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五里霧中の戦場で新人士官の俺だけが視たものは。  作者: linka
烽火。

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14/20

観者。

気に入っていただけたならば作品を育てるつもりで評価、コメント、ブックマークの方をしてもらえたら幸いです。

樺の過去の追想が一段落しつつある頃、樺の視界に動くものを捉える。

熱はない。


目を凝らしたところ、それはひらひらと揺らぎつつ動いていた。


樺はその旨を陣地の警備隊長に伝える。

それに伴い警備隊による暫しの斉射が行われるも、その先では変わらずひらひらとそれが舞うばかりであった。


樺はその手ごたえの無さから斉射を止めさせ、異常なしと告げる。

しかし、その言葉に自身も確証は持てなかった。


____________________________


次第に闇が陣地を覆い始める。

結局その日はあれ以外を感知することはなかった。

今日の観測を終えた樺はそのまま作戦室へ足を運ぶ。


今日見たものを告げ、そして昨日の戦闘で起きたことを聞くためだ。


既に作戦室の混雑は収まっていたらしく、静かにそして相変わらず圧を放っていた。

樺は今日の観測の結果を情報参謀に―ひらひらと舞うものがあったことを含め―伝える。


参謀は記録を取りながら


「奴は立て直しに注力する気か…?

いや…」


そして思案を重ねていた。

暫くして言葉が止み、


「どうした、もう下がっていいが。」


と参謀が告げる。

しかし、あの陽動兵の結末を知らねばならない。

樺は問う。


「陽動を行った部隊は…どうなのでしょうか。」


「…三割だ。」


参謀は告げる。


「そう…ですか。

…ありがとうございます。失礼します。」


樺は言葉を後にし、作戦室から立ち去る。


…3割。

昨日の戦場で放たれた熱とその数が結びつく。

部隊の半分以上があれにやられたか。


樺はふと歩みを止め、周りを見る。

辺りでは部隊の休む天幕が立ち並ぶ。

…不意にそれが炎に呑まれる光景が脳裏に浮かんだ。


―――俺は見なければならない。

樺は視えた可能性から目を逸らすことはできなかった。

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