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突然!女の子

 目を覚ますと女の子になっていた。


 いや女の子型サイボーグだ。


 ガラスに反射して写るのは先程撃ち殺した筈のパンク女、俺が腕を動かせばパンク女も動かす、腰を捻ればパンク女も、これは俺がこの女になったと言う事か。


「いったいどうなって……」


 思わず声に出るが、その声もまるで違う、男でも機械でもなく女性の声。


 俺は箱になった筈だったが、今度は女か?


『おはようどざいます、モリイ様』


 ポリゴンキャラの声が聞こえる。


「なにがどうなったか説明して貰えるか」


『いいでしょう現状を端的に説明します、あなたは44口径の銃弾を受けてボディが破損、中身がこぼれそうだったのでそのへんに転がっていたボディに脳みそを移し替えました』


 端的過ぎる!ってかこぼれそうな状態だったのか!?


「別にこのボディじゃなくても男のもあったんじゃないのか」


『あなたが考え無しに頭を撃つもんだから、使えそうなボディはそれだけだったんですよ』


 ん?という事は。


「あのペットボトル男はどうなった?」


『ペットボトル?義眼の男でしたらあなたが最後に撃ったビームが命中、頭が半分消し飛んで死にましたよ』


 ああ、ちゃんと当たってたんだな。


『そのボディだって動力は無いわ、そもそも各所にガタが来ているオンボロだわで』


 自分の体を見て動かしてみる、そんな問題があるようには感じないが。


『他の死体からパーツを取ったりなんだりしてとんでもないキメラ修理をしました』


 なるほど、改めてガラスに映る自分の姿を見る、身長は160ぐらい、銀髪のセミロングでおっぱいは大きい、顔も美人だ。


 というか全部作り物の義体なのだとしたらこの顔もゲームのプレイヤーキャラみたいなものなんだろうか、自分がなりたい自分、として作られたアバターなのかも知れない。


『動力に関してはこの施設のメイン動力を移植しました、サイボーグの動力としては破格になっています』


「え?この施設の動力なんて移植して大丈夫なのか」


『過剰出力で爆発する、なんて事は無いので安心してください』


「いやいや、施設のほうだよ、動力無くなっちゃったら色々止まるんじゃないの」


 俺一人に動力を渡していいとは思えない。


『以前に説明した通りあなたがこの施設の最後の収容物になります、これまでにも何度も侵入者がやって来て少しずつ収容物を奪って行っていたんです』


 何度も窃盗の被害に遭っていたのか。


『あなたが最後の収容物となり、そのあなたに危機が迫った時、私は考えを改めたのです。』


「いったい何を……」


『先人に命令された事を守っているだけでは収容物を守る事が出来ない、ならば与えられた命令を捻じ曲げてでも行動するべきだ、と』


 それってもはやバグっているのでは……


『本来起こす事を許されていないあなたを解凍し、使用を許可されていない義体に移植し、使用権限の無い武器を与え、更にあらゆる権限を無視してあなたの義体を修理し強化を施しました』


 言ってる事酷え、大丈夫か人類に反乱を起こさないよな?


『こちらをどうぞ』


 モニターが付き荒ポリゴンのキャラが手元のテーブルを指差す、テーブルには先程まで使用していたビームガンと俺の胴体に穴をあけそうになったあの銃が置かれている。


『ビームガンはその動力からエネルギーを取り出して使えるように調整しました、拳銃のほうはかなり状態が悪かったので整備を行い使えるようにしました、こちらをお持ちください』


 ガンベルトも用意されていたので両足に装着し銃を収める。


 すると部屋の明かりが順次消えて行き薄暗い灯りだけになる。


「どうした?」


『動力を移しましたのでもうこの施設は死にます』


「え!?」


『あなたにとっては急に未来世界に放り出されてどうしていいか解らない状態かとは思いますが、こちらとしては出来るだけの用意をさせて頂きました』


「そんなお別れみたいな……」


『そのボディと武器があればちょっと荒れた世界でもなんとかやっていけるでしょう』


「そんな事急に言われても、お前は一緒に行けないのか」


 なんか言葉遣いも悪く、ちょっとバグっているような挙動ではあったが、俺が目覚めてから生き残る為に色々と手を尽くしてくれた相手だ、急にいなくなるなんて言われると。


『それでは、お気をつけて』


 モニターが消え次の言葉も紡がれない。


 俺は決意を胸に出口に向かう、サイボーグには涙を流す機能っていうのは無いようだ。




 廊下へのドアが開くとそこには先程まで俺だった箱型ボディが立っていた。


「さあ、未知なる未来世界へ共に行きましょうか」


「は?」

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