加藤さんへの特訓
仕事を始めてから二週間後、三度目の休業日があった。その日を使ってシープアームズは戦闘訓練を行うことになった。職場環境で、その間変わったことといえば、前回の飲み会の後、俺と小林の関係は公然の秘密となっていた。それを職場のスタッフは温かく見守るだけで陰口を叩く人などいなかった。一度目の休日は学習教材を作っていたため俺は働き詰めの状態だった。その日の予定では実弾を使った射撃訓練も行うため、近くのシューティングレンジへ向かった。そこにいた教官は海上自衛隊の特殊部隊である特別警備隊に所属していた経歴を持つ藤木桐人という人だった。彼はまず銃の構え方と照準の合わせ方から説明を始めた。教えたのはハイグリップという握り方やウィーバースタンスという構え方、さらにサイトピクチャーの説明から始めた。虹香は難なくやっていたが、他の二人にとっては難しいことだった。佐和子と鈴木に対して、俺と藤木が一対一で指導することになった。サバゲーで知り得た知識はこの場面においてかなり役立った。その成果もあり、二時間も経つころには20メートルでのターゲットへの命中率は二人とも40%から70%に向上していた。それはとても喜ばしいことだった。
昼からの講義はこの前の戦闘で必要性が認識された、閃光手榴弾の使い方についてだったが、俺だけが射撃訓練を続行して受けることになった。サバゲーでは、バレルの向きから大雑把に照準を取っていた。いわゆるポイントシューティングというものだった。その方法で射撃をすると、10メートルで50%、20メートルで20パーセントという午前中に教えた初心者の二人よりも悲惨なものだった。それを見た教官の藤木は、それでは近距離では役に立つかもしれないが、中距離での市街における本格戦闘では役に立たないと宣言した。しかし午前中に教えたやり方、特に構え方と照準の合わせ方については俺には難しいものだった。車椅子の上で姿勢を変えるのがほぼ不可能に近いからだ。そのため、藤木は拳銃のアンダーレールにレーザーモジュールを取り付けることを提案してくれた。それによって射撃の精度は格段に上がった。ターゲットにレーザーポインターを合わせるだけなので、最初と比べて三倍程度の成功率に引き上がっていたのだ。他の三人も閃光手榴弾.の扱いをマスターするために時間をかけていた。敬語に関する戦術等の講義も受けつつ、昼から始めた訓練は日没前まで続いた。
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次回の投稿予定は7月12日です。




