↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨人都市  作者: ハネクリ0831


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/61

最低限の生活を得るために ため池

2020年4月26日


福岡県福岡市・大濠公園


あれから一日が経った。


木の洞の中は静まり返り、昨夜まで響いていた豪雨の音はすっかり消えていた。


最初に目を覚ましたのはイーサンだった。


まだ眠そうな目をこすりながら入口へ歩き、外の様子をうかがう。


雲の切れ間から朝日が差し込み、雨に濡れた木々がきらきらと輝いていた。


イーサンは小さく笑う。


「どうやら止んだみたいだ。」


その声でリャンが目を覚ます。


「ん……。」


大きくあくびをしながら、寝ぼけた足取りでこちらへ歩いてきた。


「おはよう。」


「おはよう。」


リャンも外を覗き込み、青空を見上げる。


「今日は行けそうだな。」


イーサンはうなずいた。


「そうだな。昨日一日待った甲斐があった。」


二人はさっそく出発の準備を始める。


まずは木の洞へ避難させていた二頭の馬を外へ降ろすことにした。


イーサンは縄の結び目を確認する。


「昨日と同じように二か所で支える。」


「ゆっくり降ろそう。」


二人は息を合わせ、慎重に縄を緩めながら馬を下へ降ろしていく。


「せーの……。」


一頭目が無事に着地すると、続いて二頭目も慎重に降ろした。


「よし、二頭とも問題なし。」


「怪我もしてないみたいだな。」


しかし地面へ降りると、昨日の雨の影響はまだ色濃く残っていた。


あちこちに大きな水たまりができている。


二人が歩くと、水は股の辺りまで達した。


溺れるほどではないが、歩くにはかなり苦労する深さだった。


リャンは苦笑する。


「色々大変だな。」


イーサンも足元を見ながら笑う。


「昨日の雨がどれだけ降ったか、よく分かる。」


「俺たちのサイズじゃ、水たまりじゃなくてため池だな。」


慎重に水を避けながら歩き、馬の背へ荷物を積み始める。


食料、ウォッカ、水筒、工具、拾い集めた資材、日本語のメモ、などをバランスよく振り分けて固定した。


イーサンは馬具の締め具合を最後に確認する。


「緩みなし。」


リャンも自分の馬を確認し、満足そうにうなずいた。


「こっちも問題ない。」


二人は鐙へ足を掛け、それぞれ馬に跨る。


イーサンは南東の方角へ視線を向けた。


木々の向こうには、まだ見ぬ景色が広がっている。


彼は静かに手綱を握った。


「行くぞ。」


リャンも力強くうなずく。


「ああ。」


二人はゆっくりと馬を歩かせ、大濠公園の南東へ向かって進み始めた。


雨上がりの森には鳥のさえずりが響き、朝日に照らされた葉からは無数の雫が落ちている。


昨日は豪雨によって足止めされたが、今日から再び二人の小さな旅が動き始めた。


雨上がりの影響か辺りには水溜まりがあちこちあった。今の彼にはちょっとしたため池になっていた。


イーサンは手書きの地図とコンパスを使い馬で移動しつつあった。


途中レンガ調の建物があった。


リャンは歩みを緩め、その建物を見つめながら口を開いた。


「なんだろうな、あれ。周りの建物とは雰囲気が全然違うぞ。学校なのか、それとも教会みたいな施設なのか……ちょっと中を見てみたい気もするな。」


イーサンも建物に目を向けたが、すぐに視線を地図へ戻した。


「確かに気にはなる。こういう建物は後で調べる価値もあるだろう。でも今は目的を優先しよう。寄り道を始めると、気付けば半日なんてあっという間に過ぎる。今は衣食住を確保するための情報を集める方が先だ。」


リャンは苦笑しながら頷いた。


「まあ、そうだよな。気になるもの全部に寄っていたら日が暮れちまう。帰り道でも通るかもしれないし、その時にゆっくり見ればいいか。」


とそのまま通り過ぎた。


そして目的地である南東に着いた。


そこは簡素な住宅街で辺りには空き地があり草が生い茂っていた。


イーサンは辺りをゆっくり見渡しながら言った。


「ここなら条件に当てはまる物があるかもしれないな。住宅地なら人が生活していた痕跡も残っているだろうし、空き地や草むらなら人目につかずに使える物が見つかる可能性もある。まずは一つ一つ丁寧に確認していこう。」


リャンも周囲を観察しながら答えた。


「確かに。草がここまで伸びてるってことは、しばらく手入れされてない場所もありそうだ。もし誰も使っていない資材や、まだ利用できそうな物が残っていれば大きな収穫になる。焦らず探してみよう。」


イーサンは小さく頷いた。


「そうだな。こういう探索は焦った方が見落としが増える。小さな手掛かりでも無駄にせず、一つずつ確認していこう。」


と2人はあたりを捜索をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。