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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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33/61

知った能力 希望は増えていた。

二人はいまだに唖然としていた。


目の前で起きた現象が信じられない。


小人になったこと自体が異常な出来事ではあるが、それでも今起きたことは別格だった。


切り分けたたんぽぽの茎が、一瞬で小さくなったのだ。


「一体何が起こっているんだ……?」


リャンが呟く。


イーサンも困惑した表情のまま首を振った。


「いや、本当に分からない」


「何かしたんだろ?」


「したと言えば……」


イーサンは記憶を辿る。


そして少し気まずそうに頭を掻いた。


「心の中で、『もし小さくできたら良いな』って思っただけだ」


「え?」


リャンは目をぱちくりさせる。


「たったそれだけのことで?」


「信じられないと思うが、それしかしていない」


イーサン自身も半信半疑だった。


だが他に説明がつかない。


しばらく考え込んでいた彼は、ふと何かを思いついた。


「いや、待てよ」


「どうした?」


「心の中で思ったことが原因なら……逆もできるかもしれない」


リャンの目が丸くなる。


「逆?」


「小さくできるなら、大きくできるかもしれない」


そう言うと、イーサンは手に持った小さな茎へ視線を向けた。


半信半疑のまま心の中で念じる。


(大きくなれ)


その瞬間――


しゅるるるるっ。


茎が急速に伸び始めた。


「うおっ!?」


イーサンは驚いて後ずさる。


突然重さが変化したせいでバランスを崩し、その場に尻もちをついた。


茎はみるみる元の大きさへ戻っていく。


数秒後。


そこには先ほどまでの巨大なたんぽぽの茎が横たわっていた。


リャンは口を開けたまま固まる。


「お、おお……」


そして次の瞬間。


「すごいじゃないか!」


興奮した声を上げた。


イーサンも驚きを隠せない。


「本当にできた……」


「お前、何者なんだ?」


「知らん!」


イーサンは即座に否定した。


「私だって初めて見たぞ!」


二人はしばらく巨大な茎を見つめた。


そしてイーサンが思いついたように言う。


「お前もやってみろよ」


「え?」


「もしかしたら私だけじゃないかもしれない」


リャンの表情が明るくなる。


「確かに!」


彼は巨大な茎の一部を持ち上げた。


そしてイーサンと同じように集中する。


(小さくなれ)


すると――


しゅるるるるっ。


茎がみるみる縮み始めた。


「おおっ!」


リャンは思わず声を上げる。


巨大だった茎はあっという間に手のひらサイズになった。


「おおおーっ! すげー!」


彼は興奮しながら小さくなった茎を掲げた。


「本当にできた!」


イーサンも驚いている。


「どうやら私だけじゃないらしいな」


「つまり誰でも使えるってことか?」


「少なくとも今のところはそう見える」


リャンは小さくなった茎を指先で持ち上げた。


先ほどまで二人が苦労して運ぼうとしていた荷物とは思えない軽さだ。


「これだったら持ち運びが楽になるぞ!」


「ああ!」


イーサンも笑顔になる。


「食料も資材も運び放題だ」


「拠点作りもかなり楽になるな」


「今までの苦労は何だったんだろうな」


二人は思わず顔を見合わせた。


そして同時に笑い出す。


突然手に入った不思議な力。


その正体はまだ分からない。


だが少なくとも今だけは、彼らにとって最高の発見だった。


二人はさっそく残りの葉や茎にも同じことを試し始めた。



その後、二人は夢中になって実験を繰り返した。


「小さくなれ」


しゅるるるるっ。


葉が縮む。


「大きくなれ」


しゅるるるるっ。


葉が元に戻る。


「おおー!」


リャンは子供のように目を輝かせた。


「面白いなこれ!」


「面白いで済ませて良いのか分からんがな……」


イーサンは苦笑する。


だが内心では同じように興奮していた。


二人は葉や茎だけでなく、小石や落ちていた木の枝でも試してみた。


結果は同じだった。


手に持てる物なら、大きさを変えられる。


しかも元の形はそのまま維持される。


「少なくとも幻覚じゃないな」


イーサンが言う。


「私も同じことを考えてた」


リャンは頷いた。


「最初は疲れて頭がおかしくなったのかと思ったぞ」


「私もだ」


二人は顔を見合わせて笑う。


しかし次第にイーサンの表情が真面目になった。


「これ、とんでもない能力かもしれない」


「どういうことだ?」


「考えてみろ」


イーサンは縮小したたんぽぽの束を持ち上げる。


本来なら二人がかりで運ぶような量だ。


しかし今は片手で持てる。


「食料の運搬が簡単になる」


「確かに」


「それだけじゃない。木材や資材も運べる」


リャンも徐々に理解し始めた。


「なるほど……」


「拠点を見つけたら家具だって作れるかもしれない」


「おお!」


「必要な時だけ元の大きさに戻せばいい」


リャンの顔がどんどん明るくなる。


「それ最高じゃないか!」


「もちろん制限があるかもしれないがな」


イーサンは慎重だった。


未知の能力だ。


何が起こるか分からない。


「とりあえず今は食料を運ぶことを優先しよう」


「賛成だ」


二人は採取したたんぽぽを次々と縮小していく。


巨大な葉は手のひらサイズに。


丸太のようだった茎は鉛筆ほどの大きさになった。


やがて先ほどまで山のように積まれていた収穫物は、小さな袋一つに収まってしまった。


「信じられないな……」


リャンは袋を持ち上げる。


重さはほとんど感じない。


「数時間かけて運ぶつもりだったのにな」


「人生何が起こるか分からないものだ」


イーサンは笑った。


そして二人は改めて周囲を見回した。


夕方が近づき始めている。


草むらの影も長くなっていた。


「今日は収穫だけでも十分な成果だな」


「だな」


リャンは袋を肩に担ぐ。


「食料も手に入ったし、不思議な能力まで見つかった」


「明日からできることが増えそうだ」


二人はそう話しながら歩き始めた。


まだ拠点は見つかっていない。


この能力の正体も分からない。


だが少なくとも、四日前より希望は増えていた。


小さな冒険者たちは、夕暮れの草むらを進んでいった。

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