↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/40

第二章:クルーぺ編  10話:冒険者智春

祝10話到達‼

10話:冒険者智春


森を抜けるとすぐにクルーペの街が視界に飛び込んできた。

クルーペの街は防壁で外敵から守られており、入り口には守衛の兵士が二人立っている。

智春たちが入り口に到着しないうちに守衛の一人が剣を抜き放ちながら近づいてきた。

「おい、そこの怪しい三人?組、止まれ。」

「あ、はい、やっぱり止められちゃいますよねー」

智春は苦笑しながら自分が引っ張って来た五人の芋虫人間を見下ろした。

「その後ろの奴らについての説明が聞きたいんだが。」

「ああ、俺らはバーシュ村から来たんだが、森でこいつらに襲われて二人殺したが五人は気絶してる。」

「なに、あの森の盗賊団か・・・、っつ、こいつらは指名手配中の奴だ!」

守衛の兵士Aは驚いたが、剣を収めた。

「すまないが、事情聴取がしたい、身分を証明できるものなどはないか?」

「む、特に持ってないんだが。」

「ん?冒険者ではないのか?」

「いや、それになりたくて村から出てきたところなんだ。」

「そうか・・・ではしょうがない、が、身分証が無いから通行料の一人10ピクルを払ってくれ。」

「ああ、っと、後ろの五人分はいらないよな?」

「もちろんだ、三人分でいいぞ。」

智春は小銅貨を三枚取り出すと、それを兵士Aに渡した。

「よし、確かに受け取った。では、付いてきてくれ。」

そう言うと、兵士Aは兵士Bに何かジェスチャーで合図し、街の中へ進みだした。

「ほら、トモハルが変な物拾ってくるからめんどくさいことになった。」

「まあまあ、いいじゃないですか。トモハルさんなりに何か考えがあるんですよ。」

智春を半眼で睨むセリアをレイラはなだめる。

「朝気絶させられたのによく味方なんてできるわね。」

「愛の力はそんな些細な事、乗り越えちゃうんです。」

「な、あ、愛って。」

「おい、二人とも早くいくぞ。って、セリア赤くなってどうした。」

「ど、どうもしないわよ、このバカ。」

セリアは怒ったように歩調を速めて先に行ってしまった。

智春は首を傾げるばかりである。


守衛所での事情聴取は盗賊を生け捕りにしたこともあり簡単に終わった。

智春たちは兵士の人に教えてもらい、冒険者ギルドに足を進める。

ギルドの建物は二階建てくらいの高さのかなり大きなところである。

建物内は入り口からすぐのところにテーブルやイスが並んでいて冒険者たちの飲食スペースとなっており、現在はまだ午前中の半ばあたりであるためか人はあまりいない。

左側の壁には一面、依頼と思われる紙が貼ってある。

部屋は中心あたりで壁に区切られ、その壁をくりぬくような形でカウンターが存在した。

そのカウンターも目的別に区切られており、換金や銀行、依頼の受注から飲食物の注文までたくさんの部署があった。

智春たちはその中の総合案内の部署に歩みを進める。

「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件で?」

智春たちがカウンターの前に立つと獣人族なのか猫耳、童顔の女の子がかわいらしく首を傾げた。

「あー、冒険者になりたいんだが。」

「はい、ギルド加入ですね。何名様ですか?」

「ああ、三人だ。」

「かしこまりました。では、この用紙に必要事項をご記入ください。分からないところはご質問ください。」

そう言うと猫耳さん(仮)はテーブルの下から用紙を三枚と羽ペン、インク壺をわたす。


ギルド登録用紙

氏名:

年齢:

種族:人族・獣人族・魔族・龍族  該当する種族に丸をつけてください

戦闘スタイル:

備考:

※何か必要なことがありましたらご記入ください


智春は用紙にざっと目を通してあることに気がついた。

「あの、これ種族のところに精霊が無いんだが。」

「へ?精霊ですか?」

「ああ、こいつが俺の契約精霊のセリアなんだ。」

智春は言葉と共にセリアの頭に手を乗せる。

セリアは赤くなりながら智春を睨むがその手を跳ね除けたりしない。

「上位の精霊の方だったんですか。かしこまりました。では、契約者の方の備考欄に精霊の方の名前と属性を記入してください。そして、精霊の方にはこちらの別用紙に氏名の記入をお願いします。」

