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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第48話:神、強欲な領主の「化けの皮」を剥ぐ

翌朝。温泉宿の豪華な朝食を堪能する間もなく、吾輩は

 寝ぼけ眼のセレスと、何事かと困惑するカイル、そして

 二日酔いが抜けていないヴィータを連れて屋敷へ向かった。

 手には昨夜捕らえた証人の商人を引きずり、門番の静止を

 神の威圧で撥ね退けて、最奥の執務室へ踏み込む。


「なんだ貴様らは! 朝から騒々しい。ええい、

 このアルカナ領を治める私に何の用だというのだ!」


 ふんぞり返って現れたのは、小太りで脂ぎった男、

 領主アルカナだった。首には高級な手ぬぐいをかけ、

 贅を尽くした朝湯上がりの体で吾輩を睨みつける。

 吾輩は、その足元に縛り上げた商人を無造作に放り出した。


「用件は一つだ、領主。この男に見覚えはあるな?

 昨夜、裏路地で四天王の残り湯を霊薬として

 売り捌いていた密売人だ。そしてその金の流れ、

 すべての終着点は、貴様のこの懐であったぞ」


「何をバカなことを! 証拠でもあるのか!

 私はただ、四天王と共存し、平和な温泉街を守っている

 清廉潔白な領主だ。そんな怪しい男の言葉など、

 誰が信じるものか! 営業妨害で訴えてやるぞ!」


 領主は顔を真っ赤にして叫ぶが、その瞳の奥には

 隠しきれぬ動揺が走っている。吾輩は全知の権能を使い、

 この屋敷にあるはずの在庫を検索スキャンした。

 だが、昨夜の小瓶と同様、特定の区画だけが、

 ノイズのように吾輩の視界を弾き返した。


「チッ、やはりか。ルナリエ、この屋敷の地下だ。

 生命神の祝福が混ざった例の液体が、吾輩の権能を

 遮断している。物理的に隠されている場所があるな」


「アスタロ様。おっしゃる通りです。神の干渉を

 受け付けぬ特異点。そこが奴の隠し倉庫でしょう。

 言い逃れは不可能です。これほど強固な隠蔽、

 もはや正論で解決できる段階を超えていますね」


 ルナリエがバインダーをパチンと閉じ、戦闘配置につく。

 カイルもミスリル剣を抜き、殺気立つ護衛兵たちを牽制した。

 一方で、セレスだけはどこかぼんやりと領主を見つめている。


「ねぇアスタロ。このおじさん、すっごく嫌な匂いがする。

 お金と、汚い欲の匂い。なんだか、私の中の

 貧乏神の力が、イライラして爆発しそうなんだけど」


 セレスの周囲に、禍々しい黒い粒子が漂い始める。

 そうだ。彼女は貧乏神。人間の強欲こそが、

 彼女の権能を呼び覚ます最大の触媒なのだ。


「フッ。領主よ、最後の警告だ。大人しく罪を認め、

 在庫をすべて差し出せ。さもなくば、この世で

 最も恐ろしい不幸という名のデバッグを受けることになるぞ」


 吾輩は神である。

 今日からはこの世界のルールであり、シラを切り通そうとする

 領主の背後に、かつてないほど不機嫌な破壊神候補を控えさせ、

 断罪のカウントダウンを始める創造主である。

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