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今度は普通にアナベル視点です!

「ついに、遂にこの時が来た...!!」



私、アナベル・マーティンはノートを眺めながら呟く。

先程のお父様に言われた言葉が頭にこびり付いて離れない。



────そろそろお前もいい頃だ。婚約者を用意したから次の私の休みに会いに行くぞ。




思わず頭を抱える。そんな、時期が早いとはいえ『ディラン』もいるってのに更に面倒くさい『攻略キャラ』の相手をするなんてっ...!!

いらないよ!どうせ婚約破棄させられて国外追放されるんだ!!どうせならもっと素朴な普通の人がいい!!




青の宝石ジュエルの持ち主、

婚約者の『エリオット・アシュレイ』


ゲームでの回想シーンでは、10歳の頃にアナベル・マーティンと婚約者として出会うのだ。その時にアナベルはエリオットに恋に落ちる。

猛アタックのアナベルにエリオットはとても冷たく、煩わしいと邪険に扱う様子が多々見られた。

そんなエリオットは、婚約者から逃げている時に使う教室から見える中庭から一人の少女を見つける。少女は花々が咲きほこる、小さな中庭で子猫と戯れていた。無邪気な笑顔に、エリオットは少し胸が高鳴った。

周りにいる女性とは違う、そう思ったエリオットはいつからかその教室から少女を見つめていたのだ。ドジっけもあるのか、たまになんでもない所で転ぶ少女にエリオットは自然と口元が綻んだ。

そんなある日、エリオットは今日もいるのかと中庭を見ると、なんと少女は子猫を助けるために木に登っていたのだ。焦ったエリオットはすぐにその場所に駆け付けた。声を掛けようとした瞬間、少女は足を滑らせ落ちてしまうがエリオットは少女を横抱きで受け止める。

それから、少女とエリオットは小さな中庭で秘密の逢引をするのだ。だがそれを見つけた婚約者は、自身が恋焦がれている男性を奪った女に憎しみを抱き、家の権力を使い少女を潰そうとする。

それを知ったエリオットは、将来の次期宰相候補ということもあり王子にその事を報告するのだ。

王子から直々に毒になると言われた婚約者は、国外追放されるのだ。

国に有意義になる者と国の毒になるもの、どちらを取るなんてわかりきっていた。

その後エリオットと少女は婚約し、幸せに過ごすというハッピーエンドだ。







だから私にとってはハッピーじゃない。

なんだ国外追放って。正気の沙汰じゃない。

たしかに前世プレイヤーの身としてはアナベルは本当に最悪で大っ嫌いなキャラだった。

でも、婚約者が奪われそうになったら誰でも必死になるだろう。それも好いている者なら。


だがそれはゲームのなかだ。

私は別に『エリオット』は推しキャラじゃなかったし、あと国外追放やだから関わりたくないな。

でも婚約者になっちゃったんだよなぁ~...。お父様の次の休みって明明後日しあさってじゃん。今から対策なんて無理だよ!


私は暫く遠い目をしながらノートを閉じると、タイミング良く扉がノックされた。


「お嬢様、宜しいでしょうか」

「ディラン!入ってきていいよ」


ガチャと扉を開ける音とともに香ばしい匂いが鼻をくすぐる。そこにはディランがワゴンでティータイム様のお菓子を持ってきた。

クッキーだ!!しかも紅茶クッキーだ!!やったー!!


「お嬢様のお好きなお菓子にしてみました。どうぞ」

「ありがとう、じゃあ頂くわ」


サクッとクッキーが口の中で砕ける。あー、美味しい。さっきまで色々考えていたからこういう甘い物は安らぐ。

夢中でもぐもぐと食べていたら、ディランが紅茶を注いだ。


「ん。ありがとう、ディラン。今日のクッキーも美味しかったわ、いつもありがとう」

「いえ、お嬢様のお口に入るものですから完璧に作って当然の事です。ですが、美味しく食べて頂き執事明利に尽きるというもの、ありがたき幸せです」


そうなのだ、この美味しい美味しいクッキーはディランが作ったのだ。いつからかお菓子を作り始め、最初とは比べ物にならない程に美味しく綺麗な形になっていた。

比べるというと...ちらりとディランを見つめると目線に気が付いたディランは首を傾げながらもどうしましたか?と聞いてくる。



ハーヴェイさんの執事指導のたわものか、ディランは昔とは見間違える程の万能執事になってしまった。昔の様なドジも無くなり、私が考えている事を予測しつつ行動するという凡人には出来ないこともやってみせた。

見た目も、伯爵家の執事だからだらしのない格好ではダメと言うことで長かった前髪は切り、伸ばしっぱなしの髪は一つに纏めていた。その際に使っていたリボンは、まさかのあの時の『スカーフ』だった。たしかにあげるとは、言ったのでもう彼の物だがこうして目の前で自身の物だったのが使われると居た堪れなくなってしまう。慣れたが。

背も13歳になったからかグングンと伸びて私とはなんと30センチも違うのだ。首痛い。だがそれに気がついたディランがそれから膝をおって話す姿勢になった時は本気で解雇にしようと思った。これから伸びるもん。




結論として、うちの庭師は何者なんだろうか。

あんだけ役立たずだった執事がこんな万能になるなんておかしい。いや5年も掛けて指導していたらこうなるのか?



いつの間にか私の頭の中には『婚約者』の字はとうに忘れていた。

次はあの『婚約者』が出てきます!頑張って書きたいと思いますので是非見に来て下さい!

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