊。
敵ヲ発見。現在交戦中。」
観測を行なってから初めての敵襲。
樺には雷徳遠がこれだけで終わるようには思えなかった。




