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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第23話:神、馬車代のために魔物を「呼ぶ」

 翌朝。吾輩は発着場に停まった乗合馬車の前で、

 空っぽに近い財布を握りしめ、天を仰いでいた。

 昨夜の宴は最高だったが、その代償は重い。

 馬車代を払い、道中六日分の食料を買い揃えた結果、

 吾輩たちの手元には、もはや銅貨数枚しか残っていない。


「……ルナリエ。馬車代を払い、六日分の食料を

 買い揃えると、我らの全財産が底をつくのだが。

 これでは、砦の街に着いた時にパン一つ買えんぞ!」


「アスタロ様。計画性の欠如バグですね。

 ですが、この定期馬車が通る街道は警備が厳重で、

 滅多に魔物は現れません。つまり、到着まで

 大人しく揺られているのが最善の策です」


「安全など求めておらんわ! 魔物が出ないということは、

 到着までに『稼ぐチャンス』がゼロということではないか!

 このまま無為に六日間を過ごすなど、吾輩が許さん!」


 吾輩の悲鳴に近い訴えを、馬車の座席で

 すでに丸くなって寝る準備をしているセレスが鼻で笑う。


「あはは、アスタロ、貧乏くさーい!

 いいじゃん、たまにはのんびり揺られようよぉ。

 馬車って、お昼寝には最高なんだからさぁ」


 結局、一行を乗せた馬車は静かに出発した。

 王都へ続く街道とは違い、北へ向かう道は実に平穏だ。

 一時間も走れば、周囲には人影一つ見えなくなった。

 ……。よし、ここなら「デバッグ」の範疇だ。


「……出ないというなら、吾輩が『呼んで』やるまでだ!」


 吾輩は馬車の窓から身を乗り出し、

 こっそりと指先をパチンと鳴らした。

 神の権能による「魔物誘引(エンカウント操作)」。


 ――ガタゴト、ガタゴト。

 ……ドォォォォォンッ!!


「ひ、ひぃぃ!? 馬車の前に、

 昨日よりデカいいのししが三頭も出たぁぁ!」


「よし! 絶好の稼ぎ時だぞ! ほら、カイル!

 そのなまくら剣を抜いて、

 我らの路資金ろじきんを叩き出してこい!」


「えぇぇ!? 馬車に乗って楽をするんじゃ

 なかったんですかぁぁ!? 僕、まだ筋肉痛が……!」


「四の五の言うな! 着いた後の蓄えを稼ぐのだ!

 当たれば折れん、折れねば勝てる! 行けぇ!」


 吾輩は、嫌がる勇者を走行中の馬車から突き出した。

 カイルは涙目で転がりながらも、

 「路資金ぇぇ! おやつ代ぇぇ!」と叫び、

 不壊の鉄屑を振りかざして猪の群れへと突っ込んでいく。


「……やれやれ。アスタロ様。

 自作自演マッチポンプも大概にしてください」


 ルナリエが冷ややかな視線を吾輩に向けた後、

 隣で丸まっているセレスの脇腹をバインダーの角で突いた。


「セレスさん。寝ている場合ではありません。

 あなたも少しは援護しなさい。……。

 さもなくば、あなたの分の食事を差し押さえますよ」


 吾輩は神である。

 そして、今日からはこの世界のルールであり――

 到着後の無一文を回避するため、

 平和な街道を自ら稼ぎ場に変えた、創造主である。

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