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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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最低限の生活を得るために  換気口

それから彼らはあたり一面を探し回った。


そこは車はあちこちに停まっているが人通りが少なく行きやすかった。


リャンは周囲を見渡しながら小さく笑った。


「気軽に行けていいもんだな。車はこんなにあるのに、人が全然歩いていない。これなら俺たちみたいな小さい連中でも、周りを気にしすぎずに探索できる。」


イーサンも住宅街を見渡しながら頷いた。


「確かにな。人通りが少ないのは助かる。ただ、静かだからこそ物音は目立つ。いつ誰が出てくるか分からない以上、慎重に行動することだけは忘れないようにしよう。」


リャンは手綱を軽く引いた。


「分かってる。今日は情報収集が目的だ。無茶はしない。」


馬で住宅地内を移動していた。


すると2人はある家に注目をした。


平屋の一軒家で見た目はボロボロで手入れがされていない感じがした。


庭の辺りは草が生い茂っていた。


リャンは家全体を見回しながら言った。


「これは条件に当てはまるんじゃないかな? 庭の草は伸び放題だし、外壁もかなり傷んでいる。少なくとも最近まで手入れされていた家には見えない。誰も住んでいない可能性は十分ありそうだ。」


イーサンは玄関や窓を一つずつ確認しながら答えた。


「確かに確定は出来ないが入る価値はあるな。見た目だけで判断するのは危険だが、調べる候補としては十分だ。まずは周囲を確認して、安全そうなら近づこう。」


リャンも静かに頷いた。


「よし。足跡や新しい生活の痕跡がないかも見ながら進もう。」


2人は敷地内に入って行った。


草の森を進むと目の前に扉があった。


近くまで来て改めて見上げると、その扉は人間が使うには何の変哲もない玄関扉だった。しかし、身長わずか3センチほどの彼らにとっては巨大な城門そのものだった。


木目の一本一本が太い柱のように見え、金属製のドアノブは頭上はるか高く、到底手の届く高さではない。


リャンは思わず苦笑した。


「遠くから見た時は普通の家だったけど、近くまで来ると別世界だな。この扉だけで崖みたいだ。どう考えても押して開けるなんて無理だぞ。」


イーサンは扉の下や蝶番の隙間を観察しながら考え込む。


「私たちの大きさじゃ正面突破は現実的じゃないな。ドアノブまで登るだけでも一苦労だし、仮に届いたとしても回す力が足りないかもしれない。」


リャンは周囲へ目を向けた。


「となると、窓か床下、それとも換気口か……。人間なら気にも留めないような隙間が、俺たちには立派な入口になるかもしれないな。」


彼らはもう一度家の周りを探索をした。


玄関から入るのは難しいと判断した二人は、家の外周をゆっくりと回り始めた。


すると壁の高い位置に換気口があった。


リャンは思わず指を差した。


「イーサン、見てくれ! あそこだ。換気口がある。格子の隙間も俺たちなら十分通れそうだ。」


イーサンは換気口を見上げ、しばらく観察すると静かに頷いた。


「よし、あれなら行けそうだ。人間には小さすぎる穴でも、私たちには立派な入口になる。」


二人は壁をよじ登り、換気口へと入った。


そこは台所だった。


だが家具も食器も何も無い。


シンクだけが静かに残され、床には薄く埃が積もっている。生活していた気配はほとんど感じられなかった。


リャンは周囲を見回し、不思議そうに首をかしげた。


「これ、誰も住んでいないんじゃないか? 棚も食器も何もない。生活感がまるで感じられないぞ。」


イーサンは床の埃や壁の様子を見ながら答えた。


「その可能性はある。でも台所だけじゃ判断は早い。他の部屋も見て回ろう。家全体を確認すれば、もっと確信が持てるはずだ。」


リャンも頷いた。


「そうだな。焦って決めつけるのは良くない。全部見てから判断しよう。」


家の中を散策をした。


調べるとこの家は2つの洋室があり、リビング、お風呂場、トイレがあった。


どの部屋にも共通するところは家具などは見当たらない事だ。家のボロさ、家具がない事、庭が手入れされていないことを総合して考えると、一つの結論にたどり着いた。


イーサンは腕を組み、静かに口を開いた。


「間違いない。この家は空き家だな。家具はすべて運び出されているし、生活している形跡もない。庭も何年も手入れされていない様子だ。少なくとも、今この家を使っている人はいないだろう。」


リャンは目を輝かせながら身を乗り出した。


「という事は……!」


イーサンは小さく笑みを浮かべた。


「住む事が出来るんだよ。もちろん、この先も安全かどうかは調べる必要がある。でも拠点候補としては申し分ない。雨風はしのげるし、人目にも付きにくい。ようやく落ち着いて生活できる場所が見つかったかもしれない。」


リャンは思わず両拳を突き上げた。


「よっしゃー! やっとだ! これで毎日寝床を探し回らなくて済むかもしれない。ようやく私たちにも『家』って呼べる場所ができるんだな!」


イーサンも安堵したように息をついた。


「ああ。でも喜ぶのはまだ少し早い。まずは家全体をもう一度確認して、安全を確保しよう。そのあと、どの部屋を拠点にするか考えればいい。」


二人は期待に胸を膨らませながら、新しい拠点となるかもしれない家をもう一度見て回ることにした。

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