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今回はディラン視点です!矛盾してる点があると思いますが暖かい目で見てくださると幸いです!



────ずっとずっと、一人だった。


お父様とお母様はいつも無表情でまるで機械みたいに行動する。弟は何を聞かされたのか僕にとても嫌悪を示していた。

使用人の間でもピリピリとした雰囲気で、どうしてこんな所で心が落ち着かせる事が出来ようか。

それでも、僕が当主候補として生きている間はまだ僕を必要としているのかなと思ってしまう。

たとえソレが僕自身を映してくれなくても、僕という存在を肯定されている気がしてしまって、いつしか僕も両親の様に機械の様に動くようになっていった。

それでも心までは機械になれなかった、それは僕を愛してくれていたお祖母様の形見である白の宝石ジュエルがあったからだろう。


でも、それは突然起きた。

目が覚めたら真っ暗な部屋のなかで何も聴こえなくて何も見えなくて、自身が目を開けているのか不安になるほどだった。

それでも何処か冷静な頭の中では、誘拐されたんだなっと自然と感じた。でも、でもきっと助けてくれる。だって彼等には僕が必要だったはずなんだ、そうしてくれなきゃ、困るんだ。


でも、運命ってのは分からない。


何日間、いや実際は何時間ぐらいだったのだろう。時間の過程すら分からなくなってしまった時に、外から初めて人の声が聴こえた。

────やっときた、ここだよ、ここにいるよ、早くたすけて、ねぇ...!!

喉は掠れていて、声が出せなかった。それでもこの部屋の扉を開けてくれるだろうと信じて疑わなかった。




「なぁ、聴いたか?」

「あん?」

「ディラン様が誘拐されたと知った旦那様が遂に弟君に当主の座を捧げたとよ」

「かっー、出たよ旦那様の怠惰癖!ほんとに人間かよ」

「だよなぁ、誘拐した俺らが言うのもなんだがもう少しディラン様を心配したらどうだって話だ」

「まぁ旦那様達はディラン様の事を道具としかみてねぇからな。だから予備かわりの弟君もいるんだろうけど」

「が、そのおかげで俺らにも金は入るから万々歳ってか?」

「そのとーり!!ガハハハハ!」




信じたくない。そんな、なんで?お父様は僕を見捨てた?どうして、どうして!?あんなに勉強したのに、あんなに必死にマナーだって学んだんだよ?それでもダメだったの!?


誘拐されてから初めての涙が頬を濡らす。

その時、外で下卑た笑いをしていた男の声が途切れ、暗い部屋に眩しい光がさした。

シルエットから分かるのは、細身の男性が二人の男性を蹴り飛ばし気絶していた瞬間だった。

男達が動かなくなると、不意に男性がこちらによってきた。


「大丈夫ですか?安心して下さいね、今すぐ御家族の元に...」


その人のその言葉で、僕はまた大粒の涙が溢れかえる。

安心する?何に?いまさらどんな顔して会いに行けばいいの?

いやだ、かえりたくない、だって、だって僕はもうっ...!!!


「僕は、もう必要ない存在なんだ!!そんな所にどうして帰れるの!?もうやだよ、帰っても、待っててくれる人なんていないんだっ!!」





「いないなら、作ればいいのですよ」


────え?

顔を上げるが、影で彼の顔は分からない。それでも彼はそのまま言葉を紡ぐ。


「たった一人に従い、たった一人を大切にすれば良いのです。自ら行動せずに待っててくれる人が居てくれるなんて考えないことです」

「だ、だって、それじゃあ、どうすれば...?」

「私に聞かないで下さい。それは貴方が考え行動する事です。貴方の事をどうして私が教えるのでしょう。要件は以上ですね?それじゃあ私も仕事なのでこの事件の報告に行きますが貴方も行きますか?」

「え、え?」


よく分からない事を言われ、自分で考えろと言われて、その時の僕は完全に混乱していた。

でも、差し出された手を拒む理由なんて無かった。



それから少し経った後、僕は執事の館に来ていた。僕が「貴方のようになりたい」と言ったら問答無用でここに連れてかれた。そこであった副執事長のエイダンさんに彼の事を聞くと、彼の正体はとある令嬢の執事だったと言う事が分かった。



僕は姓を捨て、『ディラン』として執事見習いになることになった。でも、元が不器用な僕は執事業務もまともに出来なくて先輩や同僚に陰口やイジメなどされていた。

辛い日々を送り、目標も失いそうになった時...たった一つの光が僕を満たした。


光は、アナベル・マーティンと言うそうだ。

誰も気付いてくれなかった傷をすぐに応急処置し、伯爵家の令嬢なのにハンカチーフやスカーフを血だらけの僕の手のひらに結び、5歳児らしくない言動に少し...とても驚いた。

淡々とした言い方に恐怖を覚えれば良いのか...それでも目だけは僕を真っ直ぐに見つめ心配の色を隠そうとして失敗している事に彼女は気付いているのだろうか。


守りたいとそう思った。

彼女だ、彼女が僕の唯一だ。

それは直感に近かったが、同時に運命とでも感じる。彼女がいい、彼女じゃなければダメだ。

やりようのない感情に、どうしようもなく涙がでそうだった。



──あぁ、お嬢様。


──僕はまだまだ未熟です。


──それでもお嬢様を守りたいという気持ちは誰にも譲れない。譲りたくないのです。


──きっと、貴女に追いついてみせます。

思ったよりも長くなってしまいました^^;

お付き合いありがとうございます!これからも宜しくお願いします!!

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