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異世界日本の世界戦記  作者: 正軒
青木隼人
3/25

鎮圧

 街中を疾走しながら駐屯師団に援軍要請を出し、首相官邸に衛生兵だけを先行させなければいけない状況を作った敵に軽く舌打ちをする。


「世界が違えば事件内容も違うってことか」

「大佐!第五班重傷者多数ですっ」

「第四班を護衛に回して撤退しろ、四、五の穴埋めは…達城中尉」

「はっ」

「三班の指揮権を委託する、俺の部隊からも半分持っていけ」

「了解!」


 別動隊…史実だと発電施設の破壊に回っていた部隊のはずだ、保険を用意して襲撃をかけたか

兎にも角にも、突破しなければ始まらないこっちは鎮圧用の非殺傷装備に対し相手は実弾の武器…こちらが中国内戦に介入して経験を積んだ部隊だとしても、ハンデにも限度があると叫びだしたくなるほどだ。


「援軍はまだか!」

「もう少し耐えろ、戒厳令が発令されれば東京の師団と近衛師団が動くはずだ」


 もしも、戒厳令が発令されてもこちらに部隊が回ってくるとは限らないというか、首相と天皇最優先で動くはずだしかも、もう一つの頼みの綱である近衛師団はあくまで天皇の警護が主任務となっているためこちらの援軍は期待しない方がいいとなると…


「きついな…」

「だからといって、中国戦線みたいに大佐一人斬り込んで他全員援護はなしですからね」

「さすがに今はやらねぇよ」

「今度やるみたいな言い方も駄目です」


 そんな軽口を交わしながら敵の銃弾をよけているもんだから、本当に自分の部隊が化け物ぞろいだといわれる理由もわかってきてしまう。


 そんなことがあり、数十分もあれば最初は百人ほど連れてきた部下も撤退と数名の死者を出してしまい四十名まで減っていた、その間無力化できた敵は半分ほどで劣勢に変わりはない


「クソ、総員撤退!部隊との合流を優先しろっ」


 戦闘中、無線により最初の青年将校は全員無力化できたと報告が入ったならば無理に足止めせず、首相官邸の方へ走ればそっちの方が有利に働く、そう考え、全員に撤退の指令を出し、スモークグレネードを数個地面にたたきつける…ピンはちゃんと抜いた…はず

衝撃で壊れるから関係ないけどね!


 スモークを合図に全員が走り出し、数名が前方にスモークを投げてさらに相手の視界を奪う、その隙に俺が閃光手榴弾を投擲、敵の目を最優先でふさぎ、そのまま、数名とともに屋根の上を疾駆しながら相手に威嚇射撃を行う。


「余裕あるやつは支援、屋根に上って無いやつはそのまま走れ!」

「「「「「了解っ」」」」」


 そうしてそのまま相手を無力化、投擲、疾走を繰り返して、前方から走ってくる陸軍の制服を着た部隊を視認、同時に全員が反転、負傷者をかばいながら鎮圧にかかる―――




――五月十六日 宮城 天皇陛下御前会議の場


 五月十五日、国家改造派による反乱が発生、首相暗殺未遂、陸軍兵士、軍警察数名殺害、国家反逆罪を同時に犯した犯人は中心人物を死刑、他協力者を禁固十余年あまりとして判決が下された


 この事件が現代にも伝わる 五・一五事件である


「青木准将(・・)また手柄を上げたようだな」

「偶然ですよ、ただ予測が当たっただけです。山下将軍」


 山下奉文、俺が未来人だと知っている数少ない信用できる人のうち一人であり、俺を拾い、才能を見出して軍に入隊手続きを行ってくれた人でもある。


「そろそろ、結婚でもしたらどうだ?むこうでもしていなかっただろ」

「考えておきます、ですが、いつか帰る時が来て悲しむ人がいるってのは心苦しいですから」

「そうだな…私もそういう人は多くなくていい。むしろ、いないでほしいと思うんだがな」

「あなたぐらい有名だと無理でしょう」


 彼女いない歴=年齢 の俺には結婚願望自体はあるが、悲しむ人は少ない方がいいそれに、ここから十年とたたずに世界大戦が起きる、いつ死ぬかはわからない戦場へ行くのだ、それだとなおさら、そういう人は要らないと考えてしまう。


 もし、孤児を拾いでもしたら少しは変わるかもな

そんなことを考えつつ、俺は自宅の帰路へと就いた。



 解説


・近衛師団

 天皇陛下を護衛する師団のことを主に差す

 ドイツの親衛隊ほど規模もなく、部門もないが精鋭ぞろいのため本土決戦での戦力となりえた部隊

史実では本土決戦なかったけど


・御前会議

 天皇陛下の御前で行われる重要な会議、主な国の目標、重要な判断は各大臣含む最高位の人物たちによって決められる、その時の会議は宮城で行われ、天皇陛下自身も参加するため御前会議といわれている


・山下奉文

 陸軍所属の将軍、史実ではマレー攻略戦で活躍した指揮官、指揮能力は高く、この世界では実質的に陸軍大臣の次に偉い陸軍総帥に近い立場にいる

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