↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巨人都市  作者: ハネクリ0831


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/61

知った能力 生きるための食料

2020年4月15日

オオホリパーク周辺


あれから四日。


イーサンとリャンは、まだ公園周辺を彷徨っていた。


しかし、これといった空き家は見つからない。候補になりそうな建物はいくつかあったが、どれも条件に合わなかった。


「どうしようかな……」


イーサンは足を止め、公園の看板を模写した手書きの地図とコンパスを見比べた。


周囲には無数の建物が並んでいる。だが、彼らのような小人が安全に暮らせる場所となると話は別だった。


「建物自体はたくさんあるんだけどな……」


イーサンは小さくため息をつく。


現在の拠点探しの条件は二つ。


一つ目は、人や猫が近づきにくいこと。


二つ目は、草が多いこと。


一つ目は当然だった。彼らにとって安全は何よりも重要だ。


二つ目にも理由がある。


草丈が高ければ身体を隠せるし、朝になれば葉に付いた露を飲み水として利用できる。


実際、この四日間はその方法で水を確保していた。


「現実はなかなかうまくいかないな」


リャンが草むらの陰から顔を出しながら言った。


「確かにな」


イーサンも苦笑する。


するとリャンが少し真面目な表情になった。


「それと別に問題も発生した」


「分かっている。食料の方だろ?」


「そうだ」


リャンは頷いた。


この世界に来てからというもの、二人の食事は缶詰頼りだった。


今のところ量には余裕がある。


だが、この状況がいつまで続くか分からない以上、むやみに消費するわけにもいかなかった。


「だからさ」


リャンは腕を組む。


「一旦拠点探しは置いておいて、まずは食料の確保を優先しないか?」


イーサンは少し考えた後、頷いた。


「確かに、それがいいな」


「正直な話」


リャンは頭を掻きながら苦笑した。


「今になって少し後悔してる。あの時、あの食パンを持って行けばよかったなって」


「ああ……」


イーサンも思わず苦笑する。


「私も一瞬は考えたさ。でも、あんな大きな物を運ぶのは物理的に無理だろう」


「それもそうだな」


「それに、運んでいる最中に巨人に見つかる危険もあった」


「うーん……確かに」


リャンは納得したように頷いた。


どちらにせよ、今さら言っても仕方がない。


二人は気持ちを切り替えることにした。


まずは生きるための食料だ。


拠点探しはその後でも遅くない。


「よし、行くか」


イーサンが地図を丸める。


「おう。今日は何か見つかるといいな」


そう言って二人は再び歩き始めた。


そして二人は一旦オオホリパークへ戻った。


向かった先は、人の気配がほとんどない草むらだった。


周囲には春の草が生い茂り、小人である彼らの姿は簡単に隠れてしまう。


イーサンは背負っていた荷物を下ろした。


「それじゃ、やりますか」


リャンも周囲を見回しながら頷く。


「食べられる草があると良いな」


まずは山菜探しだ。


もし今日の日付が自分たちの世界と同じ暦なら、今の時期は何かしら食べられる植物が見つかるはずだった。


もっとも問題もある。


この世界の植物が、自分たちの世界と同じとは限らないのだ。


「まあ、全部違うってことはないだろ」


イーサンは草をかき分けながら言った。


「だな。同じ種類の植物もどこかにはあるはずだ」


二人は慎重に周囲を調べ始めた。


見知らぬ草ばかりが目に入る。


食べられるのかも分からない。


毒がある可能性もある。


そのため知っている植物だけを探していた。


十分ほど歩いただろうか。


突然、リャンが声を上げた。


「あっ!」


「どうした?」


イーサンが振り返る。


リャンは興奮した様子で地面を指差した。


「これ見ろ!」


そこには鮮やかな黄色い花が咲いていた。


ギザギザの葉。


地面に張り付くように伸びる姿。


見覚えがある。


「たんぽぽだ!」


イーサンの表情が明るくなる。


「間違いない。たんぽぽだ!」


二人は駆け寄った。


小人の彼らからすると、一本のたんぽぽでも立派な木のような大きさだった。


「葉もあるし根もあるな」


「よかった……少なくとも植物は結構共通してるみたいだ」


リャンは安堵したように笑った。


さらに周囲を探していると、今度はイーサンが立ち止まる。


「リャン、こっち来てくれ」


「何かあったか?」


イーサンの足元には、地面に貼り付くように広がる葉が群生していた。


葉脈がはっきりしていて、細長い葉が放射状に伸びている。


リャンは目を見開いた。


「オオバコじゃないか!」


「やっぱりそうだよな?」


「ああ、間違いない」


二人は思わず顔を見合わせた。


たんぽぽに続いてオオバコまで見つかった。


これで完全に希望が見えてきた。


「食べられる植物が存在するのは確定だな」


イーサンが言う。


「しかも知ってる種類だ」


リャンも嬉しそうに頷いた。


「今日は収穫だな」


「まだ時間はある。もっと探そう」


二人は見つけた場所を地図に記録すると、さらに草むらの奥へと進んでいった。


先ほどまでの不安は少し薄れていた。


少なくとも、この世界にも彼らが知る植物は存在している。


それが分かっただけでも大きな前進だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。