妖精さんがやってきたようです。
花粉が飛び始めたのか、鼻詰まりとくしゃみ、目の痒みが酷いです。
ハ、ハ、ハックショイ! うー、ティッシュティッシュ…
僕が目の変化に戸惑ってると、ルミナスがクスクスと笑いながら教えてくれた。
(『慧眼』の副作用みたいなものですよ)
(な、なるほど。どうにかならないの?)
(なりません)
(デスヨネー……)
希望は随分と楽しそうなルミナスの声によって絶たれた。orz
「ねえ、どうしちゃったのよ?」
「えっとね、ルミナスが僕の『解析眼』を進化させて固有スキルの『慧眼』になった際の副作用だってさ」
「確かにそうなってますね」
「へえ〜、すごいじゃない」
セリアとユリウスが僕の目をジッと見てくる。
「がうっ♪」
「にゃあ……」
レオは気に入ったらしく、逆にクロネは苦手なようだ。目を合わせてくれない。
「見れば見る程不思議な目よね……」
「ユリウス、近い」
目と鼻の先まで顔を近づけていたユリウスに指摘をすると、顔を赤くして遠ざかった。
「と、とにかくどうにかしなさいよ。外に出たら目立つわよ」
「でも、ルミナスはどうにもならないって言ってたよ」
「では、『イリュージョン』を使ってみてはどうでしょう?」
「ナイスアイデア! 【イリュージョン】!」
変装用の闇魔法を目にかけてみると、元の黒目になった。よっしゃ。
(ああーっ! そんな面白くないことをしてはいけません!)
(面白い面白くないの問題じゃない! こっちは恥ずかしいの!)
(こうなったら、『慧眼』に魔法解除をつけて……)
(頼むからやめてください! お願いします!!)
必至の懇願により、なんとか説得できた。リルの前ではかけることは禁止されたが。ルミナスのイメージ崩壊がすごいことになってる気がする。
「じゃあそろそろ寝るか」
「待ってくださいご主人様」
「ん? まだ何かあるの?」
「まだ夜伽を済ませていません」
「じゃあ聞くけど、子供が寝てるベッドでヤれるの?」
「もちろんよ」
当たり前みたいに言うな。
「生憎僕は無理だ。他に何かある? ないなら寝るよ」
「待ちなさいよ! いいから相手をしなさい!」
「じゃあ選択肢をやろう。騒動が終わるまで我慢してからヤるか、今日ヤって一生ヤらないか、どっちがいい?」
「「おやすみ(なさいませ)!!!」」
なんなんだこいつら…… ビッチ化してきてないか?
*
で、次の日の朝
「ふふ〜♪」
「……はい?」
目を開けると、妖精さんがいました。ちゃんちゃん。
「……何で?」
「おはよ〜!」
僕の疑問に元気な挨拶で返事をする妖精さん。長い髪の毛とフワフワスカートと透明な羽は虹色。白い肌に青と紫のオッドアイ。 ん? 青と紫のオッドアイ? まさか……
(おはようなのだ)
(やっぱりフレイヤか。おはよう)
(さてなのだが、お主の目の前に1匹の妖精がいると思うのだ)
(うん、いるよ)
「やぁ〜ん♪」
頭を軽く撫でてあげると、嬉しそうに体を捩った。
(その子がお礼なのだ)
(お礼が妖精ってどういうことだよ?)
(ちゃんと説明してやるのだ。その子は武装妖精なのだ)
(武装妖精?)
(そうなのだ。簡単に言えば、どんな武器にでもなれる妖精なのだ)
(それすげえじゃん)
(うむなのだ。試しに何かにならせてみるといいのだ)
「ねえ、ガントレットになれる?」
「うん!」
捩り続けてた妖精さんから指を離すと、元気に返事をして、光った。光が収まると、僕の両腕に虹色に光る指先が尖ったガントレットがはまっていた。
「って、重っ!」
思わずベッドに手をつきそうになった。咄嗟に重力を解除しなきゃベッドが壊れてただろう。
(そいつはアダマンタイトなのだ。重くて当然なのだ)
(一応聞いてみるけど、純度は?)
(100%にきまっておるのだ)
(oh……)
アダマンタイトとは、神鋼という種類の貴金属の内の1つで、最硬金属と呼ばれる。名前の通り現在見つかっている金属の中で最も硬く、魔力伝導率(魔力の流しやすさを数値化したもの)も高い代わりに、とてつもなく重い。そのままじゃ重くて使えないから、普通は軽い金属との合金で使う。その分魔力伝導率は下がるけど。
因みに、純度100%のアダマンタイトは未だ見つかっていない。つまり、これが世界初の純度100%のアダマンタイトということになる。
(なんちゅう持ってきてくれたんだよ)
(ふっふっふ、もっと褒めるがよいのだ)
何を勘違いしたのか、フレイヤが胸を張っている(ようなヴィジョンが見えた)。
そういえば、1つ聞きたいことがあった。
(フレイヤ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?)
(何なのだ?)
(どうしてフレイヤは、偽物の巫女であるミルを助けてなんて言ったの?)
幸人君の精液は中毒性有り?うらやまけしからん。
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