第三章:学院編 16話:ダラベスト到着!
遅くなりました。
前回、学園編といっていましたがごめんない。
学院編の間違いです。
では、第三章をどうぞ。
ごめんなさい、レイラの属性を間違えていました。
改稿はその部分の少しへんこうです。
16話:ダラベスト到着!
あれから、二晩、急に引っ付いてくるレイラとメイアを何とかやり過ごし、智春はやっと『ダラベスト』の街が遠目に見えるところまでやって来た。
この『ダラベスト』という街は、昔、『ダラス』と『ラベスト』という街が二つの街の境界を流れる『ドーウ川』の利権を争い、結果合併して一つの街となった過去を持つので街の大きさがかなり大きいのである。
「あれがダラベストか・・・」
「お、大きいですね・・・」
「ふふん、そうだろう。」
智春とレイラのつぶやきにバローナが嬉しそうに胸を張る。
「この街はな、たくさんの施設があって、きっと滞在中は暇だと感じることはないぞ。」
「ふーん、そうなのか、まあ、俺たちは学院行くつもりだから暇はないと思うがな。」
「ふむ、そうか、まあ、学院も色々施設があるし確かに暇はないだろうな。」
そんなことを話しながら智春たちはダラベストの門に近づく。
門ではちょうど前についていた商隊が街の中に入り、門の衛兵が智春たちの方を向いた。
「ん?は!バローナの姉さん、お帰りなさいませ。」
「あ、姉さん、ご無事で。」
二人の衛兵はビシッと綺麗に敬礼をバローナに向けた。
「はあ、お前ら、姉さんはやめろっていつも言ってるだろう。」
驚く智春たちを尻目にバローナは嘆息しながら返す。
「で、姉さん、こちらの方々は?・・・む、男・・・」
バローナの言葉を華麗にスルーして衛兵は智春たちに目を向ける。
「ああ、この者たちは学院に入学希望の冒険者とその精霊たちだ。身分は私が保証する。」
「はっ!、では、通行してかまいません。」
衛兵たちはいとも簡単に智春たちを通すのだった。
ダラベストの街はとても活気に満ちて、そこらかしこで呼び込みなどの声が聞こえていた。
「では、まずギルドまで案内しよう。そのあと学院に行くといい。鍛冶師には私の方から話は通しておくから、学院に余裕ができてからギルドに訪ねて来てくれれば私が案内しよう。」
「ああ、何から何までありがとな。」
「いや、私もこの短い旅だったが楽しかったぞ。」
「はは、それこそこっちが感謝したいくらいだっと!」
「きゃっ!」
智春がバローナとの会話に気をとられ、狭い路地から出て来たマントに身を包んだ人影にぶつかった。
「・・・ご、ごめんさい・・・」
「こっちこそすまない、大丈夫か?」
智春は倒れたその人を助け起こした。
すると、その拍子にマントの裾あたりから銀色の尻尾のような物がちらりと顔をのぞかせた。
「・・・・あっ・・」
声からして少女に思われるそのマントの人物は籠に入った果物を持っていたらしく、あたりにはリンゴに似た果物が散らばっていた。
「ああ、っと、ごめん。渇きに潤いを『アクア』、『マジックアーム』っと。これで良し。本当にごんめんな。」
智春は果物を集めると、魔法で洗浄してその少女にわたす。
「・・・あ、ありがとうございます・・・・」
少女は小さな声で簡単に礼だけ述べると、その場を足早に立ち去った。
「ふむ、すまん、私ももっと注意して歩くべきだった。」
「いや、油断してた俺が悪いんだから気にするな。それより、ギルドへの案内頼むな。」
「ああ。」
そして五人はギルドに向かって歩みを進めた。
ダラベストのギルドもクルーペの物と外観も内装もほとんど変わりがなかった。
「いやいや、ようこそ、ダラベストの街へ。バローナどの、お疲れ様でした。」
智春たちが中に入ると、白髭を蓄え、浅黒い肌に力戦の跡が見受けられるいかにもギルドマスターのような人が出迎えてくれた。
「ああ、ありがとう。サバクダ秘書長。ギルドマスターはいるか?」
あら、ギルドマスターではなかった。
「はい、ビビア様は執務室です。」
「そうか、では、行くか。」
「ああ、」
智春たちはバローナについてギルドの奥の階段を上がる。
「バローナだ。依頼の達成報告に来た。」
バローナが執務室の前で中に要件を伝え勝手にドアを開ける。
「バローナちゃん!おかーえりーーーーー」
