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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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知った能力 150メートル

2020年4月19日

オオホリパーク


朝日が昇り始めた頃だった。


花壇の草木が作る影の中に、二つの小さな人影が身を潜めていた。


リャンは愛用のライフルを構え、じっと前方を見つめている。


その隣ではイーサンが散弾銃を抱えながら周囲を警戒していた。


二人の視線の先には、池のほとりで羽を休める水鳥たちの姿があった。


風が吹き、草が揺れる。


リャンはゆっくりと呼吸を整えた。


しかしその瞬間、彼の脳裏に四日前の出来事がよみがえった。


⸻


四日前


食事を終えた二人は、人目につかない場所で休んでいた。


リャンは地面に落ちていた枝を拾うと、土の上に簡単な地図のような絵を描き始めた。


池、花壇、木々の位置。


イーサンは腕を組みながらそれを眺める。


「何を考えてるんだ?」


リャンは枝の先で池を示した。


「それを鑑みて、狩りをしようと思うんだ。」


イーサンは眉を上げた。


「目標は?」


リャンは苦笑しながら周囲を見回した。


「お前もこの公園を見てて分かるだろ?」


イーサンも視線を池へ向ける。


そこには数え切れないほどの鳥がいた。


「確かにな。」


池にはカモやサギなど、多くの水鳥が集まっていた。


人間にとっては何気ない光景だが、彼らにとっては違う。


十分すぎる食料候補だった。


リャンはライフルの銃床を軽く叩いた。


「だから、あいつらを狩って食料を確保するんだ。」


イーサンは頷いた。


「確かに悪くないアイディアだ。お前の腕なら可能だろうな。」


リャンは得意げに笑う。


「おうよ。三百メートル以内なら外す自信がないね。」


「相変わらず自信満々だな。」


イーサンは呆れたように笑った。


しかしすぐに真面目な表情へ戻る。


「ただ問題は、水鳥に十分なダメージを与えられるかだ。」


普通の人間なら問題にならないことも、彼らにとっては死活問題だった。


リャンは少し考えてから答えた。


「心臓か頭を狙えば大丈夫だ。」


「なるほどな。」


「無駄弾は撃てない。確実に仕留める。」


その目は真剣だった。


⸻


それからの四日間。


二人は公園中を歩き回った。


どの鳥がどこに集まるのか。


警戒心の強い個体はどれか。


巨人が多い時間帯はいつか。


安全に隠れられる場所はどこか。


時には木の上から観察し、時には草むらに潜んで記録を取った。


まるで偵察兵のように。


そして迎えた四日目の朝。


二人は花壇の陰に潜み、ついに狩りの機会を待っていた。


池のほとりでは、一羽のカモがゆっくりと羽を整えている。


リャンはアイアンサイト越しに標的を見据えた。


指が引き金へとかかる。


隣ではイーサンが固唾を飲んで見守っていた。


静寂が辺りを包む。


狩りの瞬間が、刻一刻と近づいていた。


リャンは花壇の陰に伏せたままライフルを構えていた。


標的までの距離は、およそ150メートル。


もちろん巨人の尺度ではない。


彼らにとっての感覚だ。


その距離を正確に測れる保証はなかったが、リャンは十分射程内だと判断していた。


彼はゆっくりと呼吸を整える。


鼻から四秒間息を吸う。


四秒間止める。


そして口から四~八秒かけてゆっくり吐き出す。


一度。


二度。


三度。


何度も繰り返した。


焦りはない。


四日間かけて観察し、準備してきた成果を試す時だった。


隣のイーサンも息を潜めている。


周囲ではカモたちが何も知らずに羽繕いをしていた。


やがてリャンは照準を合わせる。


アイアンサイト上で標的が静止した。


息を止める。


引き金に指をかける。


そして――


バンッ!


乾いた銃声が朝の公園に響いた。


この世界へ来てから初めての発砲だった。


弾丸は一直線に飛ぶ。


そしてカモの胴体へ命中した。


ドサッ。


カモはその場で倒れ込む。


同時に周囲にいた鳥たちが一斉に飛び立った。


羽音が辺りに響く。


驚いた鳥たちは池の上へ逃げるように散っていった。


イーサンは拳を握った。


「よし!」


リャンも思わず笑顔になる。


「やった!」


二人は声を上げた。


ようやく食料を確保できたのだ。


そのまま急いでカモの元へ向かう。


近付いて確認すると、カモはまったく動かなかった。


完全に息絶えている。


イーサンは安堵したように言った。


「よし、これでしばらくは大丈夫だ。」


食料不足の不安が少しだけ遠のく。


しかしリャンは黙って獲物を見つめていた。


何かが引っ掛かる。


「何かおかしい。」


イーサンが首を傾げた。


「どうしたんだ?」


リャンは傷口を指差した。


「これを見てみろ。」


イーサンが近寄る。


胴体には弾痕が残っていた。


だが、その大きさが異様だった。


リャンは眉をひそめる。


「明らかに私の銃より穴が大きい。」


イーサンも頷いた。


「確かに普通ではあり得ない。」


二人はしばらく傷口を観察する。


リャンは考え込むように言った。


「撃った瞬間に弾が大きくなったということか。」


そして小さく呟く。


「これも能力なのかな?」


イーサンは腕を組んだ。


「流石にそうとしか言えないな。」


小さい体。


常識では説明できない現象。


そして今目の前にある傷跡。


どれも普通ではなかった。


「他にも何かあるかもしれないな。」


イーサンはそう言って空を見上げる。


飛び去った鳥たちは既に遠くへ消えていた。


自分たちの体に何が起きているのか。


なぜ小さくなったのか。


なぜ武器が本来以上の効果を発揮するのか。


答えはまだ見つからない。


だが一つだけ確かなことがあった。


少なくとも今のところ、その謎の力は二人の生存に有利に働いている。


イーサンは倒れたカモを見ながら思った。


「理由は分からない。でも生き残るためには、この力を使うしかない。」


リャンも頷いた。


「まずは持ち帰ろう。考えるのはその後だ。」


二人は獲物を見上げながら、次の行動へ移るのだった。

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