一意。
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「戻ってきたか。どうだった。」
中隊長は淡々と問う。
樺は偵察で得た情報を伝える。
「そしておそらくですがその後直接攻撃する算段であったと予想されます。尤も、捕虜に尋問を行う必要はありますが、現時点で十分可能性のある話であったかと。」
「…そうか、よくやった。」
そして中隊長は続ける。
「…となるとあまり時間がない。これより司令部で会議の要請を行う。樺、その会議に出席しろ。後作戦案も考えておけ。」
「了解しました。」
中隊長は二人を置いて忙しなく天幕を出る。
…置いてかれた高橋は言う。
「…多分色々聞かれたりするし作戦立案もちゃんと考えておけよ。
俺は寝るから。」
樺は頷いてそのまま指揮所に向かう。
指揮所は暗くどんよりとしていた。
樺は明かりをつけ、地図を眺める。
「どう崩すか…」
樺は地図に指をなぞり思案を重ねた。
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そして掛けられた時計の長針が一周した頃。
樺は伝令に呼ばれ旅団の作戦室に入る。
―――雷徳遠に遜色ない、されど別種の気迫がそこにはあった。
そこからは記憶がない。
強いていえば名を呼ばれて何かを発したことくらいである。
我に返ったのは中隊長に
「明日は任せた。」
と言われながら肩を叩かれた瞬間であった。
天幕を出ると辺りは微かに陽光で照らされつつある。
呆然としたまま樺はそのまま隊の点呼を行った。
どうやら偵察の後、寝ずに作戦会議に入ったことは周囲に知られていたようで
「隊長、それ大丈夫なん…」
「流石に一度寝たほうがいいでしょう。私があなたの代わりを務めますので。」
分隊長らの促されるまま樺は仮眠をとった。
気が付けば辺りは橙に染まりつつあった。
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天幕から出ると兵士が隊列を成し、工兵の行き交いは昨日以上に盛んであった。
その中に室井と榊原の姿を見つける。
「お、うちらが寝ている間に偉いことしたらしいやん」
「分隊長として誇らしい限りですよ
我らが小隊長がここまで成したかと。」
「あんたそんな性格ちゃうやろ。
後、隊長と会って二日目やでうちら…」
樺は呆気に取られたがすぐに質問を投げかける。
「中隊長はどのような指示を出していましたか?」
しかし、二人から返事はない。見ると二人は愕然としていた。
「…浪場のうちでも二人のツッコミは無理やで…」
「…もしや、昨日の会議は緊張で記憶飛びましたか?」
…図星であった。
「成る程。一度渡辺中隊長に尋ねるとよろしいのでは?恐らく彼も唖然とするはずですが。」
榊原に促され樺は中隊長の元に向かい、同じように質問を投げかける。
…それを聞いた中隊長は頭を抱えていた。
そしてしばらくして顔を上げて言う。
「…お前がその調子だと作戦が成り立たないが。
まぁいい。簡潔に言う。お前は敵の電波の出処とその密度を把握しろ。」
樺は3人の反応に納得した。
樺に与えられた役割は―作戦が採用されたなら―攻略の成否に関わるものであった。
樺は気を引き締める。
背中の方から今後の展望が不安になる言葉が聞こえるがそのまま天幕を出て第五小隊の元に向う。
「な…?うちらの気持ちも分かるやろ…?」
室井の問いに対して樺は頷く。
「ところで私たち第五小隊の任務は記憶の怪しい隊長の護衛ですね。」
榊原が茶化した様子を止め、念を押すように言う。
「…一応分かっていると思いますがこれから行うのはムノンジョル陣地攻略です。そして隊長は電波を拾うことで敵が何処に目を向けているのかを筒抜けさせるのが役割になります。」
「中隊長が言うにはそこを叩けたら向こうの兵站を攻撃しやすくなるんやと」
「逆にそこを抑えられない限り恐らく戦場で夏を過ごすどころか正月を迎えることになりますよ。」
樺は覚悟を決める。
程なくして中隊規模での点呼がかかる。
どうやら寝ている間に人員補充がされたらしく三嶋という女が前線分隊長に就いたらしいが話はほぼできなかった。
…樺は戦場に目を向ける。
こちらが戦闘の準備をするのと同じく向こうもまた通信が絶え間なく流れていた。
一話一語句解説にする程でもないですが、
旅団も軍隊構造の一つです。
連隊の一つ上の階層ですね。
後、よかったら知りたいことがあったらコメントしてください、ネタバレにならない範疇で教えますので。
最後に一つ。
毎日投稿は取りやめて水、土、日の週三投稿に変更します。
更新頻度が下がりますがご理解いただけると幸いです。




