情報屋とのファーストコンタクト
何でだろう。ストーリーが全然進まない…。
教会の入り口のところで礼拝をしていた獣人とシスター達はこちらが入ってくる前から視線を向けていたようだ。恐らく、獣人の5感で今来ると分かったのだろう。
気づくと同時に、地に膝を着き祈った。
俺は驚いた。予想とだいぶ違った。俺は神様などと崇めているのは都合のいい様に形だけのもので、助けてもらうための大義名分であり、利用するためだけなのだと思い込んでいた。
まあ多くの人はそんな感じだとは思うが、今ここに居た人たちは違った。ずうずうしく、初対面の俺に『神様』だからで私事を頼むわけではなく、声もかけず、ただ祈っていたのは驚きだった。
人は都合のいい生き物だ。だからこそ、嬉しかった。ただ心が暖まった。それだけだ。
なのであれば、俺はその祈りにふさわしい活躍をするべきだろう。
そう思いながら教会を後にした。
★★★
「さて、もう一回森で魔物狩るか」と思い、歩みを進めていた。が、
「ちょっとお話いいですか」
声を出した方を見てみると、猫獣人の背の高めの優男がこちらを見ていた。
「俺ですか?忙しいので無理です。他を当たってください。」
今まで俺に話しかけてきたのはプレイヤー、住民問わず冒険者、そして、その誰もがパーティーつまり複数人いるはずなのにこいつは一人どう考えても怪しい。
「まあ、まあそういわず。ちょっとお話したいだけなんですよ」
うさんくさい。絶対『ちょっと』ではすまないだろう…。
「なぜ俺なんですか?」
ごまかしたらこれ以上話は聞かない。
「分かりました。正直に言いましょう。私は情報屋です。なので最前線を突き進んでいるあなたをずっと探していて、ようやく見つけたということなんですよ」
…嘘ではないな。ここで、嘘をついた場合、俺との関係が悪化するのは明白だ。わざわざ、そんな危険を冒すぐらいなら正直に言うはずだしな。
だがまあ、どちらにしろ…
「教える義理はないな。」
教えて得することなど一つもない。むしろ損するだけだ。
「もちろん、ただで教えてもらうつもりはありませんよ。私達が独自に得ている情報をお教えしましょう。」
交渉になれているな。ここで、俺が欲しいものを考え。『独自の情報』という怪しい言葉で誘ってきた。 金やこれから得た情報をいち早く教えるなんていった日には、すぐさまその場を去ったことだろう。
だがその回答では不十分だ。重要な情報でも俺が最前線って言ってるんだから、情報量は俺のほうが明らかに上。俺が損するのは確定だ。
「『独自の情報』というのはどういったものか知りませんが、教える気は無いので」
目先の利益ばかりで交渉をおろそかにするとはな。それだけ、俺の持っている情報が欲しかったと言うことか。情報屋として半人前だな。
「へ~そうですか。」
男は俺の答えに眉をピクリと動かした。俺に断られると思わなかったのだろう。
「じゃあな、先を急ぐからな。」
有無を言わさず俺はその場を後にし森へと向かった
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