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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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53/61

最低限の生活を得るために 跳弾するおそれがあるよ

二人は静かな住宅街を馬で進んでいた。


夜ということもあり、人通りはほとんどない。


昼間なら車や人で賑わう道路も、この時間は静まり返っており、移動するには絶好の時間だった。


それでも街灯や住宅の窓から漏れる明かりは、小人である彼らにとっては眩しく感じられるほどだった。


イーサンは周囲を見回しながら、小さく呟く。


「やっぱり静かだな。」


リャンも辺りを警戒しながら頷いた。


「夜だから移動しやすいな。ところで、あとどのくらいかかる?」


イーサンは手綱を軽く握り直し、地図へ目を落とす。


「さあな。でも見た感じ、そんなにかかる感じはしないかな。」


リャンが

「なら、この調子で行こう。」


二人は慎重に馬を進め、住宅街を抜けていく。


途中、特徴のある建物や大きな交差点などを見つけるたびに立ち止まり、手書きの地図へ書き加えていった。


イーサンは地図を広げる。


「ここに交差点……その先に大きなマンションか。」


リャンはコンパスを覗き込む。


「方角は間違っていない。このまま東へ進めば目的地のはずだ。」


「よし、書き終わった。」


二人は地図とコンパスを何度も見比べながら、少しずつ進路を修正していく。


この地図は、これから何度も使う命綱になる。


だからこそ、少しの情報も見逃すことはできなかった。


――30分後。


二人は目的地の近くまでやって来ていた。


イーサンは辺りを見回しながら馬を止める。


「そろそろこの辺りだと思うのだが……。」


その時だった。


イーサンの視線が、一軒の建物で止まる。


リャンが

「どうしたんだ?」


イーサンは建物を指差した。


「いや、あのお店……本屋じゃないかな?」


ガラス越しには、巨大な本棚が何列も並び、ぎっしりと本が並べられているのが見えた。


リャンも目を凝らす。


「本当に本屋みたいだな。」


イーサンが

「地図や図鑑、それに色々な知識が載った本もあるかもしれない。」


リャンが

「確かに魅力的だ。でも今回はメインはここじゃないだろ。また別の日に調べよう。」


イーサンは少し名残惜しそうに頷いた。


イーサンが

「そうだな。今日は塩の確保が最優先だ。」


リャンが

「寄り道している余裕はない。」


二人は再び馬を歩かせる。


しばらく進むと、巨大な建物が夜の中に姿を現した。


駐車場には何台もの車が並び、入口付近だけが明るく照らされている。


リャンは建物を見上げる。


「ここか?」


イーサンはゆっくりと頷いた。


「ああ、ここだ。」


二人は少し離れた物陰に馬を止め、スーパーの様子を観察する。


イーサンが

「問題は、どうやって中へ入るかだ。」


リャンは建物全体へ視線を向ける。


「とりあえず、いつも通り周辺を見て回ったらどうだ? 換気口や隙間、搬入口みたいな場所があるかもしれない。」


イーサンが

「そうだな。まずは無理に入ろうとせず、建物の構造を確認しよう。」


リャンが

「焦る必要はない。安全な侵入経路を見つけることが先だ。」


二人は頷き合うと、馬を降りて手綱を引きながら、スーパーの外周を慎重に調べ始めた。


周囲を見渡すと、リャンがふと足を止めた。


「あ、おい、あれって入れそうじゃないか?」


そう言って彼はシャッターを指差した。


イーサンも視線を向ける。


「ん……確かに。近づいてみるか?」


2人はシャッターの近くまで行った。


シャッターには小さな隙間があったが、ギリギリ体が入れない状態だった。


「どうしようか?」


リャンが腕を組んで悩んでいると、イーサンが何か思いついたように散弾銃を取り出した。


「やっぱりこれだよな。」


そう言ってシャッターへ銃口を向ける。


「いやいや、その切り開き方はやめようよ。相手は明らかに金属だし、跳弾するおそれがあるよ。」


リャンが慌てて止めると、イーサンは「あ、そっか」と納得したように銃口を下げた。


少し考えたイーサンは、近くに転がっていた自分たちより大きな石を見つける。


「あ、じゃああれはどうかな?」


そう言って石を指差した。


「どうするんだ?」


リャンが首をかしげる。


「こうするんだよ。」


イーサンは石に近づくと、まず能力で石を小さくした。そして小さくなった石をシャッターの隙間へ押し込む。


「よし……。」


そのまま石を元の大きさに戻すと、ギギギッという金属音とともにシャッターが少し持ち上がった。


「おお、これならいいな。」


リャンが感心したように頷く。


「そうでしょう。」


イーサンは少し得意げに笑うと、2人は開いた隙間から店内へと入っていった。


中は暗くランタンをつけた。


そこは店内の商品の保管庫と思われる場所だった。


天井近くまで積み上げられた大量の箱が並び、2人の目には巨大な建物のように映っていた。


「このサイズだと迫力があるな。」


リャンは思わず周囲を見回しながら感心したようにつぶやく。


「ああ。」


イーサンも頷き、その光景に圧倒されていた。


しばらく辺りを見回していたイーサンだったが、ある箱に視線を止めると目を細めた。


「おい……これって、よく見たら……。」


そう言って箱の方へゆっくり近づいていく。


「どうした?」


リャンも不思議そうな表情で後を追い、イーサンが見つめる先へ視線を向けた。



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