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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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29/61

知った能力  もうダメだ

2人はさらに下半身の方へ進んでいった。


リャンが、

「この先はどうなってるんだろうな」


イーサンが

「さあな。でもここまで来たら見てみたい気もする」


興味本位で近づいていく2人。


そしてショーツの中に入ろうとして開けようとしたが。


だが、その途中でリャンが顔をしかめた。


「うっ……」


イーサンが「どうした?」


リャンは鼻を押さえる。


リャン「なんか空気がおかしくないか?」


イーサンも立ち止まり、周囲の空気を確かめた。


じめじめとした湿気。


そして独特の臭いが漂っている。


イーサンが「……確かに」


リャンも「こりゃダメだ。やめとこう」


イーサンもすぐに頷いた。


「そうだな。探検にも限度がある」


「今までの場所は面白かったけど、ここはちょっとな……」


イーサンが「同感だ」


2人は顔を見合わせると、すぐに来た道を引き返し始めた。


リャンが「もっと他に面白い場所を探そうぜ」


イーサンも同意して「その方がいいな」


再びお腹の方へ戻ると、さっきまでの新鮮な空気にほっとする。


「はあ、助かった」


そんなやり取りをしながら、2人は再び巨大な女性の体の上を歩き始めた。


女性は相変わらず深い眠りの中にいる。


規則正しい寝息だけが、静かな夜の部屋に響いていた。


今度は足先だった。


2人は長い道のりを歩き続け、ようやく巨大な足元へとたどり着く。


目の前には巨大な足が横たわっている。


一本一本の指がまるで丸太のような太さだ。


リャンは親指の近くまで歩いていき、その大きさを見上げた。


「すげえな。本当に人間の足なのかこれ」


イーサンは苦笑した。


「俺たちが小さすぎるんだよ」


足先は布団から少し出ており、ひんやりとした空気が流れていた。


お腹の辺りよりずっと涼しい。


「こっちの方が快適だな」


リャンが両腕を広げる。


「ああ。風もあるしな」


イーサンも頷いた。


2人は足の甲を歩き回る。


呼吸の影響も少なく、比較的安定した場所だった。


「なんだか丘を歩いてるみたいだ」


リャンが辺りを見回す。


「指の間なんか谷みたいに見えるぞ」


イーサンが前方を指差した。


リャンは興味津々で指の方へ向かう。


すると女性が寝ている間に足先をぴくりと動かした。


ドンッ。


小さな揺れが足全体に伝わった。


「うおっ!」


驚いたリャンがよろめく。


「気を付けろ!」


イーサンが慌てて声を上げた。


リャンは危うく転びそうになりながら踏みとどまる。


「今の何だ?」


「寝てる時の反射じゃないか?」


イーサンは周囲を警戒しながら答えた。


再び静かになる足先。


女性はまったく起きる様子がない。


しばらく歩いたあと、イーサンが巨大な体の方を振り返った。


「しかし不思議だな」


「何が?」


リャンが尋ねる。


「顔もお腹も足も、全部同じ人なのに景色が全然違う」


その言葉にイーサンは笑った。


「それが探検の面白いところなんだろ」


「確かに」


イーサンも小さく笑う。


2人は足先の端に立ち、遥か向こうに見える巨大な体を見上げた。


まるで一つの世界を旅しているような気分だった。


巨大な女性は相変わらず穏やかな寝息を立て、夢の中を漂っていた。


イーサン。


「もうこれくらいで良いだろう。流石に長居は良くない」


リャンが首を傾げる。


「結局何か分かったか?」


イーサンは少し考えてから答えた。


「弱点は見つからなかったが、巨人は私達と同じ構造を持っていた事は分かった。それだけでも充分な収穫だ」


リャンは頷く。


「じゃあ帰りますか」


イーサンも同意した。


「そうだな」


2人はベットから降りて窓から戻り、巨大な観葉植物をよじ登って来た道を戻った。


そして観葉植物の葉っぱから塀の上に飛び降りる。


見事に着地――したかに見えた次の瞬間。


「うおっ!」


イーサンの顔が引きつる。


足元が滑り、体がぐらりと傾いた。


「イーサン!」


リャンが思わず声を上げる。


バランスを崩したイーサンは、塀の外側へ落ちそうになった。


リャンは咄嗟に手を伸ばした。


「イーサン!」


だが、その指先はあと少しのところで届かない。


イーサンの体は塀の外へと投げ出され、そのまま落下してしまった。


「イーサン!!」


リャンの叫びが響く。


落ちながら、イーサンは状況を悟っていた。


(こうなってしまったら、もうダメだ……)


風が耳元を唸り、景色が流れていく。


イーサンは静かに目を閉じた。


(ああ、せっかくこの世界に来たのに、何もせずに死ぬなんて……)


仲間たちの顔が脳裏をよぎる。


リャンとの旅。


未知の世界への好奇心。


まだ調べたいことも、知りたいことも山ほどあった。


(もう少しだけ、時間があれば……)


そんな思いを抱きながら、イーサンは迫り来る地面を見つめた。

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