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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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エピローグ ザワークラウト

2020年5月6日

福岡県福岡市・拠点


色々あったが、本来の目的を達成し、二人は無事に家へと帰り着いた。


予定より時間はかかったものの、外はまだ夜の闇に包まれていた。


二人はまず馬を家の中へ入れ、背中に積んでいた荷物を一つずつ慎重に降ろす。


食料や回収してきたビニール袋をリビングへ運び終えると、その場へどさっと腰を下ろした。


イーサンは両腕を大きく伸ばし、疲れをほぐすように息を吐く。


「いや、なんとかなったな。」


リャンも床へそのまま寝転がり、大きなあくびをした。


「確かにな……ちょっと眠たくなった。」


イーサンは苦笑しながらうなずく。


「そうだな。軽く寝た後、中身を確認しますか。」


リャンは眠そうに目をこすりながら答えた。


「賛成……今はもう動けそうにない。」


二人は布団を敷く気力もなく、そのままリビングで雑魚寝することにした。






それから数時間後――。


窓から差し込む陽の光が、静かなリビングを照らしていた。


床で雑魚寝していた二人は、鳥のさえずりと眩しい光でゆっくりと目を覚ます。


イーサンは目をこすりながら体を起こし、窓の方へ視線を向けた。


「もう明るくなってる……。」


続いて懐中時計を取り出し、時刻を確認する。


「十二時……もう昼か。」


思っていた以上に眠っていたことに驚きながら、隣で眠るリャンの肩を軽く叩いた。


「リャン、起きろ。」


「ん……。」


リャンはゆっくりと目を開け、大きく伸びをする。


そのまま窓の外を見ると、苦笑いを浮かべた。


「もう明るくなったか。」


イーサンは立ち上がり、壁際に積んである荷物へ目を向ける。


「ああ。じゃあ戦利品の確認だな。」


しかしリャンは首を横に振った。


「いや、その前にやらないといけないことがある。」


イーサンは不思議そうな表情を浮かべる。


「なんだ?」


リャンは昨日持ち帰ったダンボールを指差した。


「ほら、キャベツ持ってきただろ。」


イーサンは思い出したようにうなずく。


「ああ、そういえばお前の提案だったな。どうしてなんだ?」


リャンは少し得意げに笑った。


「それはね、これでザワークラウトを作ろうと思うんだ。」


イーサンは納得したように手を打つ。


「なるほどな。それでキャベツにしたのか。」


リャンはうなずきながらダンボールへ歩み寄る。


「そうだ。キャベツが腐る前に、さっさと作っちまおうぜ。」


イーサンも笑顔で答えた。


「了解。」


二人はダンボールを開け、キャベツを取り出す。


リャンは包丁とまな板を用意すると、慣れた手つきでキャベツを細かく刻み始めた。


トントントントン……。


軽快な包丁の音が部屋に響く。


イーサンはその様子を興味深そうに眺める。


「随分細かく切るんだな。」


リャンは包丁を動かしながら説明した。


「本来は千切りなんだけど、今回は大きくする時に細かく分けやすくするための措置だ。」


イーサンは感心したようにうなずく。


「なるほど。確かに、その方が扱いやすそうだ。」


その後、リャンは塩の入った袋を取り出した。


小さくして持ち帰っていた袋を元の大きさに戻し、ナイフで慎重に切り開く。


中から現れたのは、少し粒の大きい塩だった。


イーサンは指先で少量つまみ、じっと眺める。


「見た目は荒めの塩だな。」


リャンは気にした様子もなく肩をすくめる。


「どうせ溶けるから大丈夫だよ。」


イーサンも納得したようにうなずいた。


「まあ、確かにそうか。」


今回、保存容器として使うのは、空になった木箱だった。


内側には店で見つけて持ち帰ったビニール袋を敷き、蓋の代わりにも別のビニール袋をかぶせるという簡易的な容器である。


リャンは刻んだキャベツの量を目で確かめながら、塩を加えていく。


「大体、キャベツの重さに対して二パーセントくらいだな。」


塩を振り終えると、両手でキャベツを力強く揉み始めた。


シャリ、シャリ……。


塩が全体になじみ、しばらく揉み続けると、少しずつキャベツから水分が染み出してくる。


イーサンは興味深そうにのぞき込んだ。


「本当に水が出てきた。」


リャンはうなずきながら手を止めない。


「この水分が大事なんだ。」


十分に水分が出たところで、二人はキャベツを汁ごと保存容器へ移していく。


隙間ができないよう、拳で押し固めながらぎゅうぎゅうに詰め込む。


最後にキャベツが空気へ触れないよう重石をのせ、蓋代わりのビニール袋をしっかりとかぶせた。


完成した容器を家の中でも日が当たりにくい場所へ運び、静かに置く。


リャンは満足そうに手を払った。


「よし、これで後は待つだけだ。」


イーサンは保存容器を眺めながら尋ねる。


「どれくらいで食べられるようになるんだ?」


リャンは指を折りながら答えた。


「うまくいけば、数日から一~二週間発酵させれば完成だ。」


イーサンは期待に胸を膨らませ、笑みを浮かべる。


「それは楽しみだ。」


リャンも笑顔でうなずく。


「ああ。これが成功すれば、保存食が一つ増える。食料を長持ちさせられるようになるぞ。」


イーサンは改めて部屋の隅に積まれた戦利品へ目を向けた。


「よし。それじゃあ今度こそ、昨日持ち帰った戦利品の中身を確認しようか。」


「おう。」


二人は保存容器を見届けると、リビングに積み上げられたダンボールやビニール袋の前へ移動し、次々と中身を確認する準備を始めた。

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