鳴動。
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樺は丘の上に立っていた。
周りには樺隊と黒い鎧のような装備に包まれた鬼熊隊の兵士が整列している。
彼らは一言も発さずに指示を待っている。
街路沿いで敵の輸送隊を待つ水月隊も同様であるはずだ。
霧は丘の上にも関わらず重く、淀んでいる。
そんな中樺は電波の反応を、水月隊らは樺の合図を待っていた。
その状態のまま、何十分が過ぎただろうか。
街路の奥から動く塊が見える。
それが敵の輸送隊であると樺は判断し、水月に電信を送った。
刻々と迫る塊。それが場の空気を更に張り詰めたものにしていく。
~~~~~~
樺から攻撃目標が観測された旨が届いた。
「総員、構えよ。」
水月は短く、隊員に聞こえるよう発する。
そして静かに目を閉じ、霧の水滴に意識を向ける。
水月は霧に摩擦を与え蓄電させ、
水滴の揺らぎが物体の動きを捉えるのを待つ。
…遠方から揺らぎが進む。
そして最接近したタイミング。
水月は隊員に前進の指示を送る。
と同時に水月は仕込んでいた電気を放つ。
輸送隊から悲鳴と怒号が響く。
そこに更に射撃を行わせる。
水滴の揺らぎと声から敵が混乱をしているのは明白であった。
後は輸送隊の退路を防ぐのみであり、後方は既に水月隊が展開している。
残すは前方でありそちらについては―――
けたたましく銅鑼の音が響きわたる。
鬼熊隊が突撃したようだ。
〜〜〜〜〜
「これが鬼熊の銅鑼鳴りの突撃ってやつやな。
こんな音鳴らして突撃をかましたら相手もやる気も失せるやろ?」
樺と三嶋は室井の説明を聞きつつ少し感心する一方で榊原は少し顔をしかめる。
「問題は敵以外も混乱しかねないところですが。」
そう話をしながら樺は観測を行う。
跳ね返る電波、そして音の様子からしても順調に制圧を行えているようだった。
―――ふと淀んでいた空気が肌を撫でる。
この感覚には覚えがあった。
野々村が霧を晴らしたあの場面。
「総員!!伏せろ!!」
樺は自分でも意図せず声を荒げる。
室井、榊原も顔を変えて対応を取った。
周辺に土壁を立て、それに沿って隊員を伏せさせる。
一段落した後に樺は周囲に意識を向ける。
…微かな熱が遠方に立っていた。