執務室の中からはそんなハイテンションな声と共に一人の少女が扉に近づいてきた。
「此度の救援依頼、無事完了した。」
「むー、バローナちゃん、ここではそんな硬い言葉は使わなくていいっていつも言ってるでしょう。」
少女はプンスカとでも表現するような怒り方をする。
「いや、こういう場所でも公私混同するわけにはいかん。」
「むーーーー、バローナちゃんの堅物・・・・で、こちらの方々は?」
「ああ、この者がクルーペで話題となった冒険者、トモハル=アオヤマだ。」
「トモハル=アオヤマです。」
「ふーん、貴方がねぇ、私はこのギルドでギルドマスターを務めるビビア=ロードヴィヒよ。この街でも活躍には期待してるわよ。てか、活躍なさい。」
「は、はい・・・って、ロードヴィヒってまさか!」
「ああ、私の姉だ。」
「「「「ええーーーーーーーーーーー」」」」
執務室の中に智春たちの絶叫が響く。
「そんなに驚くことかしら?まあ、いいわ。で、そちらのお嬢さん方は?」
ビビアは全く気にしたような様子も見せず、セリアたちに視線を向ける。
「ああ、申し遅れました。私はトモハルに契約精霊で氷姫精霊のセリア・ウォルトスールです。」
「同じく炎姫精霊のメイア・イフラルガです。」
「私はトモハルさんと一緒に旅をしているレイア=オルモナークです。」
セリアたちは礼儀正しく挨拶をする。
「ふーん、トモハル君モテモテね。」
「そ、そんなんじゃありませんよ。」
智春の言葉にセリアたちの空気が凍る。
そんな不穏な空気を感じたのかバローナが話題を変える。
「そ、そうだ、姉さん。智春たちは学院に通うために少しの間この街にとどまるそうだ。」
「ふーん、学院に入学するのか・・・なら、私が一筆添えてあげよー。下で待っててー。」
ビビアはそう言うと机に戻って何かを書き始めた。
バローナは残ったが、智春たちは言われたとおりに執務室を辞し、一階の飲食スペースに移動した。
智春たちは適当に飲物を買うとテーブルをひとつ占拠してバローナたちを待った。
「ここのギルドは活気はクルーペのギルドと変わりありませんが、なんというか上品な感じがします。」
レイラはポツリとつぶやく。
確かにレイラのいう事はもっともであった。
クルーペのギルドでは、三人も美少女が固まっているレイラたちに劣情のこもった視線をむける輩が多くいたが、ここのギルドではその視線が全くと言っていいほど感じなかったのである。
「ふーん、まあ、確かにみんなケンカとかはしてないが、別にクルーペと変わらないんじゃないか?」
智春はよくわかってない様子ではあった。
余談だが、実はこの街の冒険者を含め住民は熱狂的なロードヴィヒ姉妹のファンで、皆、二人が嫌うことはしないのである。
まあ、気にならないならいいかとそのことは置いといて、智春たちは今後の予定を話し合っていた。
すると、新しく3人の冒険者がギルドに入ってくると同時にギルド内に張りつめたような嫌な空気が走った。
智春たちもその空気を感じ、話をやめてその冒険者たちに注目した。
三人のうち、二人は大柄で筋骨隆々、体や装備にいくつもの傷が入りいかにも力戦の戦士であった。
その二人に挟まれた三人目は悪趣味でさらに無駄にお金がかかっているような白地に金の装飾が施された傷一つない装備の金髪のイケメンだった。
そのイケメンは周りの憎しみがこもったような視線を無視し、受付嬢とやり取りを始めた。
『どうしてみんな仇を見るような目で見てるのかしら?』
『分かりませんが、何かあったのではないでしょうか?』
『まあ、どうでもいいが、面倒がかからないといいな。』
智春たちが小声で話している間にそのイケメンは用事を終え、周りの様子など気にした様子もなく飲食スペースに向かって歩いてきた。
周りの冒険者たちが慌てて視線をそらす中、そのイケメンはレイラと目が合い、急に進行方向を智春たちのテーブルに変えて近づいて来た。
「おい、そこの女。」
「へ?私ですか?」
急に声を掛けられたレイラは驚いたように声を上げる。
「ああ、お前だ。」
「はい、私がなにか?」
「ああ、お前は気に入った、俺の妻になれ。」
有無を言わさぬ命令口調でレイラに話しかけるそのイケメンに智春は何か黒い感情がこみ上げる。
