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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第35話:神、ニートの「去勢案」に戦慄する

 押し問答を繰り返しているうちに、空の色は不気味な

 黄金色から、ねっとりとした夜の帳へと変わり始めていた。

 生命神は相変わらず地面に寝転び、吾輩の靴を掴んで

「帰りたくない」と情けなく連呼し続けている。


「ええい、しつこい! 夜通し付き合う暇はないわ!

 ……。ルナリエ、もういい。強硬手段だ。

 こいつの同意など無視して、この領域のリソースごと

 無理やり切り離して元の世界へ放り出せ!」


 吾輩が再び指先に破壊の権能を込めようとした、その時。

 いつの間にか宴席に混ざり、魔族の飲み残したエールを

 煽りながら豪華な肉を皿に盛っていたセレスが、

 口の周りを油で光らせながら、ひょいと手を挙げた。


「ぷはぁーっ! ねぇアスタロ、そんなに怒らなくても

 解決できるよ? ほら、カイルの剣に『絶対壊れない

 付与』をつけたじゃん。……。あれと同じことをさぁ、

 この魔物と魔族たち全員につければいいんだよ!」


「……。何を言っている。不壊の付与など、

 これ以上のリソース固定を招くだけだぞ」


「そうじゃなくてさ。……。余計な魔力の放出を、

 ガチガチに固定して抑えちゃうんだよ。

 あとは、ほら。ペットの去勢きょせいみたいに、

 子供ができないようにして、一代限りにするの!」


 セレスの提案に、現場が凍りついたような静寂に

 包まれた。ルナリエの手元で、バインダーがパタリと

 閉じる。カイルは反射的に自分の股間を押さえ、

 三歩ほど吾輩から後ずさりした。


「……。セレス。貴様、今なんと言った」


「だからぁ、この世界への負荷をゼロにする付与だよ。

 普通に動けるけど、魔力も出さないし増えもしない。

 ただ生きてるだけの『一代限りのバグ』にするの。

 これならママにもバレないし、アスタロも納得でしょ!」


 生命神が、寝転がったまま「えぇ……」と絶句する。

 ルナリエが、眼鏡の奥の瞳を怪しく光らせ、

 高速で算出シミュレーションを開始した。


「……。アスタロ様。極めて合理的です。

 生命のサイクルそのものを『変化不能』に固定すれば、

 世界のメモリを消費せず、生態系への干渉も消えます。

 ……。ただ、生物としての尊厳はゴミ箱行きですが」


「や、やめてよ! そんなの去勢された軍団じゃないか!

 俺の可愛い子たちが、ただ動くだけの寂しい存在に

 なっちゃうなんて、そんなの嫌だぁぁぁ!」


「黙れ! ペットの管理は飼い主の責任だ!

 その責任も取れない奴が、今さら何を言うか!

 ……。よし、セレス。たまには良いことを言う。

 その『一代限りの静的バグ』、今すぐ実行してやる!」


 吾輩は神である。

 そして、今日からはこの世界のルールであり――

 宴会を堪能するニート神の残酷すぎる提案を採用し、

 泣き叫ぶ生命神を尻目に、指先をパチンと鳴らして

 世界の仕様を書き換え始める、無慈悲な創造主である。

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