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21儀式

美鬼は目の前で繰り広げられている状況に、言葉を失っていました。

ミツユキに吹き飛ばされ、海上を漂っていたのがついさっきのこと。 突然光に包まれたと思えば、地上に戻り、周囲に目をやれば傷だらけとなった同胞達が集められていました。

同胞達は赤い光の鎖に縛られて苦しそうに呻いており、意識が朦朧としていました。

この異様な光景を前に美鬼の思考が固まってしまいました。

「美鬼よ!今こそ我に忠義を尽くすのだ!」

「滅鬼様……?」

上空に佇んでいた滅鬼が美鬼に叫んできました。

「滅鬼様!この状況は一体!?同胞達はどうなっているのです!?」

「あれらは贄だ!こやつらを滅するための贄である!」

「に……贄……?」

美鬼は思い出しました。滅鬼の儀式のことを。

「同胞達は無事なのですか!?」

かつて悪魔の儀式を経験した美鬼でしたが、対価を差し出すことでここまで苦しむようなことはありませんでした。 この苦しみ方は寿命の一部ではなく、命そのものを差し出しているのではないか……美鬼は滅鬼に問いましたが、

「かようなことはどうでも良い!」

「!?」

「さっさと願うのだ!願い、我に力を寄越せぇえ!」

「滅鬼様……!」

美鬼はすぐに答えることができませんでした。 同胞達の命を犠牲にしてまで、この戦いの勝利を得なければいけないのか。

「分からぬか!?この戦いに敗れれば鬼は滅ぶのみ!」

「!それは……」

「勝てば繋がる!我と貴様が残れば鬼は滅びぬ!鬼の血をここで絶やすわけにはいかぬのだ!ここで滅びの道を辿ればそれこそ同胞達に顔向けできまい!?」

「くっ!」

鬼が生き残るためには、もはや滅鬼の示す道しか無い。 美鬼は意を決して口を開きます。

「……滅鬼様に「させるかぁああ!」

美鬼は願いを口にする前に、突如として謎の衝撃に吹き飛ばされるのでした。

傷だらけの身体に鞭を打ち、異変の正体に目を向けてみると、そこには、

「「桃太郎……!?」」

「させない!鬼が人間を虐げる世界はここで終わるんだ!」

桃太郎の乱入。想像だにしなかった状況に、美鬼の思考は停止しました。

そして、それは上空にいる滅鬼も同じ。 更に想定外は続きます。

「おじいさん!おばあさん!」

「分かっておる!」

「任せてください!」

おじいさんとおばあさんが人間離れした速さで駆けてきます。 二人の向かう先は、先ほどまで美鬼がいた光の陣。

「「なっ!?」」

想定しなかった人物達が想定できなかった動きを見せます。

「対価を差し出されてからは儀式の中断はできない!そうじゃな滅鬼!?」

「っ!?やめろ……!やめろぉおお!」

滅鬼はおじいさんとおばあさんに煉獄の炎を放ちますが、その軌道は不自然に大きく逸れます。

『貴様が始めたことだ。見届けるがいい』

「おのれぇええ!」

滅鬼はミツユキの妨害に遭い、動けません。 動けるのはもはや美鬼だけ。しかし、

「行かせるものか!」

「桃太郎……!」

すでに満身創痍の美鬼には桃太郎を押しのけるほどの力は残っていません。

とうとう、おじいさんとおばあさんは光の陣に辿り着きます。 そして、おじいさんは願いを口にします。

「ワシとばあさんに滅鬼を倒せる程の力を寄越せぇえ!」

「くっ!?ならぬ!ならぬぅうう!」

滅鬼の叫びは虚しく、赤く強い光がおじいさんとおばあさんを激しく包み、やがて儀式は完遂されたのでした。

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