猫耳さん(仮)はセリアから冒険者登録用紙を回収し別のカードみたいなものを渡した。

「すみません、精霊と契約している方は大体中位の精霊だったもので気がつきませんでした。」

猫耳さん(仮)は耳をシュンと倒し、頭を下げる。

「大丈夫ですよ。それより上位の精霊って珍しいんですか?」

「はい、やはり上位の方になると気難しいかたが多いそうで現在はS1級の方に一人だけ契約されている方がいるだけです。」

「ふーん、たったそれだけか・・っと、できたぞ。」

「私もできました。」

「はい、確認いたします・・・・、トモハル=アオヤマさんとレイラ=オルモナークさん、そしてトモハルさんの契約精霊の氷姫精霊セリア・ウォルトスールさんで間違えありませんね。」

「おう」

「はい」

「ええ」

「では、ギルドカードができるまでギルドの注意事項などを説明いたしますね。こほん、・・・」

猫耳さん(仮)は用紙を別の職員のお姉さんに渡すと、かわいらしく咳払いをすると現代でもよくある集団の注意事項を話す。

まあ、必要事項だけ簡単にまとめると、依頼の失敗や途中破棄などには罰金がかかったり、規則違反はその程度によってギルド除名や罰金などが科せられたり、ギルドカードがあるとギルドと提携している宿屋店でランクに比例した特典が得られるということである。

ギルドはどこの国にも属さず中立的立ち位置で世界各地に支部を置いており、そのため、ギルドカードはどの国でも身分証としてつかえるのだ。

「それでですね、冒険者のランクは、Eから始まり、D、C、B、A、S、SSおよび各ランク1から3までの21段階で評価されます。ランクは本人の強さだけでなく、ギルドへの貢献度や需要などによってギルドマスターが判断し、昇格試験を受けることができます。なので、自分を高めるだけでなくいろいろな分野でも頑張ってください。っと、申し訳ございません。遅くなりましたが、私は受付嬢を務めるエリナと申します。大体ここにいますので分からないことや困ったことがありましたらお声をおかけください。」

