反乱分子
えー、こちら青木隼人。
拝啓、これを読んでいる誰かさん
今何してますか?PCとにらめっこですか?スマホポチポチですか?いいですね、できることなら私もしたいです。と言うか現代に戻りたいです(泣)
……さっきから何やってんだ俺、ついに壊れ始めたなオイ。聞いてる人なんていないし聞いていても意味わかる人周りにいないのに。
「九時方向より敵!中隊規模ですっ」
「藍月に行かせろ、本隊はこのまま前進」
「了解」
「副師団長より伝令っ、最前列が包囲されています」
「予備隊を走らせて退路を作れ、達城隊は撤退の援護に回らせろ!」
「はっ!」
あんなに自慢げにサブマシンガンを量産すると言ってから数日、試験運用もかねて中隊一個分の試作品が上から回ってきた。
そしてそのまま東京で訓練する予定だったのに反乱が起きている群馬県まで駆り出された。せめて歩きじゃなければ嬉しかったなどと思いながら謎に統率がとれている反乱軍に向かって部隊を突撃させる。
反乱の理由はこっちが思っているよりも単純で北一輝の同志が水面下で動いて種火を作り、そこに軍部が国民からの署名を無視して五・一五事件主犯格を死刑、もしくは終身刑としたのがガソリンとなったらしい。
国民様は民主主義がお嫌いなようで首相を殺そうとした五・一五事件の主犯や北は英雄のように扱っている。
だが、未来人からすれば戦後すぐに変わってしまうことは知っているのでいろいろと面倒くさい。
「…『神のオルガン』か」
「何か言いました?」
「別に気にするな。それよりもさっきの増援はどうなっている」
「それでしたら藍月隊長の笑い声が聞こえたので大丈夫かと」
「そうか」
……今になってまともな人間が多くなったから分かるが、俺の部隊は自分含め戦闘狂が多い。特に藍月は人が変わる、刀で斬り込んで道を開けさせるタイプだ。
この時代にはもう、剣で道を作る英雄は要らないというのに。
「かっこいいでしょう。自分達を導いてくれる英雄は、輝いて見えます」とは藍月の談である。いつも先陣を切り、笑いながら皆の行くべき道を拓く英雄――それが藍月だ。
「さて、憂いもないことだし始めるぞ。合図を送れ」
「了解!」
回線に指示を流すと同時、後方の重砲部隊が火を噴いた。
重苦しい砲撃音と共に、着弾。反乱軍の血肉と砂埃が舞い上がり、互いの視界をふさぐ。
「鶴翼の陣で突撃!抵抗するなら殺しても構わん、試験部隊を前列にして制圧しろ!」
前方の視界が開け、部隊が左右に展開。包囲陣形を取りながらサブマシンガンで制圧射撃を行いながら前進する。
目に見えて減ってこそいるが、それでも正規軍と装備は変わらない部隊だ。それにこっちは訓練中の新人士官ほぼすべてを東京に残してきているのでこれでやっと数は五分、ここからは練度と指揮官がものを言う。
そして、この部隊四千人の中核を占める三百人は日本軍全体を見ても最強であり最古参の精鋭部隊。ただの反乱軍に後れを取る道理は、ない。
「焦るな、冷静でいろ。負ける道理はない、それで十分だろ」
そして俺は下す。同胞でもあり、かつての同期もいるかもしれないしもしかしたら親族がいるかもしれないその反乱軍に向かって。非情だが、一番まともな指令を
「叩き潰せ。関係なく蹂躙しろ」
そこからは、一方的な虐殺であった。
解説
・五・一五の署名
日本全土から「かれらは英雄だ」などといった青年将校をかばう署名が集まり、当時の大臣がそれを示したため史実では五・一五事件の主犯格は軽い罰、無罪とされた
・神のオルガン
ドイツのSS国家公安本部長官、ラインハルト・ハイドリヒがイギリス特殊部隊の襲撃に遭い、駆けつけてきたヒムラーに
「結局、我々は神のオルガンに合わせて踊っているにすぎません」と話し、運命と向き合うことを示した。この数日後、ラインハルトはその傷が原因で死亡する
・鶴翼の陣
大体の人は知っているであろう、鶴が翼を広げたような形になる陣。主に敵を包囲する目的で使われる陣形である。
・制圧射撃
煙幕で前が見えない?敵が居そうなところに弾をばらまけばいい!これFPSでも使えるから覚えておいてください。要は弾をばらまいて見えてるかどうか関係なく敵を殺す戦術です(ごり押しともいう)
ブックマークありがとうございます




