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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第7話:神、記憶を捏造(ねつぞう)して王に会う

 王都の門前は、阿鼻叫喚あびきょうかん

 地獄絵図と化していた。

 わずか一時間で昼と夜が一週間分、

 高速で入れ替わったのだ。無理もない。


「天変地異だ! 世界の終わりだ!」


「ひぃぃ! 太陽が壊れたぞーっ!」


 門番も民衆も、泡を吹いて

 地面に転がっている。

 鼻を赤く腫らした吾輩は、

 その光景を見て舌打ちした。


「……チッ。繊細に調整したはずなのに、

 下界の連中はデリケートすぎるな。

 よし、ルナリエ。

 面倒だから、全員の記憶を書き換えるぞ」


「……はぁ。またそうやって

 安易な権能チートに頼る……」


「いいんだよ! えーと、

『今のはただの、やけに眩しい日食だった』

 ……はい、書き換え完了!」


 パチン、と指を鳴らす。

 すると、パニックに陥っていた群衆が

 一斉に動きを止め、


「なんだ、珍しい日食か」「風流だねぇ」


 と、爽やかな笑顔で解散していった。


「アスタロ様。

 日食で一週間分の昼夜が来るわけ、

 ないでしょうが……。

 歴史学者が発狂しますよ、これ」


「いいんだよ、通れれば!

 ほら、行くぞカイル!」


「ひぃぃ! やっぱりこの人、

 みんなに呪いをかけたんだぁぁ!」


 引きずられるカイルと共に城門を抜け、

 吾輩たちは王宮へと突き進んだ。

 門衛に「信託を受けた勇者だ」と

 名乗ると、意外なほどあっさりと

 謁見えっけんの間へ通された。


 ――ガチャリ。


 重厚な扉が開くと、そこには

 王冠を被った立派な髭の王様と。

 その隣に、豪華な鎧をまとった

 若者が立っていた。


「……おぉ、よく来た新しき勇者よ!

 いやぁ、早かったね!


 信託からまだ数時間しか経ってないのに、

 もう着いたのかい!?」

 王様は、やけにノリが軽い。

 一方、隣の鎧の若者――

 三日前に先代魔王を倒したばかりの

『前代勇者』は、死んだ魚のような目で

 こちらを見ていた。


「……あ。……新米さん?

 おめでとう。……地獄へようこそ」


「ひっ!? じ、地獄!?

 やっぱり、人身売買の拠点なんだぁ!」


 カイルが震え上がる中、

 前代勇者はフラフラと歩み寄り、

 吾輩の肩をガシッと掴んだ。


「いいかい、新米の連れの人。

 魔王を倒して、凱旋パレードを

 一時間やったところで、

 頭の中に『次、出たからよろしく』って

 神様の声が聞こえる気分がわかるか……?」


「……さ、さあな。

 信心深い奴なら、光栄に思うのでは?」


「光栄なもんか! 俺は今、

 王様に『有給休暇』の申請を

 出していたところなんだ!

 あの神様、絶対に現場のシフト表を

 見てないぞ! ブラックすぎるだろ!」


「……ぐ、ぐぬぬ。

 神様も、きっと良かれと思って……」


 吾輩は冷や汗をかきながら、

 必死に自分の……もとい神の擁護をした。

 隣でルナリエが「どの口が言うのか」と

 冷たい視線を送ってくる。


「さあ、新しき勇者カイルよ!

 魔王討伐の旅に出るのだ!

 支度金として、金貨十枚を授けよう!」


「……金貨十枚? 王よ。

 この少人数のパーティーで、

 王都の宿代三日分にもならんぞ?」


 吾輩が眉をひそめると、

 ルナリエが横から耳打ちした。


「アスタロ様。この国、

 パレードの予算を使いすぎて、

 今、国庫が空っぽみたいですよ」


「……バグじゃない。

 ただの失政しっせいじゃないか!」


 吾輩は神である。

 そして、今日からはこの世界のルールであり――

 空っぽの国庫を見て、

 本気で世界をリセットしたくなった、

 ただの怒れる創造主である。

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