猫耳さん(仮)もといエリナさんが話終わるのと同時にさっきのお姉さんが二枚のカードとチョーカーを持ってきた。

「はい、こちらセリアさんの身分証明になります。中位の精霊を想定したものなので別のに首に付ける必要はありませんが、見やすいところに着けておいてくださいね。」

「ええ、分かったわ。」

そう言うとセリアは何のためらいもなくチョーカーを首に巻いた。

なんか奴隷みたいで智春の支配欲が、っとなんでもない。

そんなことを気にもせず、エリナさんはテーブルの下から長方形の箱の上に水晶玉がついたような形の道具を取り出した。

「では、最後にお二人の魔法力を記録しますので一人ずつ水晶に触れてください。」

「じゃあ、レディーファーストで。」

「かしこまりました、ではレイラさんお願いします。」

エリナさんはレイラの名前の書いてあるギルドカードを箱の穴の中に差し込んだ。

「は、はい。」

レイラが少し緊張した様子で水晶に触れると水晶の中で白い球が三個と青い球が二個回転し始めた。

「レイラさんは<治癒、水>のソロですね。記録しました。では、次トモハルさん。」

「おう、」

智春がどうやら魔力の種類を色で調べるらしい機械に手をかざす。

すると、水晶の中でとんでもない数の球が回転し始める。

「へ?え?緑、黄、薄黄、青、水色、白、茶、灰、黒、赤、橙、無色って、えーーーーーーー‼」

エリナさんの大声にギルド内の目線が集中する。

「ぜ、全色って・・・・」

バタンッ

「まったく、何の騒ぎだ。ん?エリナどうした?」

カウンターの奥に見える個室のようなところのドアが開き、中から白いおひげをたくわえた筋肉質のいかにもギルドマスターのようななりのおじさんが出てきた。

「じ、事務長。ちょっ、これ、大変です。ギルドマスターに報告を。」

あ、ギルドマスターじゃなかった。

エリナさんが体をずらして事務長に智春が触っている水晶の中身を見せる。

「なっ、ぜ、全色。ちょっと待ってろ。」

おじさんは焦ったように引き返し、どこかに消えてしまった。

「も、申し訳ありませんが、少しお時間をいただきます。どうぞ、あちらから中に入ってこられてください。」

エリナさんは左手にある扉を手で示した。

「おう、じゃあ行こうぜ。」

「え、ええ。」

「は、はい。」

智春が振り向くと二人は唖然としたまま頷いた。

扉からカウンターの裏側に入ると智春たちは接客用のソファーを進められた。

そこで出された『ケール』と呼ばれるコーヒーみたいな飲み物を味わいながら待っていると、事務長が戻って来た。

「ギルドマスターがあってみたいそうなので付いてきてくれ。」

「ああ、」

事務長は奥にある階段から二階に上った。

ギルドの壁に隔てられた事務側のスペースは二階建てになっており、倉庫や仮眠室、談話室などがあり、その一番奥がギルドマスターの執務室になっていた。

「ギルドマスター、お連れしました。」

「おう、入って来い。」

中からは豪快な男の人の声が聞こえる。

部屋の中には金髪に黒い目の大柄な男の人と黒髪に黒目でこれまた黒いナイトドレスに身を包んだ女性が立っていた。

「おう、お前が上位の精霊契約者でさらに全属性の魔法使いの疑いがあるってやつか。」

「ああ、そうだが。っと、敬語がいいか?」

「はっ、冒険者やろうってやつに礼儀なんて求めっかよ。それに俺も堅苦しいのは嫌いでな。」

「そうか、よかった。で、俺はそのなんかやばい立場なのか?」

「はは、やばいってゆうか、注目されること間違えないな。だって、全属性なんて今までの歴史を紐解いても片手で足りる数しかいないんだぜ。」

「な、そんなに少ないのか?」

「ああ、しかもそのほとんどが何らかの功績を残してやがる。」

「うーん、俺そんなに頑張るつもりないんだけど。ただ楽しく世界を周りたくて冒険者になりたかったんだが。」

「大丈夫だ。冒険者はそんな職業だ。まあ、お前の場合は周りからかなり注目されること間違えなしなんだがな。っと、本題に入ろう。俺がこの『ギルドクルーペ支部』のマスターのディベラ=ザザスだ。で、こいつが俺の契約精霊『影姫精霊えいきせいれい』シャリア・R・ザザスだ。」

「なっ、あんたも上位の精霊と契約してんじゃないか。」

「ああ、俺は契約と同時に結婚もしてるがな。」

「「「け、結婚?」」」

智春たち三人の声が見事にそろう。

「ああ、別に珍しい事じゃないぜ。大体上位の精霊が人間と契約する理由なんぞ、相手を好きになったぐらいしかねーからな。お前らは違うのか?」

「いや、全然。ただ二人とも旅を求めていてそれが一致したから契約したんだ。」

智春の言葉にセリアは不満そうな目で睨むが智春は気づかない。

「ふーん、そんなこともあるさ。まあ、俺とシャリアが契約したときはすごかったぜ。このおとなしそうなシャリアがなんぶへぇぇ。」

今まで黙って立っていたシャリアがディベラの横っ面を殴った。

「全くそんな話をせず、要件を済ませたらどう。彼らもこれから始まる冒険者生活に落ち着かないはずよ。そうよね、あなたたち?」

シャリアの威圧に怯えた智春たちは首を縦に振る。

「全く、恥ずかしがりやがって。っと、要件てのは話をして審査するだけなんだが、まあ、合格だ。冒険者として頑張りな。精霊契約の事で分からないことがあれば何でも相談しに来な。」

「おう、ありがとな。」

「では、失礼します。」

「お邪魔しました。」

三人は部屋を出てから一階に戻った。

階段を降り切ると、エリナさんが待ち構えていたように二枚の白いカードを手渡してきた。

「はい、こちらトモハルさんとレイラさんのギルドカードになります。二枚目の発行には1000ピクルかかるので無くさないように気を付けてくださいね。」

「おう、ありがとうなエリナさん。」

「ありがとうございます。」

カードには名前とEというランクだけが書いてあるだけだが、これ自体がマジックアイテムだそうで専用の機械でスキャンするといろいろな個人情報が見れるらしい。

「なあ、エリナさん」

「はい、何でしょうか?」

「これから夕方くらいまでには帰って来れるような近場で簡単な依頼とかない?」

「そのような条件なら一つ心当たりがあります。」

「マジ?じゃあ、俺らでそれ受けていい?」

「かしこまりました。手続きを終わらせておくので昼食をとってからまた来てください。その時に簡単な説明なども致しますので。」

「おう、ありがとう。それと魔法の教本借りれるんだよな?」

「ええ、貸出しておりますが、今回の依頼ではおそらく魔法の出番はないので達成報告の時にお渡ししますね。」

「おう、何から何までありがとな。」

「いいえ、それがお仕事ですので。」

バーシュ村ではあまり魔法を使う人がおらず、レイラやリリャーナ、サリーニャの魔法は鍛冶屋のバルバと三年前に亡くなったレイラのお婆さんが教えていたそうで、智春は教わる機会が無くてうずうずしていたのだ。

智春たちは以来の前の腹ごしらえをするためにギルドの建物からでる。

ここから冒険者智春の旅は始まった。












今回やっと10話に到達することができました。

ブックマークをしていただいた16人の方を含め、このお話に、目を通してくださっている方に深くお礼申し上げます。

また、このお話の感想もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。