決戦前
南軍に群がる敵を退けた後、指揮所へ戻ると山下将軍がいた。
戦況が心配なのはわかるが不利状況で敵前に身をさらすのは僕や隼人でもない限りはしない、今回は幸いにも突破されなかったので良かったが奇襲がバレれていれば時間の問題だった。
「なんで出てきてるんですか」
「戦闘が終わったなら状況の確認くらいはしておきたいのでな」
「…見事に弟子にも受け継がれているようですね」
「よっす修也、俺も来たぜ」
「……」
包帯だらけの隼人が部下の肩に腕をかけてこちらに向かってきたので僕はもう呆れるしかなかった。上司も隊長もこれだと副官は大変だろうな、片方は僕だけど………ハハハ……
というか総指揮官と一人指揮官抜けてるってこの軍大丈夫か?次に大規模攻勢が来たらどこが抜かれるんだろうと思いながらカロリーメイトモドキをかじる。
「明日は僕と直下隊だけここに残ります。流石に隼人たちがいるとはいえ半分くらいいなくなったら西方は危険です」
「あーそれなんだが…二人に大本営から知らせ?がある」
「「?」」
山下将軍が胸ポケットから紙を取り出し(恐らくここへ来る前に持たされたのであろう)読み上げる。
「『青木隼人中佐秋田修也中佐奉天から中国戦線に即配置転換となっていたため伝達が遅くなった、両名を一階級昇進、中佐とする』…要は二人ともここ二、三か月の間、連絡にろくに応答しないから知らなかっただけでもう中佐なんだ」
「「…え?」」
二日目
「第三隊、左方支援だ!」
「指揮官っ第五隊が危ないです」
「第六を行かせろっ」
あの後、僕と隼人は中佐というのを認知。互いに山下将軍からの命令もあって各方面軍の指揮官になった。(昨日で東以外の指揮官は戦死したらしい)
予想以上に敵の勢いが激しい、このまま削れていけば明日明後日にはこちらの負けになる、明日以降の反攻作戦を要請しておこうと思いながら二日目をなんとか乗り切った。
指揮所
張り詰めた空気の中、山下将軍が作戦を伝えていく
「……これが詳細だ。各軍明日からの反攻を開始しろ、いいか、失敗は許されない。必ず勝利を手するぞ!」
「「「「はっ」」」」
テントの外に出て、電気をつけていないからこそ見える満天の星空を観察する。
こうしていると色々なことが思い起こされる、今頃、未来にいた家族はどうなっているのだろうか、僕を探しているのだろうか、それともこれは僕の夢に過ぎないのだろうか
浸っていると、背後から軍靴のうるさい足音が響いて振り向く、そこには隼人がどこで手に入れたのか一升瓶を持って立っていた。
「飲むか?」
そう聞かれてから、僕は少し迷ってから
「…いや、勝利の美酒として明日飲ませてもらうよ」
「そうか、じゃあこいつは俺が」
隼人は隣に座ると、栓を抜いて酒を一気飲みした。
相変わらず酒には異常に強いなと呆れながら今度は隼人との思い出を探す、
小学校時代、いじめられていた僕を助けてくれた。
中学校時代、七不思議をはじめとする奇妙な出来事の調査をする隼人に連れまわされた。
高校時代、隼人の受験勉強で家庭教師代わりになった。
大学時代、二人で合格、でも結局隼人の座学の成績はボロボロだった。
大学卒業後、どっちも就職に成功、結構大変な仕事をした。
「…僕達、帰れるかな」
「弱気になってんじゃねえぞ、戦場で生き残る、そして帰る。それは絶対だ」
「……そうだな、お前が言うと、できそうに感じるよ」
「俺がやると言ってできなかったことがあったか?」
「…ないな、スケールはでかいがお前は、きっとやるよ」
「おう、安心してついて来いよ副隊長」
「来年にはその座を奪い取ってやるよ、隊長」
隼人はこっちを見ると豪快に笑いだした。
そんなに面白かったかはわからないが隼人にとっては数分間爆笑するくらいのことらしい
テントに戻る前、「奪えるなら奪ってみろ、相棒」と言い残して隼人は今度は軽快に笑った。
三日目
――報告、日本軍、勝利。
将校、死亡数 五 重傷 一
兵士、死亡数 一万五千程 重軽傷者 多数
用伝達事項
最大功労者 第三重装歩兵隊隊長 青木隼人中佐
(故)同副隊長 秋田修也准将 二階級特進済
山下将軍が本営に提出した報告書、そこには功労者として俺と今はもういない相棒の名前が記載されていた。
解説
・一升瓶
いやこれ解説要らなくね?一応載せとこ
あのでかい酒瓶(適当)
・急な昇格
展開が面白そうだからやっただけです、実際はこんなこと起きません(というかそういうのがない世界が一番)
三日目は雑にしたわけではなく長くなりそうなので次回書くことにしただけです(修也の死に方が思いつかなかっただけなんて言えない)




