援軍
血生臭い、敵味方入り乱れる戦場、日本軍の方が圧倒的に数が少ないがそれでも押しているのは日本軍だ。
銃撃音に紛れて時折肉を裂くような重い音が響く中国軍は減っているがそれは日本軍も同じだ
「達城!」
「どうかしましたか?」
「三班が薄くなってる援護に向かえ」
「了解っ」
先ほどまで副官として近くにいた達城知樹に指令を出し、僕は自分が一番得意な武器、刀で接近してくる敵に応戦する。
第三部隊が敵の重砲を鹵獲したがここで撃てば味方もろとも吹き飛ばすことは分かっているので撃たずに乱戦に入ってきている。
「くそっ、隼人たちはまだ来ないのかよ」
すでに全体で目に見えて互いの軍の数は減っている、そのため援軍がなければここで壊滅すらあり得るような状況だ、これ以上減れば日本軍はこの先苦労する、中国軍は防衛が困難になる、互いに一平でも兵士を減らす、そう考えていた時だった
大量の足音、そして発砲音、銃声は九八式…日本軍の銃だ、でもここにそんな大軍は来ないはず足音、ここから見える人数では五万人はいるそれが海岸方面から押し寄せてくるとわかったとき、戦闘が始まって一番安堵した。
第五軍、山下奉文直下部隊
指揮官は戦い方からして山下将軍だったからそう判断した、僕と隼人を拾ってくれた人物であり、上官であり、師だ
「総員乱戦を解いて離脱っ!ここにいたら巻き添え食らうぞ!」
「「「「…了解っ!」」」」
結果だけで言うと日本軍の中でも一、二を争うレベルの山下将軍の部隊による圧勝だった。
こうして、上海攻略戦は日本軍の勝利で幕を閉じた。
上海・日本軍臨時司令部
「にしても、山下さん派遣されたんですね」
「ああ、今着いたところだ」
「山下将軍、援軍感謝します」
隼人は相変わらずで、僕だけでなくほとんどの人が目上に対する態度が少し抜けているところは死んでも直らないだろうと思い始めている。
それよりも僕は何か引っかかるとさっきの戦闘から思い始めていた、首都防衛軍にしては数が少ない、新兵が多く指揮官クラスは少ない、なによりも拠点を築いていない
「山下さん、なんで俺たちのところに来たんだ?」
「ここら辺の軍が最近怪しい動きをしているんだ、敵の規模を考えると私が適切だと本営で判断された」
「なるほど」
「ところで将軍」
「どうした」
「実はさっきの戦闘で気になる点が…」
話始めようとしたとき、大本営に繋がっている無線機から異常な暗号が送られる。
『中華統一戦線の形成、全軍閥が併合され、集中攻撃に遭った重慶攻略中の第三軍が壊滅』
遅かった、これは中国全土の協力体制が発足されたということだ、しかし第三軍は牛島中将が管轄していたはず、そう簡単にやられるか…?
「…協商国」
「どうした?隼人」
「支援国が後ろにいるんじゃないか?」
「協商だとカナダとかイギリスだろ?現実的な距離じゃないな」
そう、ヨーロッパやアメリカ周辺の国は距離や敵国の位置関係的に中国支援は難しい
アメリカは不参戦の影響で内戦が起きているはずなので余裕がない…つまりあそこしか今動ける国はない
「…ロシアか」
「正解だ修也、これは中国が協商に加盟したと考えるべきだ」
「二人とも、そうなってくると、私たちの動き次第では二度目の世界大戦が起きるぞ」
渋い顔で山下将軍が指摘する、確かに、ここで協商国と敵対して第二次世界大戦を起こすわけにいかない、だが撤退も可能なのか?
「一番現実的なのは講和です。上海、北京解放を条件に沿岸部を要求といったところでしょうか」
「それで奉天が納得してくれればな」
「最悪の場合奉天と敵対することになります、関東軍の動きも怪しい」
現時点では敵とも味方ともいえない軍、関東軍…僕たちは全員、協商の動きと関東軍の動きの二つを予想し、作戦を練ることにした。
解説
・九八式
日本軍のライフルの一つ調べると「あ~なんか知ってる」って感じになる人が多いと思います。
・協商国
一次大戦でドイツ帝国らの陣営と対立した陣営イギリス、フランス、ロシア帝国、大日本帝国など後の二次大戦での主要国はドイツ以外はこっち
・アメリカ不参戦
この世界ではアメリカが一次大戦に参戦しなかったためドイツの大春季攻勢が成功、それにより、なし崩し的に協商は敗走を続けた。
・関東軍
大日本帝国の大陸方面軍、史実では奉天政府の首相を爆殺したりと陸軍の暴走を表していたような組織だった。
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