予想外の敵
山下将軍の部隊含め、五万四百人が上海に陣地を設営する。
足止めを続けた二番隊と一番先頭を行った五番隊、砲兵陣地を制圧した三番隊の被害が大きく百人もの隊員が亡くなった。
「というか、大将…実質元帥のあんたがこんな前線まで出ていいのかよ」
「問題ない、本土防衛には栗林中将がいる、先ほど牛島中将ら第三軍の上層部も生存が確認されたので大丈夫だ…それに」
「…近衛師団か」
「その通りだ、お前が在学時に提出した計画は順調に認められてる」
「そりゃなにより」
上司でもあり師匠でもある山下将軍にまるで友達のような接し方をする隼人、僕はそんな風にはできないなと思いながら野戦糧食をかじる、相変わらずの固めのカロリーメイトのようだ。
「あっ、修也俺の分あるか?」
「隊長だけ飯ないとかどんな部隊だよ…ほれっ」
「よっと、ありがとな山下さんも食う?」
もう一つの糧食を隼人の方へ投げる、そういえばそろそろ中国軍が攻めてくるころだと思ったが来ない
それを予想したから土塁作りと塹壕掘りを急がせているのだが…そう考えながら地図を広げた机に敵の進軍予想図を書き込んでいるといつも冷静な達城が呼吸も絶えた絵にして飛び込んできた。
「隊長!こっちの予想が全部外れた」
「なにがあった…それよりとりあえず落ち着け」
「のんきなこと言ってる場合じゃねえよ!今総員で敵に対処しているとこなんだが中国軍じゃねえ」
「…ロシアの義勇軍か?」
「最初予想が外れたって言ったよな!?インド軍だよ!」
インド軍…そういうことか、こりゃ僕らが知ってる世界大戦と大幅にずれるぞ、今手を打たなければ日本対世界だ。
それを察したのか隼人は素早く作戦計画を立て指揮を飛ばす。
「山下さん、今すぐ大本営にこれを伝えてくれ、このままじゃ日本対世界で対戦が起きる」
「わかっている、通信兵!今すぐ本土につないでくれ」
「僕は先に前線指揮に入ってくる、とりあえず指揮官は一人でも多い方がいい」
「頼む、達城も付いていけ」
「了解!」
僕はテントを後にし、自分の銃を肩にかけて達城とともに前線へ向かう、すでにあちこちから怒号と銃声が響いており戦闘が始まっていることを実感させる。
「苦戦しているのはどこだ」
「うちの部隊が担当しているところです、敵が一番来ている西側、将軍が連れてきた部隊の大隊長クラスが辛うじて持たせています」
思った以上に戦況は悪いようだ、僕は走る速度を上げて急いで西方へ向かった
だから気付いていなかった人類史上最大の帝国がただの歩兵だけで攻めてくるはずがないと、銃声に対空砲が混じっていることに、気づけなかった。
解説
・インド軍
イギリスに残った数少ない植民地の一つ、インドはイギリスの属国状態に近いためこれはイギリスの参戦を意味する
・人類史最大の帝国
イギリスもとい大英帝国は最盛期には地球の陸地の約二十五%を支配していた名実ともにに最大の帝国である
いつも読んで下さりありがとうございます




