【終わりと始まりの創星神話 1巻 第二章5話】
【断罪】ーー断罪とは随分強い言葉だ。
その言葉に、脳裏で先月争った四法睡蓮正騎士団を思い出す。
異端者を狩る処刑隊。
彼らとの一戦はまだ記憶に新しい。
つい思考が逸れてしまった。
今はこの【断罪】である。
しかし、ある程度予想は出来る。
僕は右手の手のひらを開き、【土人像】に向けた。
すると、【ワルプルギス】に照準が現れる。
ーーやはりそうか。
予想が確信に至ると、僕は思念を込める。
胸の魔力炉が、魔力を【VMH:MN-02】に送り込むため強く輝く。
膨大な魔力が供給されていく。【ワルプルギス】に表示された照準を【土人像】に合わせ、収束した魔力を解き放った。
「ーー【断罪】!」
発動は思念によるものだが、何となく僕はその魔法の名を叫んだ。
その方が格好がつくと考えたからだ。
その瞬間、僕の視界が真白に染まる。
手のひらの窪み、『銃口』であるそれから、極太の魔力弾が放たれた。
その出力は最早魔力弾ではなく魔力光線だろうソレは、【土人像】の胴体を貫いて爆散させる。
ここまで僅か数瞬の出来事だった。
そして、次の瞬間には僕は地面に仰向けになって倒れていた。
その理由は単純明快。
【断罪】の反動に体幹が耐えられず、吹き飛ばせれて倒れ込んでいた。
強かに後頭部を地面にぶつけてしまい、その衝撃で【ワルプルギス】がズレてしまった。
出血こそしていないが、痰瘤になってないか撫で摩りつつ、ズレた【ワルプルギス】を直す。
後頭部を打ったせいで目眩がするが、そんな視界を【ワルプルギス】は補正してくれる。
そこには、上半身を蒸発させた【土人像】が映っていた。残る下半身も膝下しか残っておらず、それも魔力の塵となって消えていく。
驚いたのは、それだけではなかった事だ。
至近距離に居た【土人像】を狙ったのだが、巻き添えで隣の一体も消滅しており、一番離れていた個体も身体の半分が消し飛んでいた。
……とてつもない威力だ。
比較すると、かつてユウキが放った【擬似魔導砲】と同等かそれ以上だろう。
「んんん、上出来でしたな。しかし、今の一撃で魔力がすっからかんですぞ」
【ワルプルギス】を見れば、残存する魔力量を表す目盛りが真っ赤になっていた。
魔力炉から少しずつ魔力が供給されているとはいえ、今の一撃でほとんど使い切ってしまったらしい。
「んん、初の試運転としては上々でしょうな。ならば、これで試験は終了して、ゼロ君には一度帰還して貰いますぞ」
一方的に試験の終了を告げられると、足元にまた魔法陣が浮き上がる。
ーーこれが、僕が【多目的遂行複合魔導兵装】ーー後に【ヌル】と呼ばれる魔導兵装の初の体験となるのであった。
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