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吾輩は神である。そして今、猛烈にキレている。  作者: じょん-ドゥ


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第18話:神、素材回収と寄生虫(ニート)に呆れる

「……よし、カイル。王が言っていた通りだ。

 この『ホーンラビットの角』こそが討伐の証拠。

 これを見せれば、王都から報奨金が出る手はずだ。

 さっさと回収しろ。一本も残すな。

 根こそぎ、剥ぎ取って袋に詰め込むのだぞ!」


「は、はい! 角ですね。……。

 うわっ、すごい硬い……。でも折れない剣を

 ノコギリみたいに使えば、なんとか……。

 ギコギコ……ギコギコ……。

 うう、これ、剣の使い道として合ってますか!?」


 カイルは顔を真っ赤にして、不気味な音を立てながら、

 折れないなまくら剣で角を切り落としていった。

 だが、休む暇など吾輩は与えん。

 血の匂いに誘われて、次なる獲物が姿を現したからだ。


「カイル、後ろだ! 次は『キラービー』の群れだぞ!

 その腐った鉄の板を振り回して、叩き落とせ!」


「ひぃぃ! 一匹倒しただけじゃ終わらないの!?

 うわぁぁぁん! 来るなぁぁぁ!」


 カイルは半狂乱になりながら、

 「絶対に折れない剣」を、まるでハエ叩きのように

 空中でブンブンと振り回した。

 本来なら蜂の針に貫かれるはずのボロ剣は、

 鋼鉄の防壁となってすべての攻撃を弾き飛ばし、

 当たれば羽虫のごとく魔物を地面に叩き伏せていく。

 ――ガキィィィン! ボゴォッ!

 ――ベシャッ! ドムッ!

 一匹、二匹、三匹……。

 草原に響き渡るのは、およそ勇者の旅とは

 思えない、重い鈍器で何かを破壊するような音だ。

 さらに茂みから飛び出してきた巨大な大ネズミも、

 不壊の属性を付与されたガラクタの前では、

 ただの「叩き潰される運命」でしかなかった。

 カイルはもはや、恐怖を通り越して

 機械的に鉄の棒を振るっていた。

 魔物が現れては「ガキッ」と弾き、「ドスッ」と潰す。

 その度に、吾輩が「よし、尻尾を切れ!」「牙を抜け!」

 と容赦なく指示を飛ばし、カイルが涙目で解体する。


「……はぁ、はぁ、はぁ。……もう、十匹以上です。

 カバンが角と尻尾と羽でいっぱいです。

 ……。あの、アスタロ様。

 僕、だんだん勇者じゃなくて、

 解体業者の見習いをやってる気分になってきました。

 これ、振りかぶるたびに腕がもちません!」


「贅沢を言うなカイル。物理エネルギーの伝達効率が

 最大化されている証拠だ。良い筋トレになるぞ。

 ……。ところで、ルナリエ。セレスはどうした?

 あやつ、魔道士のくせに先ほどから、

 呪文の一つも唱えた気配がないが」


 吾輩が周囲を広く見渡すと、そこには目を疑う光景があった。

 激闘のエリアから少し離れた、日当たりの良い木陰。

 セレスが仰向けになって、自分のローブを布団代わりに

 幸せそうな寝息を立てて爆睡ばくすいしていたのだ。


「……おい。……おい、元・貧乏神ニート!」


「……ふにゃ? あ、アスタロ……。

 もう終わったの? お疲れ様。

 今の戦い、後ろからしっかり『精神的』に

 応援してたから、私の分も報酬ちょうだいね」


「貴様ぁぁ!! 何をやってるんだと言っている!

 勇者が必死に撲殺しごとしている横で、

 なぜ魔法の一発も撃たずに熟睡じゅくすいできるんだ!」


「だって、私は人間になっちゃったんだよ?

 一時間以上起きてると、脳の体力が尽きちゃうんだもん。

 呪文を唱えるのも、結構カロリー使うんだからね?」


 セレスは当然のような顔をして欠伸をすると、

 カイルが集めた素材袋の中身を不躾に指差した。


「あ、この角。……根元からバッキリ折れてるね。

 これじゃギルドで『欠損けっそんアリ』って判断されて、

 報奨金を減らされちゃうよ。運がないねぇ」


「……ぐ、ぐぬぬ。お前を人間にしたのに、

 なぜこうも不景気な空気が消えんのだ!

 お前、まさか能力を隠し持って……」


「失礼な! これは私の『性格』の問題でしょ!

 神の力じゃなくて、私の『』なんだから、

 アスタロでも消せるわけないじゃん!」


「性格なら直しようがあるだろうがぁぁ!!」


 吾輩は神である。

 そして、今日からはこの世界のルールであり――

 貧乏神の力よりもタチの悪い、

 救いようのない「ニート根性」に直面して、

 全知全能の眩暈めまいに襲われている創造主である。

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