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異世界日本の世界戦記  作者: 正軒
 秋田修也
8/25

主戦場

 敵と交戦を始めて数分、数時間、感覚だけでは正確な時間もわからない程だ

何回も撃ち、装填し、殺した、さっき話してたやつが次の瞬間にはただの肉の塊になることが珍しくないこの戦場で損耗率(そんもうりつ)0を続けてきたこの部隊は異常だ。

 だが、今回はそうもいかないらしい


「…何だ?」

「この音…」

「っ伏せろ!これは、敵の火砲だ!」


 班長の一人が叫んだころにはもう遅い、耳鳴りを引き起こさせるほどの轟音がしたかと思うと土煙が巻きあがり、晴れるころには部下の死体が転がっていた。


「…馬鹿野郎、お前ら帰るんだろ、家に」


 同僚数名が涙を流した、でもそれは敵にとっては隙でしかない、数十人の中国軍を涙をこらえ迎え撃つ


「泣くのは後にしろ、ここは戦場だ」


 新しく命令を重ねる、でもそれは命令といえるものではない、本隊が来るまで、まだ数時間もある。

――死にたくない、死ぬ気もない、なら、生きるしかない

 僕の中で、何かが割れた気がした


「…?」


 不思議そうな顔をする副官に嗤う、そして告げる。


「なあ、損耗率を考えないなら最善の策でどこまで戦える?」

「…殲滅(せんめつ)できます」


 苦い顔でそう告げると、こっちも少し嗤う。

 だからと言って部下を無駄に死なせるわけにはいかない、そう、『損耗率を考えていない』それは、犠牲をどうとも考えなければ、である。


「聞いただけだ、別にやるわけじゃねえよ」

「口調、変わってますよ」


 口調なんて気にしてたら生き残れないぞ?と思いながらも引き金を引き続ける

あれから防衛を続けているが、敵の火砲によってじりじりと削られているのが現状だ、これを突き破るには援軍が欲しいところだ、死体から匂う血と臓物の匂い、酷い匂い、正気でいろという方が難しいかもしれない。


「どうにか、火砲を押さえたいな」

「場所はわかってるんですがね…これじゃ少しずつ削られて終わりですよ」


 砲撃が続き、少しずつ、確実に仲間が消えていく、援軍はもう少しかかる。

 だんだんと適応してきた古参兵が班長が戦死したところをまとめ上げて緊急で部隊を作る。

 訳も分からず撃ち続ける敵の新兵らしき同年代に見える若者を撃つ。


「…おい」

「どうかしましたか」

「視えた、活路だ」


 ニィと不敵に嗤う、敵戦闘員は目に目て減っていて、すでに半分以下になっている。

これでも十分な戦果となるが、生憎とここで引くような奴は二番隊にはいてくれない。


「勝ったぞ」

「…?」


 不思議そうな顔をしている副官に補足として説明をつける。


「無線をつないで援軍要請をしたのは一番隊だ」

「はい」

「じゃあ、()()()()()は何をしているんだ?」

「…まさか」


 古参兵が動く余裕ができたのは砲撃が落ち着いて(・・・・・)きたため、じゃあなんで減ったか、それは明白すぎる理由がある。


「全員立て!行くぞっ…三番隊が砲兵を減らした!目の前を切り開け!」


 精鋭が一、二番隊だと思ったら大間違い、ここは荒くれ者だけでできたベテラン部隊だ。

僕らが最初に援護したのは交戦中の三、四、五番隊それが終わってすぐにこの主力部隊に気付いた。

ならその僕より経験が長く、できる奴らが気付かないはずがない。いや、気付いてはいた

――その後ろにいる砲兵の厄介さに


 そしてそれぞれ別で動いた、五番隊は奇襲用意、四番隊は一番隊の援護及び連絡、三番隊が砲兵部隊を強襲、連絡なしでこれをやるのだから自分の部下が怖いくらいだ。


「蹴散らせっ」


 単純な号令、それ故に誰もが意味を理解し、殲滅する。

その中で、部隊長全員が同じ言葉を不敵な笑みで発した。


「「「総員、突撃!」」」


 三方向から、敵にとっては絶望するくらい強い古参兵がさっきまでの三倍となって襲い掛かった。


 

 解説

・損耗率

 部隊の中でどれだけ人が死んだか表す数値

例えば百人部隊で損耗率三十%なら三十人が死亡したことになる

百%中どれだけが亡くなったかを表す数値ってことでお願いします


・火砲

 重砲とか言われたりもする。

大砲が移動しやすくなり、射程も伸びたって感じ、いや普通に大砲なんですがね

歩兵の中にこれが混じるだけでだいぶ厄介になる兵器

 評価、ブクマ、ありがとうございます!

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