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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第49話:神、貧乏神の「不運(デバッグ)」を解禁する

 領主アルカナは、吾輩の警告を鼻で笑い、執務室の

 護衛兵たちに「捕らえろ!」と傲慢な号令を下した。

 だが、吾輩は動かない。ただ静かに、セレスの額に

 指先を添え、そこに刻まれた不可視の封印をなぞった。


「セレス、一時的に人間化のパッチを外してやる。

 貴様の本体、貧乏神の権能を今ここで解放せよ!

 神の不運をもって、この強欲なバグを是正しろ!」


「わーい! 身体が熱くなってきた! いくよっ!」


 吾輩が指を弾いた瞬間、セレスを包んでいた人の皮が

 黄金の火花を散らして弾け飛んだ。次の瞬間。

 彼女の背後に、巨大で禍々しい黒い影が浮かび上がり、

 執務室全体の温度が、一気に氷点下へと叩き落とされた。

 神に戻ったセレスが、領主に向かって指を刺す。

 すると、何の予兆もなく、領主の頭上にある

 豪華なシャンデリアが、鎖ごと根元から抜け落ちた。


「ぎゃぁぁぁ!? な、何だ、地震か!?

 い、痛い! 誰か早く、医者を。ぶふぇっ!」


 シャンデリアの下から這い出そうとした領主の口へ、

 どこからか飛んできた石鹸が、見事な放物線を

 描いて突き刺さった。さらに、彼が座っていた

 最高級の椅子が、突如として粉々に爆散する。


「あああ! 私の椅子が! 待て、何だ、

 金庫が、金庫が勝手に窓の外へ歩いていくぞ!

 戻れ! 私の資産が、川に落ちるぅぅぅ!」


 金庫は意思を持ったかのように窓を突き破り、

 川へとダイブした。領主は、自分の身に起きている

 悪夢のような連鎖に、ただただ絶叫し、逃げ惑う。

 一歩踏み出せば床が抜け、手をつけば壁が崩れる。


「アスタロ様。驚異的な効率です。領主の個人資産の

 九割が、わずか三十秒で消失、または修復不能な

 損壊へと処理されました。物理法則を無視した、

 正に歩く災害。これこそが貧乏神の真髄ですね」


 そこへ、騒ぎを聞きつけたのか、一人の騎士が

 部屋に飛び込んできた。……。国王の使いだ。

 彼は惨状に目もくれず、羊皮紙を高く掲げた。


「緊急通達である! アルカナ領主よ、聞け!

 国王陛下より親書を預かって参った。……。貴殿の

 悪行はすでに王都まで届いている。本日を以て、

 爵位を剥奪し、全財産を没収、平民へ降格とする!」


 領主は、すでに頭に謎のタライが直撃し、

 ズボンが謎の破裂を起こして、下着姿で


「ひ、ひぃぃ! 不運だ、不運すぎる! 全財産に

 地位まで……。お助けを! 神罰か、これは

 何かの神罰なのかぁぁ!」と虚空に向かって叫んだ。



 吾輩は神である。

 そして、今日からはこの世界のルールであり――

 神に戻ったセレスがもたらす絶望の不運と、

 絶妙なタイミングで届いた王の手紙により、

 強欲な男が「ただの平民」にデバッグされる様を

 見届ける、無慈悲かつ公正な創造主である。

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