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【終わりと始まりの創星神話 1巻 第三章2話】

 研究室の外に出ると、窓のない薄暗い廊下が先が見えないほど続いていた。


「随分と暗いね……」

「ここは地下に作られた施設ですからね。照明はあるのですが、普段は私たちしか居ませんので」


「ここに住んでるの?」

「ええ、私もなんですけど、博士とラピスさんはほとんどあの研究室に篭りきりで」

「ふぅん、随分と仕事熱心だね。カレハさんは中等部って言ってたけど、出席とかしなくていいの?」

「私は卒業までの単位を先取りしてますので。あ、後私のことは呼び捨てでいいですよ」

 単位の先取りなんてできるのか。

 思わずクロネの事を思い浮かべる。

 クロネは学校に出ているものの、そのほとんどの授業を寝て過ごしているらしい。

 担任の先生からの注意と指導が何度かあり、僕の耳にも届いているのだが、どうしたものか……。


「ところでーーカレハ。僕たちは何処に行こうとしてるの?」


「魔導兵装の整備室ですよ。そこで、【多目的遂行複合魔導兵装マギ・エアヴァイターバヴァッフェ】ーー名前が長いですね、舌を噛みそうです。まあ、それの整備や調整を行う所でその魔導兵装を外します」


「それは助かるよ。これ、重力軽減の魔法がかかってるみたいだけど、それでもやっぱり重くてね」

「どこか不具合とかあったらすぐに言ってくださいね。私の方で調整しますので」


「そうなの?」

「ふふん。これでも私、魔導器整備士の資格を持ってますので」

 見せびらかすように、生徒手帳をめくり翳すとなにやら複雑な魔法陣のような紋章が描かれており、そこから同じものが魔力光となって浮かび上がる。


「……それが資格を持っている証なの?」

「そういえばゼロ先輩は外部生でしたね。知らないのも当然でした」


 カレハが言うには、特殊な液体魔力で作られた溶液で押印されており、本人の魔力にしか反応しないとのことだ。

 更に続けて、カレハの持つ魔導器の資格は一級資格とのことで、それがあると魔導器の製造、開発をしてもよいとのことだ。


 そうこう話していると、大きな扉の前へとたどり着く。

 カレハ慣れた動きで扉の前に行くと、生徒手帳を当てる。

 その扉は左右に開く両引き戸のようで、静かに自動で開くとその中は大きな倉庫のような様相だった。


「うわあ、何だか一杯あるね……ん?」

 多種多様な魔導器や魔導兵装があるのだが、他の人は誰一人居ない様子だった。

 しかし、ただ広い部屋の奥。隅の方にある腰掛けを連結させて、顔に雑誌をかけて寝ている人物が居た。

 片手を地面に垂らしてだらしなく寝ている人物のもとに近寄ると、その雑誌を無造作に剥ぎ取る。


 そこで寝ていたのは、先程僕を騙して連れて行ったリオンだった。


「…………」


 無言でリオンを見る目が据わる。

 そして、胸倉を掴み上げると勢いよく持ち上げて揺らした。


「のわあああ⁉︎ いきなり何やねん⁉︎」


 魔導兵装の補助もあるのか、軽々と持ち上げることができた。

 そして、力任せに揺らし続けると、リオンはそれが僕であると気がつく。


「よくもやってくれたね……! おかげで大変な目に遭ったよ……!」

「ちゃちゃちゃちゃいますやん! ワイは博士に頼まれただけですやんんん!」


 確かにそれはそうなのだが、あのような騙すような真似はしなくてもよかったのではないか。

 鬱憤晴らしにリオンに当たるのは違うのかもしれないが、それでもこうでもしないと僕の感情のあて先がいないのだ。


「ゼロ先輩? リオン先輩とイチャイチャするのはいいですけど、ここであまり暴れないでくださいね? 危ないものも沢山ありますので」


 凄く不本意な言葉が聞こえた気がする。

 揺らす手を止めて、リオンを見ると青い顔をして項垂れていた。

 リオンを椅子に下ろして、カレハに向き直ると彼女な何故か少し頬を赤ていた。

 今のやり取りに一体どんな不純な想像をしていたのだろうか。

ここまでお読みしていただきありがとうございます。

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