「へ?・・・えっと、お断りします。」
「ふん、照れなくていいのだ。そうか、急に一人は寂しいか、ならその二人も一緒に来い。どちらも美しいから俺の愛人にしてやゲフッ。」
断られてもご都合解釈でさらに言い寄ろうとしたそのイケメンは一瞬にして地面に仰向けに倒れていた。
「は?な、何が!?・・・・・クッ、き、貴様‼」
イケメンはいつの間にか立って見下ろしていた智春に気付き、智春に何かされたことに気付く。
(あれ?なんだろう?無性にむしゃくしゃする。)
智春は自分の気持ちがうまく整理できず、困惑する。
「くそっ、俺を誰だと思ってやがるこの下民め!俺はダラス侯爵家長男、アニウス・ドレッド・ダラスだぞ。くそっ、なんで立てないんだ。アウルリック、デリファール、不敬罪だこいつを殺せ。」
イケメン、アニウスは智春の技で三半規管を狂わされ、地面に座り込んだまま怒鳴りつける。
「「はっ」」
付きの二人は短く応えると智春の前に立ちはだかった。
「おい少年、恨みはないが主の命令だ。悪く思うな。」
片方がそう一言言うと二人同時に剣を抜き放ちながら上下別々の方向から斬りかかる。
「っち、なんかイライラする。」
智春はそう小さくつぶやくと、迫る二本の剣を危なげなくかわし、下に抜けた剣の腹を踏んで押さえつけ、上に抜けた剣は掌底で尻をかちあげた。
その結果、剣は二人共の手から離れ、片方は宙を舞った。
二人が驚いたすきに智春は片方に回転しながらの裏拳、もう片方にはその勢いのままソバットを決め、二人の意識を刈り取った。
「なっ・・・くそ、役立たずどもめ!・・・ヒィ!」
崩れ落ちる二人に悪態をつくアニウスだったが、座り込んだ股の間に宙を舞っていた剣が突き刺さり、情けない悲鳴を上げる。
「おい、お前。侯爵かなんだか知らないが、勝手に俺の仲間に手を出してんじゃねえよ。」
「あ、ああ、悪かった、頼む許してくれ。」
さっきまでの威勢ももう無く、アニウスの股は濡れてシミができている。
「もう、俺たちに関わるな。」
智春は殺意をこめてもう一度だけ睨むと椅子に座りなおした。
アニウスは何度もうなずくと部下を捨ててギルドから逃げ出した。
「うぉーーー、兄ちゃんスゲーな!」
「マジか!3とはいえBランクの冒険者を二人も素手で瞬殺しやがった。」
アニウスのいなくなったギルドの中を歓声が響き渡った。
「え?なに?こいつらそんなに強いやつなのか?」
智春はまだ意識のない二人を見て首を傾げる。
「強いも何も、兄ちゃん、そいつらはこの街で二番目と三番目に強いやつらだ。」
「ふーん、じゃあさっきの奴は?」
智春の言葉に周りの冒険者の目に殺気が戻る。
「あいつは、この二人の強さをかさに着てた雑魚だ。ただ、この街の領主の息子でな、威張り散らしてたんだよ。」
「ふーん、それであの雰囲気だったのか・・・」
「ああ、あれは、あいつが、お、恐れ多くも、ば、ば、ば、」
「「「「ば?」」」」
急に言葉に詰まる冒険者のおっさんに智春たちは首を傾げる。
「バローナの姉さんの手にキスしやがったんだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
おっさんは目をカッと見開き、ギルドを揺らすような大声で叫んだ。
周りの冒険者たちもその時のことを思い出してか、半端ない量の殺気がギルドに立ち込めた。
「お、おう、それは災難で・・・」
戸惑う智春たちを尻目に冒険者たちは集まって、口々に怨念を吐き出した。
そのあと、騒ぎを聞きつけたバローナが何とか事態を収拾して、智春たちはギルドを出た。
「はあー、なんかすごい人たちでしたね・・・・」
レイラが疲れたようにため息をつく。
「ああ、分かってくれるか・・・」
バローナがしょんぼりと肩を落とす。
なんだかとっても不憫だ。
「ま、まあ、慕ってくれているんだから、いいじゃないか。時には大変だが害はないんだろう?」
「ああ、害はないのだが、精神的に疲れるんだ・・・」
「そ、そうか・・・・」
智春が何とか励まそうとするが不発に終わった。
「はあ、着いたぞ、ここが魔法学院だ。」
バローナが憂鬱そうなまま学院に到着する。
「私が案内できるのはここまでだな。」
「ん?そうなのか、てっきり学園内も案内してくれるのかと。」
