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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第60話:神、獣人の王に「未来」を提示する

 吾輩たちは衛兵の制止を神の威圧で撥ね退け、

 獣人の国の王城、その最奥にある謁見の間へと

 踏み込んだ。玉座に座る大柄な獅子の獣人、

 獣王レオガルドが、険しい表情で吾輩を睨みつけた。


「何奴だ。我が城に土足で踏み入るとは。

 飢えに苦しむ我が民を愚弄しに来たのであれば、

 王の名に懸けて、その首を落とさねばならん」


 王の咆哮に、カイルは剣の柄を握り、

 ヴィータは恐怖で吾輩の後ろに隠れた。

 だが、吾輩は一歩も引かず、静かに権能を解放した。

 背後に神々しい黄金の法陣が浮かび上がり、

 王の威圧を霧散させる。


「控えよ、獣人の王。吾輩はアスタロ。

 この世界の理を管理する、唯一無二の創造主である。

 貴公の国の惨状、救いに来たぞ」


 神としての正体を明かした吾輩の姿に、

 王は目を見開き、玉座から立ち上がり膝を突いた。

 ルナリエが隣で事務的に、

 現状の絶望的な観測データを提示する。


「獣王よ。貴方の大地は、四天王ガウルの魔力によって

 汚染されている。自然に浄化されるのを待てば、

 あと数十年の間、民は泥水を啜ることになる。

 そこで、アスタロ様がその停滞を打ち破ります」


 吾輩は、以前勇者の村で使った時間の短縮を

 応用した、究極のデバッグ案を王に告げた。


「この国全体の時間軸を、吾輩の権能で

 数十年分、一気に加速させる。それにより、

 残留魔力の浄化を今すぐ完了させるのだ。

 だが、この術は生命の魂に耐え難い負荷をかける」


「神よ。我が国を救い、民の命を繋いでいただける

 のであれば、いかなる命にも従いましょう。

 我らがなすべきことを、どうかお示しください」


 王の必死の懇願に、吾輩は断固とした口調で命じた。


「全住民を、一時的に国外へ避難させよ。

 加速する時間の中で、生物の魂を維持することは、

 管理者の吾輩でも困難だ。民を連れて外へ出ろ。

 数日の間、この国を空にするのだ。

 それが、この大地を再生させるための唯一の道だ」



 吾輩は神である。

 今日からはこの世界のルールであり、

 自らの正体を明かして王に国外避難を命じ、

 数十年分の上書きという未曾有の修正に向け、

 一国の運勢を動かし始める、創造主である。

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