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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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39/61

最低限の生活を得るために 持っていこう

次は近くの公園の街灯を目を当てた。


イーサンは街灯を見上げながら言った。


「今度はこれをしてみようか」


そう言うと街灯に手を当てる。


「さて、どうなるかな」


と街灯に手を当てて小さくなれと念じるがこれも反応がない。


しばらく待ってみるが、街灯は微動だにしなかった。


リャンは首を横に振った。


「これは反応しないな」


イーサンは考えた。


「うーん……何が違うんだ?」


街灯という事は――


ふと何かに気付いたイーサンが声を上げる。


「あっ」


リャンが尋ねる。


「何か気付いたのか?」


イーサンは街灯の根元を指差した。


「これは一部地中に埋まっているからか。」


と推測した。


リャンは納得したようにうなずく。


「なるほど」


イーサンは自分の考えを続ける。


「地面と一体になっている扱いなら説明がつくな」


リャンも同意した。


「それなら反応しないのも納得だ」


するとリャンはふと思い出したように口を開いた。


「そういえば、自分達が持っているものはどうなるのかな?」


彼が言っているのは、元いた世界から持ってきた物のことだった。


リャンは腰に付けていた水筒を取り出し、そっと手を当てる。


(大きくなれ)


心の中でそう念じた。


しかし――何も起こらない。


水筒は小さなまま、まったく変化を見せなかった。


リャンは首をかしげる。


「駄目みたいだな。全然反応しない」


その様子を見ていたイーサンも腕を組んだ。


イーサン「これは反応はないな」


リャン「街灯の時と同じだな」


イーサン「ということは……」


リャン「ああ。能力が反応するのは、この世界にある物だけなのかもしれない」


イーサンは地面に落ちていた小石を拾い上げる。


イーサン「もしそうなら、前の世界から持ってきた物は対象外ってことになるな」


リャン「武器や道具を自由に大きくできたら便利だったんだけどな」


そう言いながらリャンは水筒をしまった。


リャンは少し考え込んだ後、何か思いついたように顔を上げた。


リャン「あと一つ確認したいことがあるのだけど、いいかな?」


イーサン「なんだ?」


リャンは目の前に転がっていた空き瓶のところまで歩いていく。


そして瓶に手を当てると、心の中で念じた。


(小さくなれ)


すると空き瓶はみるみる縮み、小人の二人でも扱いやすい大きさになった。


リャンは満足そうにうなずくと、水筒の蓋を開けた。


リャン「まずはこれを試してみるか」


そう言って水筒の水を瓶の中へ注ぎ込む。


瓶の中には透明な水がたっぷりと入った。


そして今度は瓶を両手で持ち上げる。


リャン「それじゃあ――」


彼は再び心の中で念じた。


(大きくなれ)


次の瞬間だった。


瓶は一気に元の大きさへ戻り始める。


そして――


中に入っていた水も一緒に増えた。


ジャバッ――


瓶の中には先ほどより遥かに多い量の水が満たされていた。


リャン「おお、これはいいな」


驚きのあまり目を丸くする。


イーサンも慌てて近寄った。


イーサン「すごい……驚いた」


リャン「瓶だけじゃない。中身まで一緒に大きくなったぞ」


イーサン「ということは、容器の中に入っているものも影響を受けるのか?」


リャン「たぶんそうだな。少なくとも水は一緒に変化した」


二人はしばらく瓶を囲んで観察する。


イーサンは瓶の周りを歩きながら言った。


イーサン「これ、かなり便利な能力じゃないか?」


リャン「ああ。食料や飲み水を増やせる可能性がある」


イーサン「今までで一番大きな発見かもしれないな」


二人は顔を見合わせた。


まさか容器だけでなく、その中身まで変化するとは思っていなかったのだ。


新たな能力の性質が判明し、二人は興奮した。


イーサンは大きく伸びをした。


イーサン「そうと決まれば、使えそうなものをとにかく縮めて持っていこう」


リャンも賛成するようにうなずく。


リャン「それは良いね」


こうして二人は公園の周辺を散策し始めた。


落ちていた空き缶やペットボトル、壊れたプラスチック片、針金、輪ゴムなど、役に立ちそうな物を見つけるたびに能力を使って縮小していく。


イーサン「これも使えそうだ」


リャン「そっちは持っていこう」


二人はまるで宝探しでもしているかのように歩き回った。


最初は楽しかったが、何度も能力を使っているうちに次第に疲れが溜まってくる。


気が付けば空は赤く染まり、やがて夕暮れも過ぎていた。


さらに時間は流れ、周囲はすっかり暗くなる。


公園の街灯がぽつぽつと灯り始めていた。


リャンは近くの縁石に腰を下ろした。


リャン「なんかこの能力、体力を使うみたいだな」


少し息を切らしながらそう言う。


イーサンも額の汗をぬぐった。


イーサン「そうだな。何回も使ってたら急に疲れてきた」


リャン「制限があるってことかもしれないな」


イーサン「そうかもな」


そう言いながら懐中時計を取り出す。


蓋を開くと針は午後七時を指していた。


イーサン「もうこんな時間か」


リャンも驚いたように目を見開く。


リャン「思ったより歩き回ってたんだな」


イーサンは周囲を見回した。


イーサン「少し遠くまで来てるし、今日は拠点まで戻るのはやめよう」


リャン「賛成。今から歩くのはきつい」


二人は今夜の寝場所を探し始めた。


しばらくして見つけたのは、自動販売機の下にある隙間だった。


雨風をある程度防げそうで、人からも見つかりにくい。


イーサン「ここなら悪くないな」


リャン「屋根代わりにもなるしな」


二人は集めた荷物を端に寄せ、簡単な寝床を作る。


遠くでは車の走る音が聞こえ、時折自動販売機のモーター音が響いていた。


リャンは壁にもたれかかる。


リャン「今日は色々分かったな」


イーサン「ああ。能力のことも少しずつ理解できてきた」


リャン「明日はもっと面白い発見があるかもしれないな」


イーサンは小さく笑った。


すると突然外からどしんと音がした。


「なんだ!」2人は外を見た。

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