「ああ、そうしてやりたいのは山々なのだが、学園内に入ると色々大変なんだよ、精神的に・・・」
バローナのお通夜に行くような顔を見て事情を大体察した智春は何とも言えない表情になる。
「そ、そうか・・・案内ありがとな。色々助かった。」
「ああ、まあ、私は大体ギルドにいるからひと段落したら訪ねて来てくれ。鍛冶屋の事もあるからな。」
「おう、何から何まですまん。」
「気にするな。じゃあまた。」
それだけ言うとバローナはかっこよく去って行った。
「じゃあ、学院に入るか。」
「「「ええ(はい)」」」
バローナの背中を見送り、智春たちは学院の門をくぐった。
学院はまるで中世ヨーロッパのお城のような建物で、先のとがった塔などは地球で好きだった魔法使い眼鏡君のシリーズに出てくるホ○ワーツ城を連想させた。
「立派な建物ですね~」
「ああ、思ったより大きかった。」
智春たちは校舎を見上げながら感嘆の声を漏らした。
校舎に入るとすぐに受付があった。
「ダラベスト魔法学院へようこそ。本日はどのような用件ですか?」
受付嬢の金髪のおばちゃんが話しかけてくる。
残念ながら美しくはあるが少女ではない、きっと彼女が若かりしころはすっごくモテたんだろうなと予想ができる容貌のおばちゃんである。
「あ、ああ、はい、えっと、クルーペとこの街のギルドマスターからの推薦でこの学院に途中入学したいんだが。」
「はい、推薦書を提示していただけますか?」
「ああ、これだ。」
智春はビビアとディベラにもらった推薦書をおばちゃんに渡す。
「はい、確認しました。では、今から学院長室でクラス決めをいたしますので係りの者に付いて行ってください。」
「ああ、分かった。」
智春が頷くと、奥から綺麗な銀色の髪の美人なお姉さんが出て来た。
「では、ご案内いたします。」
どうやら彼女が案内係らしい。
お姉さんに付いて智春たちは学院内を進む。
窓からは大きなコロシアムが見えたり、なんとこれまた大きな湖などもある。
智春は窓の外の景色に目を奪われながらもふとあることに気がつく。
「あれ?耳がとがってる?」
そう、案内してくれているお姉さんの髪の毛の間から顔を見せた彼女の耳がとがっていたのである。
「はい、私は『森魔族』ですので。?何かおかしいですか?」
お姉さんは疑問に思われたことが疑問のような顔をして首を傾げる。
「いえ、ごめんなさい。この人はずっと人族のみの隠れ里に居たので少し常識に疎いんです。」
「そうだったのですか。」
セリアのナイスホローで何とかお姉さんの疑問を回避する。
そこからの会話はなんの不備もなく、学院長室の前に到着した。
「学院長、入学希望者の方をお連れしました。」
「うむ、入ってよいぞ。」
エルフのお姉さんは「失礼します。」と言いながら扉を開け、智春たちを部屋に通すと帰って行った。
「ほう、お主たちが入学希望者か、む、二人は精霊だな。うむ、皆なかなかに逸材じゃ。」
中に入ると柔和な顔で白く長い顎鬚と髪の毛を携えた老人が執務机で書類を書いていた。
「見ただけで分かるのか?」
「ああ、わしは今までに何人もの魔法を志すものを見てきておるし、また、精霊にも会うことは多いからの。」
「そんなもんか、っと、これがクルーペとこの街のギルドマスターからの紹介状だ。」
智春は手に持っていた手紙を差し出す。
「ほう、ビビアとディベラの推薦とな。なら逸材であるのも不思議ではないわい。」
「ん?ビビアはまだしもディベラを知ってるのか?」
「ああ、知っているも何もあやつもビビアもわしの教え子じゃ。」
「ふーん、世界って狭いもんだな。」
智春はしみじみとつぶやく。
「かっかっか、若いもんが何を言っとる。っと、話がそれておったな。改めて、わしがこの学院の学院長を務めるミディウス=バルマンじゃ。気軽に学長とでも呼ぶといい。」
「おう、俺はトモハル=アオヤマだ。」
「私は氷姫精霊のセリア・ウォルトスールです。」
「炎姫精霊のメイア・イフラルガです。」
「レイラ=オルモナークです。」
「ほう、オルモナークとな。レイラ嬢はバチルマ聖国の出身か?」
「へ?いえ、私はこのハンガリア帝国の辺境、バーシュ村で生まれました。」
