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気持ちと裏腹な行動
その日の放課後、拓也は一人でバスに揺られていた。
今日は始業式とホームルームだけだったので、学校は午前中で終わった。
本当は実と一緒に帰る予定だったのだが、実は学級委員の仕事があるとのことで、先に帰ってくれと言われてしまったのだ。
まっすぐに帰っても暇を持て余すだけなのは簡単に予想できるので、こうしてバスに乗った。
行き先は、久美子の病院だ。
学校から十分ほど歩いて駅に向かって、駅の中を通過して反対口に出てからバスに乗り込み、およそ二十分。
バスを降りた拓也は目の前にそびえ立つ病院を見上げ、どこか寂しげな笑みをたたえた。
「もう会いたくないって思ってたはずのに、やっぱり逃げられないのかな……」
ぼそりと独り言を零し、病院の自動ドアをくぐる。
それを、じっと観察している人物がいるとは知らずに―――




