エピローグ~神の思惑~
「レティル様。私には、どうしても分からないことがあるのです。」
「どうしてあの者を早く器にしないのか、か?」
レティルは首を傾げる。
サリアムの質問を予想したつもりだったのだが、彼はこちらの問いに首を横に振った。
「いえ。実君のことに関しては、私から進言することはありません。私が分からないのは、キースたちへの処遇についてです。」
「ふむ、不満か?」
「当たり前です!」
サリアムが声を荒げる。
「彼らは、どう考えても危険因子ではありませんか! あなたのためにも、即刻排除すべきです。ご命令さえいただければすぐにでも処理しに行くのに、どうしてあのようなことを…っ」
「まあ落ち着くのだ。お前の懸念も分かっておる。」
一応なだめるための言葉をかけるが、熱が入ってしまっているサリアムは、こちらに掴みかかってきそうな勢いである。
彼の必死そうな顔を見れば、彼が純粋にこちらの身を案じているのだということが手に取るように分かった。
「これが落ち着いていられる状況なのですか!? あの二人は、知恵の園でも屈指の力と技術を持っているのですよ!? その二人が揃いも揃って実君の味方についたら、いざ実君を器とする時に大きな障害になるに違いないでしょう!?」
「それでいいのだよ。」
レティルが断言すると、サリアムは虚を突かれたように固まった。
それも当然の反応だろうと、レティルは笑う。
「あいつに関わっていくことで、あの二人はあいつにとって重要な人間になるだろう。そうでなくては困るのだ。あの二人があいつに出会ったのには、ちゃんとした理由があるのだから。」
「……おっしゃる意味が分かりません。」
「ふふ、いいのだ。これ関してはもう、人間の領分ではない。」
上機嫌で言い、レティルは窓から見える景色を見つめる。
これでいいのだ。
これで……
「果実は、まだまだ青いからな。」
不可解そうなサリアムをよそに、レティルは一人笑みを深めていた。
【第2部】END 次の部へ続く…
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【第3部~封じられた秘めたる想い~】あらすじ
「―――許さない!!」
心を守るために記憶を手放した代償は、あまりに重く……
そう、自分は何もできなかった。
これは、もう変えることができない過去。
―――深く刻まれた、己の罪。
思い出したくない記憶。
それはどうしようもなく、確実に実の心を侵食していく。
トラウマに溺れる、異世界ファンタジー第3部。
幼い実が記憶を消すことを選んだ、本当の理由とは――!?
■おまけ:カットイラスト01
■おまけ:カットイラスト02
■おまけ:4コマ漫画01
■おまけ:4コマ漫画02