「ふむ、そうか、なら勘違いじゃ、忘れてくれ。っと、ではクラス分けを行う。」
学長の言葉にレイラだけでなく智春たちも首を傾げていたが、素直に頷く。
「では、冒険者ギルドでも見たかもしれんが、検魔機じゃ。では、レイラ嬢からこれに手を乗せてくれ。」
「はい。」
レイラが水晶の下に四角い箱がくっついた形の検魔機に手を乗せると、クルーペの街で測った時よりも少し多くの球体が水晶の中を舞った。
「ほう、デュエットか。かなりの魔力量じゃ。特に治癒属性が大きいのう。っと、それが学生証じゃ。失くすでないぞ。」
検魔機の下の箱の部分から青色ベースに白と薄黄色で何か模様の書かれたバッチが出て来た。
「はい、ありがとうございます。」
「うむ、勉学に励むように。次はトモハル坊じゃ。」
「ああ、その前に学長。セリアとメイアはどうなるんだ?」
「おお、説明しておらんかったな。セリア嬢とメイア嬢は上級精霊が契約精霊の力の使い方の授業をやっておるからそれに参加してもらう。学生証はトモハル坊の物と一緒の出てくるから安心せい。」
「そうなのか、よかった。」
智春は安堵したように息を吐くと検魔機に手をかざす。
すると、いつかと同じように、いや、それ以上の勢いで12属性すべての色の球体が水晶の中を舞った。
「な、か、カルテットとは聞いておったがまさか全属性の適正とは・・・うむ、ディベラの奴が推薦書を書いたのもうなずけるわい。」
学長は驚きはしたものの年の功か、それほど取り乱さず納得するように頷いた。
検魔機からは12属性すべての色が使われており、真ん中に黒で何かの模様が書かれたバッチと水色の雪の結晶を模したバッチと紅の炎を模したバッチが出て来た。
「ふむ、では学院の説明をするぞ。この学院の授業は基本選択制じゃ。ただし、自分のバッチの色にある属性の授業以外は受けるかとができん。そこは気を付けるように。また、それとは別に毎朝自分のクラスで30分程度のホームルームに絶対参加じゃから寝坊はせんように。この学院を卒業するまで生活の場所は寮になる。集団生活は規律を守ることを心がけるのじゃ。休日は授業も休みじゃ。街に出て羽を伸ばすもよし、図書館や教室で自習するのもよしじゃ。わし的のは外で羽を伸ばした方がよいと思うのじゃがこればかりは強要できんでな。まあ、主だったことはこのくらいじゃ。何かわからないことがあったら担任に聞くとよかろう。」
学長からの怒涛のような説明が終わると見計らったかのように最初案内してくれた銀髪エルフのお姉さんがやって来た。
「寮の部屋の準備が整いました。」
「うむ、こちらも説明が終わったところじゃ。では、明日はこの者がクラスまで案内してくれるからの、部屋で準備だけして待っておれ。制服の採寸は明日行う。教材は朝のホームルームで担任から渡されるでな。では今日は部屋で休み、明日から勉学に励むように。」
「「「「「はい」」」」」
五人は声を合わせて頷くと学院長室を辞した。
「ふむ、全属性の持ち主か・・・・・はずれの年であってくれればよいのだがな・・・」
一人になった学院長室にその声は響かず消えていくのだった。
♢
ボロボロの家に入っていく少女は今日は珍しくご機嫌だった。
しかし、それを外には全く出さず、静かに小屋の中を歩く。
すると、奥の部屋から急に黒いひげを無造作に生やした盗賊風の男が顔をのぞかせる。
「おう、ちょうど戻ったな。仕事の依頼だ。依頼主はいつもの馬鹿貴族だ。まずはターゲットの居場所を探らせる。お前はいつも通りいつでも仕事ができるように準備してろ。まあ、早くても二日後だ。」
少女はフードで顔を隠したまま頷く。
「ふん、失敗はするなよ。お前を犯さないでおいている意味がなくなる。」
男は自分の言いたいことを言い終えたのか少女の反応も見ずに顔をひっこめた。
少女は唇をかみしめながら恐怖に震え、いつものように心の中でつぶやくのだった。
(私が生きるためだ、仕方ない。)と。
どうも、地下鉄でみんなの前で転んでもめげない外山です。
第三章始まりました。
これから智春君たちのドキドキ学院生活の始まりです。
皆さん、これからも進異世界をよろしくお願いします。
では、また来週お会いしましょう。
さよなら、さよなら、
なんでもいいので感想が欲しーよー




