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五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
呼水。

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19/21

統率。

気に入っていただけたならば作品を育てるつもりで評価、コメント、ブックマークの方をしてもらえたら幸いです。

「水月隊長、どのような要件でこちらへ?」


樺は問いかける。


「興が一つ、されど最たるはこの先朋輩となる者の人相を知るためなり。」


そう答えた後、水月は樺とその部隊を見る。


沈黙する樺と分隊長、変わらず話続ける隊員。

水月は少しの沈黙の後、こう言った。


「ふむ、おおらかな隊と見受けん。」


榊原だけが眉をひそめる。そして沈黙が再び続く。

それを破ったのはまたしても水月であった。


「…やはり軍というのは難儀なものであるな。」


そう小さく呟いた後に


「言わばそなたの隊は統率が取れておらぬ。規律の乱れは自隊のみならず他の隊にも被害を与える。故に改めることを求めん。」


樺は不意に視線を落とす。

返す言葉も無かった。


また暫くして水月は小さく息を吐く。

そして言葉を補った。


「されど汝らの成した功を否む意はあらず。

…さて、朋輩の人相を知れた。これ以上任務の邪魔をするのはよそう。」


青髪の男は踵を返すように去っていった。


「ものをいうだけ言ってさっさと帰りはるん、嵐のようなやつやったな…」


室井は息を吹き返すかのように声を出す。


「彼はそういう人です。」


榊原は淡々と言った。


樺は先ほどの言葉に意識を向ける。統率、規律。そしてやがて野々村を回顧する。


…思えば安易に提案を追認したことが問題であった。


もし、あの提案を吟味できていたら、意思を持って動けていたなら。


何かを変えることができたのではないか。


…そう思うまま日は進み、気が付けば襲撃予定日当日となっていた。

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