観者。
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樺の過去の追想が一段落しつつある頃、樺の視界に動くものを捉える。
熱はない。
目を凝らしたところ、それはひらひらと揺らぎつつ動いていた。
樺はその旨を陣地の警備隊長に伝える。
それに伴い警備隊による暫しの斉射が行われるも、その先では変わらずひらひらとそれが舞うばかりであった。
樺はその手ごたえの無さから斉射を止めさせ、異常なしと告げる。
しかし、その言葉に自身も確証は持てなかった。
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次第に闇が陣地を覆い始める。
結局その日はあれ以外を感知することはなかった。
今日の観測を終えた樺はそのまま作戦室へ足を運ぶ。
今日見たものを告げ、そして昨日の戦闘で起きたことを聞くためだ。
既に作戦室の混雑は収まっていたらしく、静かにそして相変わらず圧を放っていた。
樺は今日の観測の結果を情報参謀に―ひらひらと舞うものがあったことを含め―伝える。
参謀は記録を取りながら
「奴は立て直しに注力する気か…?
いや…」
そして思案を重ねていた。
暫くして言葉が止み、
「どうした、もう下がっていいが。」
と参謀が告げる。
しかし、あの陽動兵の結末を知らねばならない。
樺は問う。
「陽動を行った部隊は…どうなのでしょうか。」
「…三割だ。」
参謀は告げる。
「そう…ですか。
…ありがとうございます。失礼します。」
樺は言葉を後にし、作戦室から立ち去る。
…3割。
昨日の戦場で放たれた熱とその数が結びつく。
部隊の半分以上があれにやられたか。
樺はふと歩みを止め、周りを見る。
辺りでは部隊の休む天幕が立ち並ぶ。
…不意にそれが炎に呑まれる光景が脳裏に浮かんだ。
―――俺は見なければならない。
樺は視えた可能性から目を逸らすことはできなかった。




