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巨人都市  作者: ハネクリ0831


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27/61

知った能力 瞼を思い切り叩いた。

二人はベッドの縁まで走ると、勢いよく飛び上がった。


ふわり――


次の瞬間、柔らかなシーツの上へと着地する。


眠る巨人。


その存在だけで世界そのものが違って見える。


「本当に……寝てるんだな……」


リャンが呆然と呟く。


二人の目の前には巨大な腕が横たわっていた。


一本の指だけでも大木ほどの太さがある。


掌に至っては広場ほどの面積がありそうだった。


「信じられねえ……」


リャンは腕を見上げながら言う。


「俺たちが何十人集まっても、この指一本持ち上げられないぞ……」


「だから慎重に行動するんだ。」


イーサンは冷静に答えた。


しかしその声にもわずかな緊張が混じっている。


彼自身も圧倒されていた。


巨人は完全に眠っていた。


静かな寝息。


規則正しい呼吸。


そのたびに胸がゆっくりと上下する。


ゴォォォ……


低い風のような音が響く。


吐息だった。


その風だけで二人の髪が揺れる。


「今のが息かよ……」


リャンは思わず身を低くした。


「台風みたいじゃねえか。」


「近づきすぎるなよ。」


イーサンは周囲を警戒しながら言った。


「寝返り一つで終わりだ。」


その時だった。


ぴくり。


巨大な人差し指が動いた。


「っ!」


二人は反射的に身構える。


ずずっ……


指先がわずかに動いただけだった。


しかし周囲のシーツは波のように揺れた。


二人の体が少し浮き上がる。


「うおっ!」


リャンがバランスを崩しかける。


イーサンが腕を掴んで支えた。


「落ち着け。」


「落ち着けって無理だろ!」


リャンは小声で叫んだ。


「今ので地震レベルだったぞ!」


幸い巨人は起きない。


再び静かな寝息が続く。


二人は顔を見合わせた。


「……行くか。」


「ああ。」


慎重に腕へ近づく。


近くで見る皮膚は意外にも普通だった。


毛穴。


産毛。


薄い血管。


すべて人間と同じだ。


ただし――


圧倒的に大きい。


「なんか不思議だな。」


リャンは腕に触れながら言った。


「怪物って感じじゃない。」


「ただの人間をそのまま巨大化させたみたいだ。」


イーサンも頷く。


「だから余計に現実感がない。」


二人は腕に沿って歩き始めた。


巨大な腕は一本の道路のようだった。


歩いても歩いても終わらない。


やがて肩が見えてくる。


その向こうには首。


そして――顔。


「おい……」


リャンの声が震えた。


「見えてきたぞ。」


巨大な横顔が月明かりに照らされていた。


長いまつ毛。


閉じられた瞼。


穏やかな寝顔。


遠くから見た時よりもさらに巨大で、まるで山脈のような迫力がある。


ゴォォォ……


再び吐息が吹き抜けた。


暖かな風が二人の体を包む。


髪が激しくなびく。


「近くで見ると……」


リャンは息を呑んだ。


「すげえな……。」


イーサンも無意識に立ち止まる。


今まで見たどんな建造物よりも巨大だった。


そしてその巨大な存在は何も知らず、静かに眠り続けていた。


二人はその寝顔を見上げながら、さらにゆっくりと顔の方へ歩いていった。


枕に到達した。先程寝ていた場所だ。


そこには赤茶髪が広がっていた。


「すげえ……髪の一本一本がロープみたいだな」


リャンが感心したように呟く。


イーサンは足元の髪を見下ろしながら苦笑した。


「俺たちのサイズじゃ、本当に森みたいなもんだな」


巨人の顔まで近づいたが起きる気配がない。


規則正しい寝息だけが聞こえてくる。


「本当に熟睡してるのか……?」


リャンは恐る恐る巨大な頬を見上げた。


「少なくとも今はな。起きられたら俺たちなんて一瞬で吹き飛ぶ」


イーサンは緊張した表情で答える。


2人はジャンプして巨人の顔に飛び乗った。


ふわりと宙を舞い、柔らかな頬へ着地する。


「うおっ、思ったより柔らけえ!」


リャンがバランスを崩しながら声を上げた。


「静かにしろ。起きたら終わりだぞ」


イーサンが慌てて制止する。


2人は巨大な顔の上に立ち、改めてその大きさに圧倒された。


閉じられた瞼は壁のように大きく、まつ毛は黒い柵のように並んでいる。


「こうして見ると、本当に別の生き物みたいだな……」


リャンが呟く。


イーサンもゆっくり頷いた。


「ああ。でも寝ているだけなのに、なんでこんなに迫力があるんだろうな」


リャン「確かにな」


こんなやり取りをしてみても、巨人が起きる気配はない。


規則正しい寝息だけが静かに響いている。


しばらく顔の上を歩いていたリャンが、ふと思いついたように言った。


リャン「じゃあ、まぶたのところに行こうぜ」


イーサン「おい、本気か?」


リャン「もちろん」


2人は巨大な顔の上を移動し、閉じられた瞼へ向かった。


近くで見る瞼は滑らかな丘のようだった。


ようやく辿り着くと、イーサンが不安そうに尋ねる。


イーサン「どうするんだ?」


リャン「そりゃ――こうするんだよ」


そう言うとリャンは拳を振り上げ、瞼を思い切り叩いた。


ペシッ。


彼らにとっては全力の一撃だった。


女性「ううん……」


女性はわずかに眉を動かし、一瞬だけ目を開けた。


巨大な瞳が見えたかと思うと、すぐに再び閉じられる。


そして何事もなかったかのように眠り続けた。


リャン「ほらな」


イーサン「おいおい……もし起きたらどうするんだ」


リャンは肩をすくめる。


リャン「その時はその時だ。それに、これで起きる気配はないって分かっただろ?」


イーサン「だからって無茶しすぎなんだよ……」


呆れながらも、イーサンは少し安心したようだった。


2人は再び探索を始める。


頬を横切り、額へ向かい、巨大な体を観察していく。


女性は相変わらず深い眠りの中にいた。


リャン「しかし本当にでかいな」


イーサン「ああ。歩いても歩いても終わりが見えない」


リャン「なんだか冒険してるみたいだな」


イーサン「その冒険の舞台が人の顔の上ってのが問題だけどな」


そんな軽口を交わしながら、2人はさらに体の調査を続けた。

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