神殿に行くようです。
OVLに応募しようと思って応募条件を見たら文字数が足りない事件が発生しました。最低10万文字だそうです。6万文字しかありませんてました。ちくせう。
昼過ぎの太陽が少し西に傾き始めた時間、部屋に先日とは何ら変わらないミルが訪ねてきた。
「やあミル。元気にしてた?」
「こんにちは、ユキトさん。貴方がたのおかげで、綺麗に物事が進みました」
「それはよかったね。」
「はい。ところで、その妖精と子供は?」
「この子は武装妖精のアインで、こっちはサクラ。ちょっとした事情で預かっているんだ。」
「よろしくね〜!」
「……」ぺこっ
アインは僕の頭の上で元気に挨拶をして、サクラ改め変装したリルは頭を下げて僕の後ろに隠れた。
「サクラは人見知りだから、気を悪くしないでね」
「それくらいで怒ったりはしませんよ。では、神殿へついて来ていただけませんか?。先日のお礼をしたいので」
「分かった。セリア達も一緒でいいのかな?」
「もちろんいいですよ。下に馬車が止まっているのでこちらへどうぞ」
「持っていくものもあるから、少し待ってもらっていい?」
「はい。では馬車で待っておりますので、ごゆっくりどうぞ」
ミルが降りていくのを確認して、自然と僕達は部屋の中央に集まった。
『どうでした?』
「ミルはもう駄目だ。種族の『分離』はできなかったし、何より上級吸血種になってた」
「上級、ですか。それでは……」
「うん。そのクラスになるとちょっと危なくなる。殺すしかない」
「でも、それじゃあリルちゃんがかわいそうよ!」
「分かってる。けどさ、元は人とはいえ、今は魔族だ。今回逃がしたらたくさんの人を殺す可能性だってあるんだ」
『大丈夫です。あたしが我慢すれば、それで人が助かるんですよね』
「がぅ……」
泣きそうな顔をしていたリルを見たレオが、慰めるように頬ずりした。ごめんな、リル。
「じゃあ僕のHPとVIT、『自己再生Lv.40』、『毒・麻痺・睡眠耐性Lv.9』を複製したら行こうクロネはリルとユリウスについててね」
「にゃあ」
よし複製完了……って、あれ?
「どうしたの〜?」
「いや、みんなに複製した『自己再生』のレベルが40じゃなくて10になってるんだよ」
「知らないの? 普通はスキルレベルって10が限度なのよ。『限界突破』を持ってないユキトが何でそんななのかは知らないけど。」
マジか……これは今度解明する必要があるな!
「では行きましょう」
それぞれが準備をして宿の外に出ると、豪華な馬車が止まっていて、扉が開いており、ミルが手招きをしている。
「お待たせ」
「いえいえ。ではこちらへどうぞ」
僕から順番に乗り、最後にレオが乗ると、扉が閉められて、馬車から見える景色がゆっくりと動きだした。
「紅茶をどうぞ」
差し出されたカップは2つ。僕とリルの分だけだ。クロネとレオの分は当然ないとして、亜人であるセリアとユリウスの分もない。まあ予想してたけど。
「ありがとう」
「……」ぺこっ
僕とリルは紅茶を飲み、そして同時に痺れるような味に顔を顰めた。これは、麻痺毒だな。
「どうかなさいました?」
「これ、毒が入ってたよ。Lv.7の強力なやつ」
ミルの眉が少し動く。
「本当ですか!?」
「うん。この目でしっかりと確認したし」
僕の目を指差すと、納得するように頷いた。
「なるほど、魔眼持ちでしたか。しかし、何故麻痺毒が効かなかったのですか?」
「僕達は全員耐性スキルを持ってるからだよ。さっき複製しといてよかったよ。まさか、こんなに早くしかけてくるとは思ってなかったからなあ」
ミルの眉がまた少し動く。
「……どういうことですか?」
「白々しい演技だな、分かってるくせに。
さっき僕は毒が入ってると言った。けど、何の毒かは言ってない。なのに、ミルは麻痺毒だと言った。演技が下手くそなんだよ、吸血種」
「……人間ごときが、言ってくれますねえ」
ミルの口から鋭い剣歯が覗き、法衣を破いて背中から羽が出た。それを見てセリアとレオが身構える。
「おっと、何もしないほうが身のためですよ。この馬車には私の合図で爆発する爆弾が仕掛けてありましてね。範囲はだいたい500メルといったところでしょう。街の真ん中で爆発が起こればどうなるのでしょうねえ?」
ニヤニヤと笑い、動きを止めたセリアとレオを見ている。
「……ご主人様」
「本当のことだよ。大人しくしておけ」
「分かりました」
「がう」
返事をして元の位置に戻った。
「賢明な判断です。私が仰せつかった役目は、貴方がたを神殿に連れてくるというものですので、何もしなければ爆発させませんから」
これも本当のこと。ギスギスした空気を充満させて、馬車は神殿に着いた。
もうちょっと長くしようか迷ったけど、次話の区切りが悪くなるので一旦ここで切ります。
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