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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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30/61

知った能力 半日以上は経っていた。

彼はこのまま死ぬか、重傷を負うものだと思っていた。


だが――


地面に叩きつけられた瞬間、全身に衝撃と痛みは走ったものの、予想していたような致命的な損傷はなかった。


「うっ……」


イーサンはゆっくりと身を起こす。


腕や足を動かしてみるが、擦り傷や打撲らしき痛みはあるものの、骨が折れた様子はない。


「これはどうなっているんだ?」


彼は驚きながら自分の体を見回した。


(確かに落ちたはずだ。あの高さから……)


何度考えても理解できない。


本来なら即死していてもおかしくない高さだった。


だが、当然ながらイーサンは知らなかった。


小さな生き物ほど体重に対して空気抵抗の影響が大きくなり、落下速度が抑えられることを。


そのため高所から落ちても、体の大きな生物に比べれば深刻なダメージを受けにくいのである。


もっとも、そんな理屈を知る由もないイーサンは、


(とりあえず……助かったんだな)


そう結論付けるしかなかった。


その時だった。


「おい! 大丈夫か?」


聞き慣れた声が上から響く。


見上げると、リャンが塀を降りてくるところだった。


塀の表面に走る細い亀裂や、コンクリートの継ぎ目がわずかに欠けた部分を器用に利用しながら、慎重に降下してくる。


やがて地面に着地したリャンは、すぐに駆け寄った。


「ああ、大丈夫だ。傷はあるが致命傷ではない」


イーサンが答えると、リャンは目を丸くした。


「いや、凄いな。あんな高さから落下したのに無事なんて」


「私も驚いているよ」


イーサンは苦笑しながら立ち上がった。


二人は周囲を見渡す。


すると東の空がわずかに白み始めていた。


夜の終わりを告げるように、空が少しずつ明るくなっていく。


「もう朝か」


リャンが空を見上げながら呟く。


イーサンも同じ方向を見た。


「でも巨人の家で寝たから眠くならないな」


「そうだな」


二人は顔を見合わせて小さく笑った。


その時、近くで何かを噛みちぎる音が聞こえた。


視線を向けると、そこには彼らの馬がいた。


地面に生えた草を夢中になって食べている。


いや、彼らの大きさからすれば「草を食べている」というより、「巨大な植物を齧っている」と表現した方が正しいかもしれない。


それを見た瞬間、リャンの表情が変わった。


「あっ、やべっ! 忘れてた!」


「しまった!」


二人は慌てて馬のもとへ駆け寄る。


イーサンは馬の首を優しく撫でた。


「ごめんな、待たせてしまって」


気付けば置いてから半日以上は経っていた。


それでも馬は不満を言うことなく、のんびりと草を食べ続けている。


リャンは荷物を確認しながら言った。


「じゃあ行きますか」


イーサンは頷く。


「そうだな」


二人は馬を引き連れ、新たな拠点を探すため歩き始めた。


見上げれば、朝日に照らされた巨大な建物群がそびえ立っている。


彼らにとって都市とは、ただの街ではない。


無数の危険と発見が眠る巨大なジャングルだった。


こうして――


2020年4月11日。


イーサンとリャンの二人は、新たな居場所を求めて巨大都市の中へと消えていった。

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