プロローグ
新作です
俺の手は震えていた。何故ならば人生で初めて他人の命を殺めるかもしれない状況に置かれていたからだ。武装警護員になって数ヶ月が経過していたが、これは初めての経験だった。銃口を人に向け、射撃をしたことは何度もある。しかし、それらに装填されていたのはBB弾であり、実弾ではなかった。 今、手に持っているのはGlock26。サブコンパクトピストルとして世界中で人気のあるものだ。眼前に広がっているのは、五人組の襲撃者が重度重複障害者に向けて金属バットを振り下ろそうとしている様子だった。危害を加えられようとしているのは俺の護衛対象だった。多くの利用者は介護職員や同僚の警護員と共に避難できたが、数人が取り残されてしまった。彼らの表情は怯え切っており、その目は助けを求めていた。その顔を見た時、俺の中で何かが弾けた。引き金を引いて実弾を発射した。トリガーは重たかったが、アドレナリンの影響で普段より軽く感じ、連続的な発砲が出来た。レーザーの照準は大雑把だったが、撃った五発のうち、三発が二人に命中して地面に血液が滴った。それに驚いた襲撃者たちは撤収していった。自分が行なった行動で負傷者を出したことによる事と緊張状態が続いたことで俺の息は上がっていた。行動の重大さに気がついた俺はパニックになるのをなんとか抑え、胸につけていたトランシーバーのVOX機能を使って言葉に詰まりながらも救援を求めた。「こち、こちら佐藤、襲撃者は撤退。きゅ、救援を願う」




