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【終わりと始まりの創星神話 0巻 第六章1話】

 クルスから発せられる魔力が輝きを放つ。

 まばゆいまでのそれは、同時に膨大な魔力を迸らせると、圧となって大気を震わせた。


 神器の発現とは、限られた者にしか扱うことのできないが、その力は無類かつ無比のものである。

 それは、魔法であり、奥義であり、秘術であり、必殺の武器ともなり得るのだ。

 そして、神器の形態は様々だが、彼の神器は、四振りの剣だった。

 収束した魔力が形作るは、彼の魔力色と同じく、淡く光を放つ蒼色の大剣。

 彼を中心に、四方を守るように並ぶ。宙に浮く剣は、その全てを極限にまで圧縮された魔力と、彼の魂によって構成されたものだ。


 それは、彼の――クルスの全てと言っても過言ではない。


 神器とは魂の写し身。

 クルスの人生、その全ての経験、技術、魔法、その全てがそこにある。


「協定破りよ! 本気で魔導帝国と戦争を始めたいつもりなのッ!?」

 ユウキは叫ぶ。だが、クルスは聞く耳持たない様子で、眩い輝きを放つ神器【聖浄四剣】を掲げる。

「浄化せよ……!」

 クルスの言葉と共に【聖浄四剣】が淡い光を放つ。

 すると、彼と神器を中心に酸溜まりとなっていた万能溶解液や、周囲に残っていた泥の沼が溶けるように消えていった。


 それどころか、彼の焼け爛れた腕が見る間に治癒されていった。紫色に変色していた腕は瞬く間に再生され、健康的な色に早変わる。

 その再生した腕を見て、僕は悪い方の予想が当たったと確信した。


 先程の戦闘では、クルスはカイの火槍を手掴みしていた。余程のことがない限り、火傷を負ってもおかしくなかったはずだ。

 それが、籠手を外した際にはその手に火傷を負った形跡すらなかった。初めは、何かしらの防護魔法で防いだのだろうかと考えた。

 しかし、次にユウキの砲撃を受けてクルスは明らかに負傷していた。それも、最初は立てないほどの重症だったはずである。


 幾つか考えられたが、最終的に絞り込んだのが二つ。前者が、クルスが持つ魔法の剣ーー幅広剣が何かしらの特殊な能力を持っており、負傷を肩代わりするか、それ自体が治癒魔法に類ずる能力を持っているか。


 そして、悪い方というのが後者となる。

 それは、傷や負傷を高速で治癒する能力をクルス自身が持っていたとかだ。

 その場合、あの幅広剣はきっとクルスの能力や魔法の精度を高めるとか補助を促すものなのだろう。

 そうでなければ、自らの武器を投げ捨てるような暴挙には出まい。


「おーいマジかー。町中で神器たあ、穏やかじゃねーな」

「ちょっ、カイ……そんな呑気な――」

 その先の言葉が、出なかった。

 軽く言うカイの目は、一切笑っていなかったからだ。

 これまで、へらへら笑っていたのが嘘のようだ。まるで別人の如き鋭い目つきで、クルスを睨む。

「【枢軸協定】――そこの脳無しにも分かることよ。市街地及び人の住む生活居住区での神器の発現を禁止する。何の為の国際公法だと思っているのよ。また、『魔導大戦』のように、戦争に明け暮れる時代に戻りたいわけ!?」

 協定破りは各国からの非難は免ず、立場も危うくしかねない。それも、他国などで行えば挑発程度では済まされない。最早、宣戦布告に近いだろう。しかし、そこまで引き下げれない事情があるのだろうか。

「ふん。所詮は貴様ら異端者が作り出した法だ。我らの法は救教にこそある。我らが教義。我らが意義。我らが真義。我らが神義! ーー道端に転がる小石の分際で、私の邪魔をするなあッ!!」

 【聖浄四剣】が強く輝いた。それと同時に、【聖浄四剣】の内の一振りが、自律して動く。

 滞空して浮遊する剣が、上段から振り降ろされると、魔力で作られた巨大な光の刃が放たれた。

 魔力を溜める予備動作も無く放たれたそれは、警戒していたにも関わらず僕らの意表を突いた。

 先程までとは段違いな光の刃に、防ぐ手段も避ける手立ても無いからだ。

「あ、これ死ぬかも……」

 目の前に迫る巨大な光の刃は、僕を切り裂くどころか、跡形も無く消し去るだろう。

「何ぼさっとしてるのよ! 死にたいの⁉︎」

 ユウキの叫び声に、我に帰る。

 しかし、僕に向けて放たれた魔力の刃は防ぎようもない。奥の手を使うかと考えたが、今僕とクロネは離れすぎている。どう足掻いたとしても間に合わない。

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